3/4
星電社レクイエム
FirstUPDATE2023.8.8
@8bitマイコン #神戸 #1980年代 @戦前 #戦後 #震災 ヤミ市 星電社 せいでん 生田区 葺合区 パレックス イナハラ オージス スーパーブレイン どらえもん 関西通商 三宮 ニノミヤ ヤマダ電機 LABI三宮 ★Best 全4ページ レトロゲーム機 PostScript

 ここからは星電社の話は一旦ペンディングして、1980年代なかばの「神戸市三宮のマイコンショップ事情」について書いていきます。

 とはいえ名実ともに星電社が三宮のマイコン販売の<雄>であることには違いないわけで、星電社は本館だけではなく三宮の別の場所にもマイコン関連及び電子工作関係の店舗を構えていたのです。
 てなわけで、ここからは星電社を含む「やぶにらの1980年代神戸三宮マイコンショップ大全」を。


◇ せいでん本館(2023年現在、LABI三宮)

 最上階にあるC-SPACEについてはPage2に書きましたが、少なくとも1985年頃まで5階にレコード売り場ならびゲーム売り場がありました。
 1985年、というとすでにファミコンは発売されており、たしか前年の1984年だったと思うけど、シャープのC1に「ドンキーコング」が刺さっていてデモをやってたのを峻烈に憶えている。
 今見るとだいぶ違うとはいえ当時は「ゲームセンターそのもの」に思える出来だった「ドンキーコング」がC1で、つまりRGB出力で表示されているのを見て腰を抜かした。何あのファミリーコンピュータとかいう機械、この値段でこの性能っていったいどうなってんだ?と。少なくともグラフィックにかんしてはMSXより<はるかに>上じゃん、とね。
 もうひとつ。1985年の一時期、6階のC-SPACEを大改装するため一時的に4階に売り場を移設していたらしいけど、これも記憶にない。


◇ せいでん南館(2023年現在、ユザワヤ)
 1987年4月、大学に通うためにアタシは大阪でひとり暮らしをはじめることになったわけで、つまり以降の星電社については「神戸に帰ったタイミングで行くことはあったと思うけど、ほぼ記憶が皆無」なんです。
 大阪に転居して以降にマイコン売り場は南館に移設された、と思う。1986年以降、星電社は何故か「I/O」に広告を出さなくなったので、まったく正確な時期も確証も掴めないのです。
 こればっかりは住宅地図ではわからないし、もしかしたら神戸新聞を洗ったらわかるかもしれないけど、神戸新聞は当時縮刷版を発行しておらず、すべてマイクロフィルムで調べなきゃいけない。
 てな理由で、残念ながら調査はタイムリミットになってしまいました。ってまァ、アタシ個人としたら「南館のマイコン売り場」は思い出皆無なので、そこまでやろうとは思わなかっただけだけど。(Wikipediaによると『1994年3月12日には、「関西初のコンピューマート」として星電社のパソコン関連売場の名として長く使われた「PC-PORT」を開店』とあるのですが、これが南館にあたるのか不明だし、さすがに1994年よりも早い時期だったように記憶している)


◇ せいでんパーツ さんプラザ店(さんプラザ2階、2023年現在、エクササイズコーチ三宮店が入店)
 本業、とも言えるパーツ類の小売ですが、やはり時代の波には逆らえなかったのか、たしか1986年頃に本館のゲーム売り場がここに移転し、パーツ半分ゲーム半分、みたいになってました。ココに書いたファミスタのデモ映像を見たのはここです。
 ちなみに1981年の秋頃まで、つまり星電社マイコンジムが出来るまでは南館の位置にあり、ここにマイコン本体やソフトウェアを置いてあったそうです。

◇ せいでんレンタルプラザ/せいでんOAプラザ(センタープラザ西館3階)
 3階の西端に向かい合わせであった店舗ですが、正直レンタルプラザの方は記憶がない。

 OAプラザはMZ-700のプロッタのデモをやってたこと、あと何故かここで延々「倉庫番」(というパズルゲーム)をやってたことを憶えています。
 なお、レンタルプラザの方は閉店後、現在まで他の店舗の入居がなかったようで、シャッターにはいまだに「せいでん」の文字が残っています。



◇ 星電社オーディオ→せいでんミュージック?(さんちか南端。2023年現在、せいでん携帯ショップ)
 かつてここに星電社のオーディオ専門店があったらしいけど、アタシは知らない。たぶん一回も行ったことがないはずです。
 しかししかし!2023年現在、唯一「せいでん」の名前を残すのがこの店で、何故か「LABI三宮携帯ショップ」ではなく「せいでん携帯ショップ」になっているのです。
 

 詳細は後述しますが「せいでん」というブランドを掲げる理由は何もないはずで、もしかしたら「さんちか」との賃借契約でそうなってるかもしれないけど、とにかく今、ただの名前だけで実体がないとはいえ、唯一残る星電社と思えば「ただの携帯電話屋じゃねーか」というイメージが吹っ飛ぶはずです。



 ここからは星電社以外のマイコンショップについて。

 
◇ ニノミヤ(「市役所前」というバス停の前。2023年現在、洋食屋がある場所)
 何しろ場所が三宮で、ちょっと北東に行けば二宮という町名もあり(そこにある二宮神社は一時期、嵐のファンがよく来ていた)、非常に紛らわしいのですが、あくまでニノミヤというのは創業者の姓で、ニノミヤの創業の地は今の日本橋でんでんタウン、つまり大阪です。
 比較的早い時期に三宮に進出していましたが、でんでんタウンでは上新電機と一騎打ちを繰り広げるほどの勢力だったのにたいし、三宮ではかなり影が薄く、敷地面積も小さかったし、正直、星電社の対抗馬、というほどではなかった。マイコン売り場は4階の全フロアを独占していたけど、そもそも敷地が狭いので「品揃えが良い」とは言い難かった。
 それでも「じゃあ二番手は」となるとやっぱりニノミヤで、アタシはここで富士通から発売されていたMSX機の「FM-X」と「マッピー」をセットで購入しています。(何でFM-Xを買ったのか、理由はココ
 あと、ニノミヤのマイコン売り場で印象深いのはPC-6601というNECの機種で、松田聖子が歌って大ヒットしていた(というかサントリーのペンギンのアニメCMでお馴染みだった)「SWEET MEMORIES」をPC-6601に歌わせる、というデモを延々やってたことです。

 もうひとつ、これもPC-6601だけど、PC-6601に標準で添付されいたゲーム「コロニーオデッセイ」がロードされていた、ことですか。


◇ パレックス(LABI三宮とユザワヤの間の路地の西、2023年現在ヴィーナスギャラリーというパチンコ屋が入店している辺りに存在)
 パレックスというのはいわばダイエーの家電販売店で、かつてダイエー村とまで言われた三宮にこういった形態の店舗があるのは当然です。
 ところがパレックスにかんしての記憶がぜんぜんない。たしかあんまり品揃えも良くなかったし(もちろん星電社に比べたらですが)、別にダイエーだからといって安くもなかったので、本当にたまにしか行きませんでした。
 しかしだからと言って何も書かないわけにはいかないので、引用ではありますが少し店内のことを紹介します。
 当時の「I/O」巻末に「あきはばら地図(マップ)」や「にっぽんばし地図(マップ)」といった具合に、読者投稿の形で「この店にはこんな製品が置いてますよ!」とか「この製品が安いよ」みたいなレポートが載ってたんです。
 「あきはばら(=秋葉原)」と「にっぽんばし(=日本橋)」は必ず毎月掲載でしたが、毎月ではなかったものの隔月くらいの感じで三宮のレポートも掲載されていました。もちろんスペースはだいぶ狭いですが。

いつの間にか(筆者注・マイコン売り場が)地下に移転していました。PC、FM、X1などがデモしていました。ソフトは¥900コーナーや半額のがありました。会員の人は5%引きだそうです。


 これは1985年6月号に掲載されたパレックスのレポートですが、地下に移転したとかまったく憶えがない。うーん。
 この「I/O」の店舗レポート、所詮は読者投稿=素人が書いているので文章は稚拙なんだけど、どれも本当に面白くて、本当は全部紹介したいくらいなのです。つか最初は星電社(C-SPACE)のレポートは1982~1986年の全部引用してやろうかと思ったくらいで。
 さすがにそれは、と思いとどまりましたが。


◇ イナハラ事務機(LABI三宮のセンター街側の斜め向かい。2023年現在靴下屋が入店している場所)
 ここは場所が良いのと意外と品揃えが良いのでよく行ってました。
 さすが事務機器の店だけあってカシオ製マイコンにはとくに力を入れており、FP-1100がアタシが知る限りどこの店よりも良い扱いでした。
 あと、これはかなり怪しい記憶ですが、ポケコンに強かったイメージがある。




◇ オージス(センタープラザ西館2階の東端。2023年現在リラクゼーションサロンが入店)
 正直言えばあんまり憶えてない。ただ品揃えは良かったはずで、結構頻繁に行ってたはずなんですがね。
 しょうがないのでパレックスのときと同じ、1985年6月号「I/O」から引用します。

アニメイトジュンクの隣にあります。入口でゲーム・パソコンがゲームをやっていました。ハードは、JXを始めとして、PC、FM、X1、MZがデモをしていました。X1turboとPC-8801mkⅡSRがグラフィックのリアルさを競っていました。FM-77がデルフォスをデモしていたのでやろうとしたら、キーボードカバーがついていました。残念!。奥にはビジネス・コーナーがありました。


 長々引用したのは当時の雰囲気が良く出ているからで、ちなみに「デルフォス」とは「I/O」に掲載されたゼビウスタイプの縦スクロールシューティングゲームです。


◇ スーパーブレイン
 これはちょっと説明が必要になります。
 せいでんパーツなどが入店していた「さんプラザ」は今でこそ地上6階建ですが、かつては10階建だったんです。
 しかし阪神淡路大震災で7階より上の階が倒壊し、結局6階部以下は残して7階部以上を撤去する、ということになった。
 で、です。阪神淡路大震災の前、さんプラザの上層階にマイコンショップもあった、という。
 ひとつが8階にあった「スーパーブレイン」ですが、間違いなく行った記憶はあるんだけど、とにかく気分的にかなり遠い(つか高い)ので、あんまり行こうとは思いませんでした。



◇ どらえもん
 ♪ アッタマテッカッテェカ!じゃないよ。んで全文字平仮名なのも間違いじゃないよ。
 こっちはさんプラザの10階にあったのですが、さらに気分的に遠くてやはり行った回数はかなり少ないです。
 しかしもうひとつ、2022年に閉館になったサンパルの4階にも「どらえもん」(2号店という表記もあるが定かではない)があり、そっちはわりと行ってた記憶があります。


◇ コンピュータ11
 1984年の5月号、6月号他の「I/O」のレポートにあったもので、場所はせいでんOAプラザと同じくセンタープラザ西館3階にあったようです。
 ここにかんしては完全に記憶が欠落しており、詳細な場所の特定も出来ませんでした。



◇ ユーバース(阪急花隈駅近く、高架下)
 もうこれこそ記憶皆無で、最初「元町のあたり」としか場所が判明しなくて、そういやあんまり元町方面のマイコン関連の店に行ったことがないなぁ、と思っていたんだけど、よくよく調べると、どうも元町・神戸駅間の高架下、通称モトコータウンにあったらしい。
 モトコー!ここは本当によく行ってたというかよく通っていた。なのに「ユーバース」なるマイコンショップがあったという記憶がまったくないのです。

 ちなみに2023年現在、モトコータウンは再開発中で、ごく一部を除いて営業している店舗はありません。
 マイコンの話から離れるけど、モトコーのあの怪しげな感じがなくなったのは寂しいね。


◇ パソコンレンタル あるあーるえむ(<rRM>という表記アリ/センタープラザ西館3階)
 せいでんOAプラザの並びにあった店で、ここはかすかに記憶があります。
 「パソコンレンタル」と言ってもパソコン本体のレンタルではなく、ま、ソフトウェアレンタルでして、結構問題になったのでわりとすぐになくなった。と思ってたんだけど、どういう商売の形態かは把握していませんが、この店舗は相当後年まで残っていました。


◇ 店名・場所不明のマイコンソフトレンタルショップ
 同じくマイコン用ソフトのレンタルショップですが、どうしても店名、場所の特定が出来ませんでした。
 薄い記憶を辿れば、ニノミヤの並び、つまり京橋筋を元町方面に数十メートル歩いだところの、わりと汚い雑居ビルの2階にあったはずなんです。
 記憶違いも換算して、付近の雑居ビルのテナントを片っ端から調べてみたのですが、該当しそうなビルはありませんでした。
 アタシが「そういう店舗が確実の存在していた」と信じるのは、ここで「X1用ゼビウス・ジョイスティック付き」をレンタルした記憶があるからです。
 本当は購入したかったんだけど、どこも売り切れで、しかしレンタルはあったので借りた、と。
 あの馬鹿デカいパッケージそのままのレンタルで、コーナーにはセロテープが貼ってあった記憶まである。


◇ ジュンク堂 サンパル店(サンパルは2022年に再開発のため閉鎖。順次解体)
 「どらえもん」の下の階、つまり3階はほぼスペースがジュンク堂が埋めてました。
 念の為申し上げておけば、今はジュンク堂は全国にありますが発祥は神戸です。
 センター街の地下にも大規模な店舗を構えていましたが、サンパル店も相当規模が大きかった。
 何しろ書店なのでマイコン関連の本が充実しているのは当然として、一部ソフトウェアまで販売していた。アスキーから出ていたソフトは確実に置いてあったはずで、アタシはここで日立ベーシックマスターレベル3用の「中日ー巨人戦」を購入しています。
 さらに言えば、一応ですがマイコン本体も売ってるのは売ってた。
 イギリスのシンクレアが開発したZX81がそれで、日本での販売代理店は何故か三井物産が担っていたんです。
 それはいいのですが、家電販売店やマイコンショップではなく「書店を販売ルートにする」という方針だったようで、たしか丸善とかにも置いてた記憶がある。


◇ シャープOAショールーム(日本生命三宮駅前ビル。2023年現在、ハローワークが入居)
 ここは名前でもわかる通り、シャープ製マイコンを持ってない人にはまったく関係のない店っつーかショールームです。
 当時アタシはMZ-1500とX1を所有しており、X1はまだメジャーだったのでどこでもソフトが手に入ったけど、MZ-1500は発売されて1年くらい経つと完全にマイナーな存在になってね、もうここくらいでしかソフトが入手出来なかったのです。
 って、待てよ?ということはここ、ショールームなのにソフトの<販売>もやってたのか。


◇ 関西通商(神戸市道葺合北161号線沿い。セブンイレブン神戸琴ノ緒町5丁目店そば。2023年現在、保育園)
 今の言い方ならディスカウントショップ、当時風に言えば「バッタ屋」ですが、ここはマイコン関連商品は置いてなかったような気がする。
 ってじゃあ何で取り上げたんだって話ですが、ここね、おそらく三宮で一番ファミコンソフトが安かったんです。
 ココに関西通商でファミスタを買った話を書きましたが、「スーパーマリオブラザーズ」もここで買った。とにかく発売直後の人気タイトルでも関係なく割引率がすごかったんですよ。
 てな理由で番外編的に取り上げました。



 以上、住所は書かない形で、でも跡地が今で言うとどこかがわかるように書いてみました。あと言うまでもないけど、せいでん携帯ショップを除いてすべて現存しません。
 こんな感じかなぁ。まだ<抜け>はありそうというか、実際「I/O」のショップレポートにはこれ以外にもいくつか未確認の店舗の記載があります。
 しかしそれらはいずれも場所の特定が不可能で、しかもアタシが行ったことがないので何も書きようもないので割愛させていただきました。

 でもね、アタシはPage1にて「2023年現在のパソコン系ショップ」を書き連ねましたが、こうやって見るだけで1980年代の方が圧倒的に数が多く、品揃えも充実していた、というのはわかってもらえたはずです。
 そんな感じでPage4に続く。