さてさて、いよいよポストシーズンなのですが、いやぁ、長かったねぇ。間隔が。だってリーグ優勝が決まってからクライマックスシリーズファイナルラウンドまで1ヶ月以上あったんだから。
いち阪神贔屓としては「リーグ優勝の余韻期間」と考えれば良かったっちゃ良かったんだけど、選手はコンディションとモチベーションの維持が大変だったと思う。
ま、それはともかく、岡田監督も選手も口を揃えるように「一番プレッシャーがかかったのはクライマックスシリーズ」というのは事実だとして、そうだとしてもクライマックスシリーズは本当に、完璧に、シーズン中の戦い方が出来た。だから3連勝で一気に決められたと思うわけで。
全試合広島に先制されながら終始試合を優位に進めていたのは阪神で、接戦になりながらもアタシもわりと余裕を持ってみることが出来ました。
そんな感じなんでね、本当はもっと詳細に、と思ったけど、まァいいや。とりあえず結果だけ。
◇ クライマックスシリーズファイナルラウンド
10月18日 |
阪神タイガース 4 - 1 広島東洋カープ(甲子園・42,641人) 【勝】村上【敗】九里【S】岩崎【本】森下 1号(4回ソロ) 【ス】8近本 4中野 9森下 3大山 5佐藤輝 7ノイジー 2坂本 6木浪 1村上 |
---|
10月19日 |
阪神タイガース 2 - 1 広島東洋カープ(甲子園・42,630人) 【勝】岩崎【敗】栗林 【ス】8近本 4中野 9森下 3大山 5佐藤輝 7ノイジー 2坂本 6木浪 1伊藤将 |
---|
10月20日 |
阪神タイガース 4 - 2 広島東洋カープ(甲子園・42,642人) 【勝】桐敷【敗】床田【S】岩崎 【ス】8近本 4中野 9森下 3大山 5佐藤輝 7ノイジー 2坂本 6木浪 1大竹 |
---|
こうやってスコアだけ見れば接戦続きなんだけど、中継を見ていて「怖い」という感情は湧かなかった。これはやはり、9月8日からの広島3連戦を3連勝で乗り切ったというのが大きい。阪神は先発も同じだし、今年の阪神と今年の広島なら「何とかなる」と思えたというかね。
それでもプレッシャーを感じていたはずの初戦の試合で重苦しいムードを断ち切ったのが森下で、得点にはつながらなかったけど初回のツーベースと先制されてすぐの同点ホームランは「シリーズ通りに戦える体勢が整った」貴重な働きだった。
にしても、またしても森下、とはちょっと、さすがにこの頃には森下に「コイツ、何なんだ」とは思っていた。大山でも近本でもサトテルでもなく、ルーキーがこの働きって、冷静になるとやっぱ信じられないわけで。
さあ、いよいよ日本シリーズの話に参りましょうか。
この間にドラフトがあったりしたけど、割愛させていただく。というかね、阪神がこうやってリーグ優勝して、CSも勝ち抜いて日本シリーズを間際にしてね、そういう立場になってやっと、というか初めて「何でこんなタイミングでドラフトをやるんだ!」と思えたっつーか。
そんなことより日本シリーズですよ。リーグ優勝しての日本シリーズは実に18年ぶり。当然アタシも全試合バッチリ、リアルタイムで中継を見た、と言いたいところですが、この時期いろいろあったんですよ。いろいろね。だから2戦、4戦はほぼ見ていない。その後見返したけどリアルタイムでは見れなかった。悔いは残るけど、こればっかりはしゃーねーべ。
で、ですよ。
日本シリーズを振り返る前に、要するに日本シリーズが始まる前にアタシがリアルタイムでどのような不安を持っていたか、そしてオリックスをどのように見ていたかを書いておきます。
ま、阪神の不安点たって、誰某が怪我したら、とかはさすがに考えない。そりゃ坂本が怪我したら終わりなのはたしかだけど、そういった不慮のアクシデントまで想定するとか意味ないですから。
アタシが気掛かりだったのはただ一点。それは近本の調子というか体調です。
7月頭の巨人戦でぶつけられ戦線離脱、比較的短い期間で帰ってきて離脱前よりもさらに調子を上げて快進撃の立役者のひとりとなっていたのですが、9月のヤクルト戦で再びぶつけられ(そういうチーム事件)、それでもほぼ欠場なしで、打棒もそのままで頑張っていたのです。
しかし相当無理してるんだろうな、とは思っていた。そして実際、CSでの近本は<何か>が変だった。勝負どころでタイムリーは打ったけど、結局その一本だけで、あきらかに「狂っている」のを感じたわけです。
アタシはね、2023年の阪神打線で能力的にナンバーワンと思っているのは近本に他ならず、いみじくも村上が言ったように「あの人(近本)は勝手に打つ」という言葉通り、普通にやればいくらオリックスの投手陣が強力でも近本だけは「勝手に打つ」と思っていたのです。
しかしCSを見る限り「普通にやれる」かどうかの判断がつかなかった、と。
オリックスでとにかく警戒していたのは若月健矢と田嶋大樹です。
若月は2022年くらいから急に打撃開眼したみたいになったけど、CSでもね、メチャクチャいやらしいヒットを打ったりなんかして、しかも若月はキャッチャーなので「若月をノセるとヤバい」ってのがずっとあって。
田嶋にかんしては
たぶんオリックスの先発陣の中で一番信頼がないのが田嶋のはずで、やっぱり普通に考えるなら2試合先発出来るってことを考えても宮城が妥当な気がする。
とか書くとものすごく田嶋を見下してるみたいだけど、ぜんぜんそんなことはないのですよ。
2年前にね、何かチケットが当たったかなんかでほっともっとフィールドで行われたオリックス対ロッテ戦を観に行ったことがあって、この時の先発が田嶋だったんです。
もちろん田嶋という投手は知ってたけど、正直ナマで見てみて「こんないいピッチャーだったのか!」と驚いた。終盤でも150キロ以上の球を平気で投げるし、何より速いだけでなく観客席からでも「強いストレートだな」というのがわかるくらいでした。2023年10月27日更新「日本シリーズ直前!つか前日!」
ま、そうは言っても田嶋は一試合しか投げないと思われたわけで、となると一番警戒すべきはやっぱ若月だなと。
オリックスもCSでラオウこと杉本裕太郎が怪我したり、頓宮裕真も終盤出れなかったり「すべてが万全」でないのはあきらかでしたか、それはもう、言っても仕方ないんでね。別に「ラオウと頓宮が万全でない?ラッキー!」とも思わなかったし。つかこういう時に限って代役の選手が活躍するのが常なのでね。逆に言えば万全だからって必ずしも活躍出来るかはわからないものなので、とくにこういう短期決戦は。だからラッキーもクソもない。
ただし、山本由伸と宮城大弥、どちらの投手にも「2連敗する可能性は限りなく薄い」とは思っていた。普通にやればどちらとも1勝1敗だろ、と。これまた「そういうもの」としか言いようがないのですが。
ではいよいよ日本シリーズ、スタート!
◇ 日本シリーズ第一戦(2023年10月28日・京セラドーム大阪【開始】18:34【終了】21:54【試合時間】3時間20分【入場者】33,701人)
T 000 043 001 8
B 000 000 000 0
【勝】村上【敗】山本
【スタメン/阪神】8近本 4中野 9森下 3大山 5佐藤輝 7ノイジー D渡邉諒 6木浪 2坂本 P村上
【継投/阪神】村上→加治屋→岩貞
【スタメン/オリックス】7池田 5宗 3中川 9森 D頓宮 6紅林 4ゴンザレス 2若月 8野口 P山本
【継投/オリックス】山本→山田→ワゲスパック→山岡→阿部
【審判】川口、津川、福家、市川、深谷、石山
・勝利監督インタビュー
・ヒーローインタビュー
ま、第1戦なんで軽めに。
「ポストシーズンに弱い山本由伸」というイメージが定着していることもあって、何とかかんとか、勝てるだけの点数は取れるんじゃないかという目算はあったんですよ。
それにしてもまさか、5回1/3で7失点KOとは恐れ入った。
しかも打たれ方も悪かった。とにかくピンチになるとフォーク(スプリット?)の連投で、若月よ、このリードは後々に響くんじゃない?とも思った。
若月は警戒すべき選手に挙げたように本当にいいキャッチャーなんだけど、打たれた球種を投げさせなくなるって特徴があるね。ってこれは第5戦の伏線になっている。
あとはサトテルの盗塁は大きかったなぁ。しかも初球ですからね。あれで山本由伸が自分のペースで投げられなくなったのは明白だし。
村上は本当に良く投げた。調子自体は「シーズンよりは悪い、CSよりは良い」くらいだったけど、ちゃんと無失点に抑えただけでもたいしたものです。
しつこいけど2022年まで0勝の投手ですからね。
◇ 日本シリーズ第二戦(2023年10月29日・京セラドーム大阪【開始】18:33【終了】21:42【試合時間】3時間9分【入場者】33,584人)
T 000 000 000 0
B 001 300 31x 8
【勝】宮城【敗】西勇
【スタメン/阪神】8近本 4中野 9森下 3大山 5佐藤輝 7ノイジー Dミエセス 6木浪 2坂本 P西勇
【継投/阪神】西勇→ビーズリー→岡留→島本→加治屋
【スタメン/オリックス】8中川 4西野 2森 3セデーニョ D頓宮 5宗 6紅林 8野口 7廣岡 P宮城
【継投/オリックス】宮城→宇田川→山﨑颯→小木田
【審判】市川、福家、深谷、石山、嶋田、津川
先述の通り、リアルタイムでは中継をほぼ見てないんだけど、西勇輝はなぁ。何というか悪い時の西勇輝そのものって感じで、際どいコースをボール判定され出すとイライラする悪癖が出てしまったというか。
阪神も中盤までに4点ビハインドじゃあね。宮城のような「ちょっと小馬鹿にしたような」投球スタイルの投手はこの点差では一番打てないですよ。
◇ 日本シリーズ第三戦(2023年10月31日・甲子園球場【開始】18:03【終了】21:54【試合時間】3時間51分【入場者】40,994人)
B 000 131 000 5
T 010 000 300 4
【勝】東【敗】伊藤将【S】平野佳【本】頓宮 1号(4回ソロ)
【スタメン/阪神】8近本 4中野 9森下 3大山 5佐藤輝 7ノイジー 2坂本 6木浪 1伊藤将
【継投/阪神】伊藤将→ブルワー→岩貞→石井→桐敷
【スタメン/オリックス】8中川 5宗 9森 3頓宮 4ゴンザレス 6紅林 2若月 7廣岡 1東
【継投/オリックス】東→小木田→山岡→宇田川→平野佳
【審判】石山、深谷、嶋田、津川、川口、福家
この試合はね、7月28日に「電話しながら実況してもらった」友人が東京に出張に来てたんで一緒に見たんです。
終始厳しい展開で、途中まで内野ゴロの間の2点だけ、という厳しいというより寂しい展開でしたが、森下のタイムリーはシビれた。あれで多少溜飲が下がったというか。
実際、岡田も「負けたけど3戦目の追い上げでイケると思った」というようなことを口にしていますし、オリックス側からしたら山岡泰輔がああいう崩れ方をしたってことで山岡を使いづらくなってしまったのは間違いない。この「山岡が使いづらい」というのが後々響いてくるのです。
9回は惜しかったけどね。というか平野佳寿ですよ。もう半分サイコパスだもん。あれだけ「抑えようが打たれようがどっちだっていい」みたいな感じで開き直って投げられる投手なんて他に見たことがない。
各球団歴代の名クローザーはいるけど、メンタルだけで言えば平野がナンバーワンでしょうね。
◇ 日本シリーズ第四戦(2023年11月1日・甲子園球場【開始】18:01【終了】22:07【試合時間】4時間6分【入場者】41,050人)
B 010 000 200 3
T 110 010 001x 4
【勝】岩崎【敗】ワゲスパック
【スタメン/阪神】8近本 4中野 9森下 3大山 7ノイジー 5佐藤輝 2坂本 6木浪 1才木
【継投/阪神】才木→桐敷→石井→島本→湯浅→岩崎
【スタメン/オリックス】8中川 5宗 2森 3頓宮 4ゴンザレス 6紅林 9野口 7廣岡 1山﨑福
【継投/オリックス】山﨑福→比嘉→阿部→小木田→宇田川→ワゲスパック
【審判】津川、嶋田、川口、福家、市川、深谷
・勝利監督インタビュー
・ヒーローインタビュー
この試合もリアルタイムで見てないんだよなぁ。
ま、この試合で言えば、もう湯浅の登板に尽きる。つかPage2でも書いたように、湯浅はポストシーズン含めて今年はもう使えないと思っていたからね。それにしても「湯浅を出せば球場のムードが変わる」と読み切って投入した岡田には舌を巻くわ。
でもアタシはもうひとつ、あそこで湯浅を出した理由があると思っている。
あの場面ね、オリックスの打者が中川だったんですよ。
この時点までの中川は実は数字は悪くない。しかし「数字が悪くない=調子が悪くない」と見るのは危険で、打ってるのは主に抜いたような球が多く、速い球は右方向に打ち上げるのが目についていた。
だから岡田としては「球速のある投手であれば右左関係なく誰でも抑えられる」と踏んでいたはずで、実際、目論見通り右方向に打ち上げてくれた、と。つまりあれは言うほどギャンブル起用ではなかったのではないかと。
中島監督はシーズン中の活躍度合いもあってわりとシリーズで中川を重用したけど、個人的には「中川の数字に騙されちゃダメだ、使わない方がいい」とすら思っていた。それよりも、ま、それはまた後で。
何にしろ湯浅はよく抑えたし、ワゲスパックはダメだった。
んで大山は良く打った。あの場面大山は「押し出しとヒットでは流れが違う。だから選ぶのではなく打って決めようと思っていた」と語っていますが、これは「熱血!タイガース党」で渡辺謙が「あの打席の大山の背中に炎が見えた」と思った気持ちはわかります。
つかどうでもいいけど、渡辺謙、サンテレビに普通に出てるよな。マジでギャランティとかどうなってんだ。
◇ 日本シリーズ第五戦(2023年11月2日・甲子園球場【開始】18:03【終了】21:31【試合時間】3時間28分【入場者】41,031人)
B 000 100 100 2
T 000 000 06x 6
【勝】湯浅【敗】山﨑颯【本】ゴンザレス 1号(4回ソロ)
【スタメン/阪神】8近本 4中野 9森下 3大山 7ノイジー 5佐藤輝 2坂本 6木浪 1大竹
【継投/阪神】大竹→西純→島本→石井→湯浅→岩崎
【スタメン/オリックス】8廣岡 5宗 9森 3頓宮 7杉本 4ゴンザレス 6紅林 2若月 1田嶋
【継投/オリックス】田嶋→山﨑颯→宇田川→阿部
【審判】福家、川口、市川、深谷、石山、嶋田
・勝利監督インタビュー
・ヒーローインタビュー
で、ここで「山岡を使いづらい」のかモロに出るわけです。
結局理由は明かされなかったけど、山崎颯一郎に「何か」あったことは間違いなく、おそらく、とは言え病み上がりの状態の山崎颯一郎を8回に使ったのですが、これは失敗だった。
その前に田嶋ですよ。アタシが読んだ通り、田嶋は完璧だった。しかも尻上がりに調子を上げていった。たぶん年イチの投球だったと思う。
でも田嶋にそこまで信用がないのはアタシもわかっていたことで、8回に代えたことについては「当然。むしろよく7回まで引っ張ったな」と思ったくらいです。
それでも、だったら宇田川優希でいいんじゃない?というか山本由伸をベンチに入れていたなら山本由伸でも良かったんじゃ?という意見もわからないではないのですが、宇田川はシーズンで一度も3連投がなく、可能な限り休ませたい。山本由伸も、何しろ勝とうが負けようが第6戦の先発なので使わないに越したことはない。
となれば普通なら「病み上がりの山崎颯一郎」ではなく「山岡泰輔」なんですよ。
それが出来なくなった時点で「病み上がりの山崎颯一郎」に賭けるしかなかった。
それでもね、あの安達のエラーだよなぁ。
ベテランがあの場面で「ちゃんと握れてないのに送球する」ってちょっとあり得ない。たしかに投げなければノーアウトでランナーが出ることになるけど、それでも1塁ですよ。ぜんぜん、何とでもなる。というか2点リードしてることを考えたらピンチとすら言えない。
もしかしたら「病み上がりの」山崎颯一郎を助けたかったのかもしれないけど、それでもあれはベテランのやるプレーではないわ。
これでノーアウト2塁。続く代打の糸原がシブいヒットを打って1、3塁。さらに続く近本が「勝手に打」って1点入ってなおノーアウトランナー1、2塁。
ここで中野が送りバントを決めるのですが、いやぁ、これは良く決めた。こんなプレッシャーのかかるバントシチュエーションもなく、しかも中野は7回に2点目を献上するきっかけとなるエラーをやらかしてる。それを一発で決めたのは本当にたいしたものです。
このバントの直前、バッターボックスに入ろうとする中野に珍しく岡田監督が近づき、何を言うかと思ったら「バント任せた」と余計なプレッシャーをかけてきた、と中野は笑っていましたが、この辺も岡田らしいというか、セカンドにコンバートしたことも含めて、中野の気の強さというか負けん気のを引き出すために<あえて>余計なひと言を言いにいったのでしょう。
ワンナウト2、3塁。ここで堪らず中島監督は投手を代える。ここで代えるとなったら、もう、宇田川しかいない。
もちろん3連投です。でもね、ギリギリまで宇田川を我慢して、どうしようもなくなったら宇田川投入までは計算に入れていたと思う。だって「宇田川なら抑えられる」という目算があったはずだし、実際、ここまでの宇田川は完璧だった。
第4戦が終わった段階でアタシが「これはちょっと、打つのは無理」と唯一思ったのが宇田川で、オリックスの強力投手陣、とくにリリーフ陣の中でもさらに頭ふたつ、いやみっつ抜けてるぞ、と。
さすがに3連投なので多少は落ちてはいるだろう。それでも「頭ふたつみっつ」が「頭ひとつふたつ」に落ちるだけで、どっちにしろ易々と打てる投手陣じゃない。
しかもバッターは中野に続いてダブルエラーをしてしまった森下。ルーキー森下。しつこいけど2022年のドラフト会議で指名されて入ったばかりの、まだ22歳の若造です。
この頃からネット界隈で「令和の長嶋茂雄」と言われ出したけど、もはや「勝負強い」とか「クラッチヒッター」なんて形容では物足りない。マジで長嶋茂雄ばりに「勝負どころでこそ真価を発揮する」という「とんでもない選手」というのがあきらかになったのです。
阪神贔屓ですら、まさかここまでとは知らなかった。たぶん岡田をはじめ阪神の首脳陣も「ここまでの選手とは」と思っていただろうし、そんなのオリックス側に、つか中島監督にわかるわけないよ。ま、岡田に言わせたら
-監督、あの時泣いていたでしょう?
「泣いてへんよ。なんで泣かなあかんの。森下が打つのわかってたやん」
-え?打つのがわかっていた?
「そうよ。森下のところでピッチャーを変えてくるのはわかっていた。宇田川は3連投。移動日で1日空いたけど4連投やん。そりゃ、もう普通の宇田川と違うやん。フォークも落ちてへんやん。中野に送らせたところで、敬遠で大山勝負をしてくると思っていた。それが森下と勝負してきた。もう、その段階で打つと確信していたよ」
てことらしいけど、前の日も「(サヨナラの場面で)大山が打つと思ってた」とか言ってたからブラフの可能性もあるけどね。
もうひとつ。完全に宇田川の息の根を止めたのが続く大山のタイムリーなのですが、これが第1戦の伏線回収でして、ストレートを森下に打たれたので追い込んでから若月がフォークしか要求しなくなった。それを読んだ大山が見事にバットの先で拾ってもう一点となった、と。
あの場面、大山、あきらかにストレートにタイミングが合ってなかったのにね。もったいない。
この試合について福留孝介が面白いことを語っているので、その動画も貼っておきます。
◇ 日本シリーズ第六戦(2023年11月4日・京セラドーム大阪【開始】18:33【終了】21:34【試合時間】3時間1分【入場者】33,633人)
T 010 000 000 1
B 020 020 01x 5
【勝】山本【敗】村上【本】ノイジー 1号(2回ソロ)、紅林 1号(5回2ラン)、頓宮 2号(8回ソロ)
【スタメン/阪神】8近本 4中野 9森下 3大山 7ノイジー 5佐藤輝 D糸原 6木浪 2坂本 P村上
【継投/阪神】村上→西勇
【スタメン/オリックス】8中川 5宗 6紅林 9森 3頓宮 4ゴンザレス 7杉本 Dセデーニョ 2若月 P山本
【継投/オリックス】山本
【審判】深谷、市川、石山、嶋田、津川、川口
普通であれば、あれだけ劇的な勝ち方をした阪神が第6戦もとって、となりそうなものだけど、いやぁ、オリックスはたいしたものだわ。とくに山本由伸。
正直、調子自体は初戦とそこまで違わなかったように思う。ヒットも結構打たれてたし。
でもさすがに若月も反省したのか、球種をバラけさせていたし、山本由伸もね、さすが「NPBナンバーワン投手」の名に恥じない踏ん張りを見せました。
しかも完投したので、あきらかに登板過多だった、そして打たれたショックがあったはずの宇田川を休ませることが出来たのが大きい。
ただし岡田も負けていない。村上の降板後、リリーフ陣を一切使わず第2戦で打たれた西勇輝に3イニング投げさせたんだから。
これで阪神も桐敷、石井、湯浅といった中継ぎ陣を休ませることが出来た。
どちらも万全、とまでは言えないけど、やることをやった第6戦。ついに勝負は第7戦にもつれ込むことになるのです。
◇ 日本シリーズ第七戦(2023年11月5日・京セラドーム大阪【開始】18:34【終了】21:44【試合時間】3時間10分【入場者】33,405人)
T 000 330 001 7
B 000 000 001 1
【勝】伊藤将【敗】宮城【本】ノイジー 2号(4回3ラン)、頓宮 3号(9回ソロ)
【スタメン/阪神】8近本 4中野 9森下 3大山 7ノイジー D原口 5佐藤輝 6木浪 2坂本 P青柳
【継投/阪神】青柳→島本→伊藤将→桐敷→岩崎
【スタメン/オリックス】8中川 5宗 6紅林 2森 3頓宮 4ゴンザレス D杉本 9野口 7福田 P宮城
【継投/オリックス】宮城→比嘉→小木田→宇田川→山﨑颯→東
【審判】嶋田、石山、津川、川口、福家、市川
・優勝監督インタビュー
・MVPインタビュー
決戦となった第7戦は意外な形で試合が動きます。
つか意外すぎるわ。まさかノイジーとは。
あれ、とにかくただのホームランではなく「3ラン」だったのがすべてですよ。岡田は「(1985年の日本シリーズ第6戦で初回に満塁ホームランを放った)長崎さんを思い出した」と語っていますが、いきなり3点差は大きすぎる。
というかね、前日の山本由伸のホームランもだし、この日の宮城からのホームランもだけど、軽~くバットを振ってるだけなんですよ。
どうしてもノイジーと言えばメチャクチャグリップに力が入ったような打ち方ばかりで、その結果ポップフライを量産していたのですが、やりゃ出来るじゃん。それでいいんだよ。軽くスイングしたら飛ぶんだから。
でもね、7戦と言えば何と言っても青柳ですよ。
日本シリーズ第7戦、阪神の先発は青柳晃洋でした。
正直、青柳が先発ということに不安を抱かなかった阪神ファンはいないと思う。とにかくずっと、シーズン中は不安定で、最後の最後まで「イケる」という姿を見ることはありませんでした。
(中略)
実際、青柳のピッチングは、坂本誠志郎のリードを含めて、いろいろと「かなぐり捨ててきたな」と思えるものでした。
球種はほぼストレートとツーシームのみ。坂本もミットの位置は常にド真ん中。つまり「スピードボールをド真ん中めがけて投げて、適当に散らばってくれたらそれで良い」という構えです。
こんなの、2年連続最多勝の投手にすることじゃないですよ。はっきり言えば「どうせコーナーへの投げ分けなんか出来ないんだから」という、いわば投手を莫迦にした構えです。
しかし、この日の青柳はそんなことはどうでも良かったと思う。そんなプライドよりも、今日、試合に勝つ。チームを日本一に導く。そっちの方がはるかに大切だとわかっていたと思う。
そうして上手い具合に立ち上がった青柳でしたが、オリックスもたまに投げるスライダーとチェンジアップに面白いようにバットが空を切った。つまり完全に青柳ペースになったのです。
先日も書いたように、日本一は「ただただ嬉しい」と「ホッとした」が混在した感情になっただけで、リーグ優勝の時のようにボロ泣きしたわけじゃない。
そんなアタシが第7戦で唯一泣けたのが青柳のピッチングです。
いやピッチングそのものというよりは、青柳がすべてを理解して「かなぐり捨てた」ことに感動したのです。
青柳は変則投手です。つまりは本格派ではないので、どうしても、いくら2年連続最多勝を挙げても「エース」という感じに思われづらかった。
でも最後の最後に、エースの姿を見せてくれた。あれだけ、チームの勝利のために「かなぐり捨てて」やれるのはエースしかいない。
だから2024年の阪神タイガースのエースも、村上頌樹でも伊藤将司でもなく「青柳晃洋」なんです。(2023年11月14日更新「かなぐり捨てる」)
とにかく、何にしろ、阪神タイガースが38年ぶりの日本一という結果で日本シリーズの幕が下りたのです。
敗者に鞭打つみたになるのが嫌なのでひとつだけオリックスのことを。
個人的には福田周平をもっと上手く使えたんじゃないかなぁと思うんですよ。第7戦は青柳対策でスタメンで結果を残しましたが、あくまでアタシの意見としてどこかのタイミングで中川に見切りをつけて福田に切り替えていればもうちょっとね、オリックスに得点機会が増えたような。
福田って阪神で言えば糸原と似た立場の選手で、わりとレギュラー格だったのに2023年は控えに終始したというか。阪神はというか岡田監督はこと日本シリーズではかなり上手く糸原を使ったのにたいし、中島監督は福田の出番を上手く作れなかった、そんな印象です。
でもオリックスは本当に強かった。って書くと嫌味みたいだけど、結局阪神が勝てたのは最後の最後でノイジーのびっくり箱が出たからだけだから。
あ、日本一の胴上げ、ビールかけは、まァいいか。検索したら出てくるんで、テキトーにご覧ください。
もういっこ。優勝特番は書いて日本一特番は書かないのもアレなので一応。
・NHK大阪放送局「おめでとう!!阪神タイガース 38年ぶり日本一!」と(6日0時40分-3時)
・毎日放送「59年ぶりの関西ダービー 阪神アレのアレしたよん 38年ぶりの日本一やねん」(6日0時50分-2時20分、司会 河田直也)
・朝日放送「虎バンSP あかん阪神日本一なってもた!!」(5日23時-6日1時40分、司会 横山太一、小西陸斗)
・関西テレビ「緊急生特番 鳥谷&糸井が参戦!アレよAREよと38年ぶり阪神日本一SP」(6日0時40分-2時10分、司会 新実彰平、橋本和花子)
・テレビ大阪「日本一特番」(6日1時10分-40分)
・サンテレビ「阪神タイガース 2023 日本一記念 特別番組「チャンピお~んSP」」(5日23時30分-)
これにて阪神タイガースは2023年度の全日程を終了したのですが、Page5に続きます。って終わったんだろ?何を書くことあんだよ?と思われるかもしれませんが、あるんですよ。