えと、2022年に「やぶにら大全番外編 2003年のアタシへ贈る言葉」なんてエントリを書いたのですが、その姉妹編というかなんというか。
「やぶにら大全番外編 2003年のアタシへ贈る言葉」というエントリはタイトル通り、もし2003年の世界に住む、当時35歳のアタシがインターネットの<ねじれ>で未来のネットワークに接続されて、この頃構想中だったマイサイトの、決めたばかりのサイトタイトルである「やぶにらみJAPAN」と検索したらこのエントリにつながった、という体で書いたものです。
アタシがこのエントリで書いたのは、いわば「公開を前提に書いた、過去への自分に向けた私信」であり、こんな妄想爆発なエントリが本当に成立するかわからなかったんだけど、結果として2003年と2022年(エントリ公開当時)との違いが浮き彫りになったと思っています。
で、です。
今回も趣旨自体は非常に似ているのですが、何で「45年前」なのか、です。
2024年基準であれば45年前と言えば1979年ってことになるし、アタシの2024年の年齢55引く45、イコール今回は「10歳の自分への私信」ということになります。
というか鋭い方ならピンと来ているかもしれませんが、エントリタイトルを「1979年のアタシへ贈る言葉」ではなく「45年前・・・・・・」としたところにヒントがあります。ついでに「・(中黒)」の数にもヒントがある。
そう、このエントリは「ドラえもん」の一編、具体的には1985年9月号の「小学六年生」に掲載された「45年後・・・・・・」(「ドラえもんプラス5巻」に収録)のパロディなのです。
この話はタイムマシンで、のび太が住む世界(何年とは明示されていないが、おそらく初出の1985年だろう)に<45年>後の世界(つまり2030年)の世界から「大人になったのび太」がやって来る、というところからストーリーは始まります。
これも明示されてるわけではないけど、のび太の年齢はおおむね10歳(小学4年生)と設定されていることが多く、となると<45年>後の世界から来た「大人ののび太」は55歳ということになる。
55歳!?ということは2024年時点でのアタシの年齢とピッタリで、いや正確には誕生日が来るまでで、厳密にはもう誕生日は過ぎちゃったんで55歳じゃなくなったんだけど、ま、勘弁してください。
「45年後・・・・・・」はあくまで「10歳ののび太目線」で語られた話で、「55歳のび太」も一応は「何で過去にやって来たのか」の理由は語っているんだけど、大人らしく、細かくは語っていない。
『遠い昔によんだ本をもう一度よみ返してみたい』というのも嘘偽りではないとは思うのですが、実際に「55歳のび太」と同年齢になったアタシからすれば、きっと、それだけではなかったんだろうな、というのは容易に想像がつく。
たぶんね、「10歳のび太」にたいして、伝えようかな、ということもいっぱいあったはずなんですよ。でも実際はほぼ何も言ってない。
ま、「どんな人生を歩んだか」の話は10歳のび太の方から断ってるんだけど、それでもね、聞かれたらこう答える、くらいの準備はしてあったはずで、なのに結局は最後、あえて具体性に欠ける示唆しかしていない。
こういうところがアタシが「大人の言動」と感じたところで、これがね、ハタチやそこらだったらきっと「将来困るから今から勉強しろ!」とか言ったはずなんですよ。
でも「そんなこんながあって今の自分や今の環境がある。それを失いたくない」と思うようになる55歳ならこの言動は理解出来るというか、要するに下手に過去の改変なんかしたくない。ドラえもんが繰り返し語ったように「未来なんて簡単に変わる」んだから、自分(55歳のび太)が余計なことを言って未来が変わって、しずちゃんとの生活やノビスケが生まれてこない未来が怖い、と思うのは当たり前というかね。
同年齢だからなのか、実はアタシも「55歳のび太」と似たようなところがあって、そりゃあね、本当にいろいろあったんですよ。アタシの人生とやらは。何度も書いてるように自死を選択する寸前だったことさえある。
でもね、そんなこんなを含めていろいろあったからこそ今の自分がいる、と痛感している。「ぜんぜん別の人生」ってのもSF的観点であれば面白そうだけど、「面白そう」ってくだらない理由のために今の自分というよりは今の人の縁を失いたくない。
となるとです。もしそんなチャンスがあったとしてね、アタシが<45年>前の、つまり10歳の自分に何を語りかけたらいいのか、もし仮に接触を持つことが可能だとしても、どういう関わり方をした方がいいのか、非常に難しい。
おそらく「55歳のび太」も相当悩んだのではないか。たしかにもう一度、10歳の頃の自分に帰ってみたい。しかしそうなると「10歳のび太」との接触は避けられない。
じゃあ自分はどのような態度でいればいいのか、これはけして思い付きで出来るような行動ではない。
ちなみに「45年後・・・・・・」初出の1985年と言えば作者である藤子不二雄の藤本弘先生は52歳です。
この頃藤本先生は当然結婚しており、娘も3人いた。これはもう想像だけど、この頃の藤本先生は「過去の改変」よりも「過去への干渉は極力避ける形で、それでも時間旅行を楽しみたい」という方向に興味があったんじゃないか。
このことは「T.P.ぼん」を読めば明白で、「T.P.ぼん」には「関わると未来に影響しそうな人間には極力没干渉を貫く」という不文律がある。
いくらタイムマシンがあるからといって、未来人は簡単に過去を生きる者の未来を変えてはいけない。そんなことをしていたらメチャクチャなことになる。
個人的なことで言っても「今の自分がなくなってしまう」のがどれほど恐怖か、それが痛いほどわかっていたからこそ「55歳のび太」にあのような言動を取らせたと思うわけで。
このエントリにおいてもこの不文律は守りたい。
あくまで「45年後・・・・・・」の逆転バージョン、つまり「55歳アタシ目線」から「10歳アタシ」への私信になるんだけど、こと未来への示唆は極力最小限で済ませたい。
これが前回の「やぶにら大全番外編 2003年のアタシへ贈る言葉」のように20年前であれば、まァある程度の想像がつくというか、言わなくてもわかるよね?みたいな示唆も出来るんだけど、今回は何しろ相手は子供です。しかも<45年>という長い年月もあるわけで、こっちからしたら「ほんのちょっと」のつもりでも、今のアタシがまるっきり別人になってしまうほど変わる可能性がある。
そうなると、余計なことは絶対言いたくない。何しろ「未来なんて簡単に変わる」んだから。
ではいったい、何を書きゃいいんだ、となると思うのですが、まァナンナと、書けることはあるんじゃないかとね。
とまあ、ここまでが長い長い序章。それでは参ります。あ、今回は「インターネットの<ねじれ>」みたいなギミックがないので普通に手紙ということにします。
あ、あと言っても子供相手の手紙なのでね、ひらがな多めで書きます。
ではどうぞ!
はじめまして。45年後の自分です。こうやって小学4年生の自分自身に、いやまてよ、小学4年生じゃないな。1979年の9月ってことは5年生か。まァ細かいことはどうだっていいや。
そうか、5年生か。ということはアレだな。担任はK先生だな。K先生と言えば、ま、何の因果(いんが)か、いやそれはいいか。
いやね、何でこんな手紙を書こうと思ったかと言えば、ちょっとね、なつかしい気持ちにひたろうと思ってね。そうだな、たとえるなら「遠い昔によんだ本をもう一度よみ返してみたい」なね、そんなことあったなぁ、みたいなことを書いていければと思ってるわけですよ。というかアナタと語り合いたいと思ってるわけですよ。
そうは言ってもタイムマシンがあるわけじゃない。残念ながら45年後の世界でもタイムマシンは発明されていない。今は2024年、ということはですよ、ドラえもん誕生まであと100年を切ってるんですよね。なのにタイムマシンはおろかタケコプターも発明されてないわけでして、うーん、ホントに間に合うのか?
てなことを書いたのも、ちょうどね、この頃に「ドラえもん」にハマり出したんだったな、と思い出したからなんですよ。
それまでは「ドラえもん」はおろかマンガってモン自体あんまり読んでなかったんだよね。たぶん読んでたマンガなんて「ドカベン」くらいじゃなかったっけ?
あれ、何でだったのか、いまだにわからない。つか昔はおぼえてたかもしれないけど、わすれた。
とにかくね、この年の4月からアニメの「ドラえもん」の放送がはじまって、でも第1回目の放送は見てなくて、放送が終わったタイミングで家の前で「ドラえもんのアニメはじまったな」みたいな話を友達たちがしてたんだよね。
でもそもそも「ドラえもん」のマンガ自体読んだことがない自分は話についていけなくて、友達に「ドラえもんって、そんなに面白いの?」とか聞いたんだっけ。
そこから「ドラえもん」にハマってね、あれからずっと、今もちゃんと「ドラえもん」は大好きだから。というか今も、それもいいか。
そうそう、「ドラえもん」をもっと読みたいなぁとは思ってたけど単行本がなかなか買えなかったんだったっけ。たしか最初に買ったのは13巻だったかな。何でこんな中途半端なところから買い始めたんだろ。ねぇ。小学5年生の自分ならおぼえてるだろうけど、もうわすれたわ。
せめて、単行本が買えないかわりに毎月コロコロコミックは買ってたんだよね。これはおぼえてる。なにしろさ、あれだけぶあつくて「ドラえもん」以外にも藤子不二雄のマンガがいっぱいのってて、それでほぼ単行本と変わらない値段だったからねぇ。そりゃお得感が違うもん。
えと、そっちの世界って1979年、じゃわかんないか。昭和54年9月18日だよね。ということはコロコロコミックの10月号が発売されたばかりか。
これでしょ?うん、なつかしいなぁ。
いやぁ、何よりドラえもんとオバQがほぼ同じ比率で描かれているのが泣ける。うん、泣けるんだよ。理由は聞くな。
んで特集ページがコレだよね。
これも泣けるなぁ。藤本弘先生と安孫子素雄先生が、なぁ。だから理由は聞くなって。とにかくオッサンが見たら泣けるんだから。
でもさ、たぶん一番ビックリしたのがこの折込ページだよね。
大丈夫。これは言ってもいいと思うから言うけど、来年、つまり昭和55年の春にちゃんと「ドラえもん」の映画が劇場で公開されるよ。そこは安心して。
ただ、ここにあるような「爆笑ギャグ」映画じゃないかな。もっとこう、すげえ迫力のある、それでいてジーンとするような、ね。とにかく面白い映画になるから。
ちなみに映画完全オリジナルの話じゃなくて、すでにてんとう虫コミックスに収録してある話を長編化&大幅にブラッシュアップした・・・ブラッシュアップってわからないか。まァわからないなりに感覚で「すごいことになる」ってわかってりゃ十分です。
それにしてもこの号のコロコロコミックは意外とオッサンになった今でもおぼえてて、とくに、なぜかこんなのがあったことまでおぼえてた。
よほど印象が強かったのかなぁ。
ま、このまんが入門のコーナーは、しのだひでお先生がさんざっぱら「ネズミとどら焼きにたよるな」って言ってて、でも「まさかそこでミッキー?」みたいな意外性があって、たしかにネズミネタなんだけど、これはこれでアリみたいな感じだったから印象に残ったのかねぇ。
それとこの、中ほどのページのこの特集もすごいな、と。そうか、この頃はドラえもんとオバQで「2大ギャグヒーロー」としても通用したんだ。
大人目線で言えば、藤子不二雄自身(おそらく藤本弘先生)が「ドラえもん」と「オバケのQ太郎」を時代背景を絡めながら論じて・・・、ま、それはいいか。
で、目次がこれか。うーん、なつかしい名前がいっぱいだわ。それにしても藤子不二雄関係だけで250ページもあるのか。そりゃ単行本じゃなくてコロコロコミックを買うよね。
で、藤子不二雄関係以外の連載マンガもなつかしい。大人になってからでいえば「金メダルマン」(これは単行本になってからのタイトル)が一番思い入れがある。これすごいよ。たぶん大人になってから読んだ方がもっとすごいと思うようになるよ。
でもさ、正直にいおうよ。実はこの中で一番好きなマンガって、アレでしょ?かくさなくていいよ。そう、これだよね。
「がんばれ!ドンベ」!!あんまり人にはいえなかったけど、これ、本当は大好きだったんだよな。
わりと痛いところをね、マンガで描いてて、泣けるんだよね。何だか松竹っぽいというか、ちょっと森崎東っぽいっていうか。わかんないか。
たしかに大人になって読み返してもすごくいい。とくにアケミはいいよね。あれはもう、大人から見たらいろいろ泣けるんだよ。うん。
ま、コロコロコミックの話はこれくらいにしてテレビの話でもしようか。
やっぱ今思い返してもすごいのが、夜の7時から「サザエさん」の再放送をやってたことなんだよね。
でも、アナタにとっては当たり前でしょ?「サザエさん」は日曜の夕方6時半と火曜日の夜7時の2回やるもんだったからね。別にそれがヘンだとも思ってなかったよな。
あとはやっぱり、サンテレビボックス席!
後藤のクマさんが解説で、岡田実さんが実況か。そうか、もうこの頃から岡田実さんが実況やってたんだ。
ただ、ちょうど、アナタの時代の阪神ってえらく連敗中なんだったっけ。ま、そういうこともあるよ。プロ野球だからさ、強い時も弱い時もある。阪神もずっと弱いわけじゃない。ちゃんと強い時もあるから安心して。
他はそうだなぁ。もしかして「キカイダー01」にメチャクチャハマってる時だった?
にしてもテレビ欄が「無敵!!キカイダー01」ってなってるのはなんなんだ。たしかに第一話のサブタイトルには「無敵!!」って入ってるけど、これは「イチロー危機!」ってあるから第八話か。ぜんぜん無敵も何もないんだけど。どうでもいい?
そうか、この時代まで「一郎」じゃなくてカタカナで「イチロー」って書いたらキカイダー01のことだった。わすれてた。
そういやたしか5年生の時だったっけな。友達と遊んでて、そう、たしか校区の東の端の川べりにある友達の家の近所で。本当はすっ飛んで帰って4時半からやってる「キカイダー01」をメチャクチャ見たかったんだよ。でも友達に、5年生にもなって「キカイダー01見たいから帰る」って言い出せなくて、すんげえモヤモヤしながら遊びを続けたよな。
そうか、あれはこのタイミングの再放送だったか。
あとは、何を見てたのかぜんぜん思い出せない。この日から「探偵物語」がはじまったみたいだけど、夜の9時からだから当然見てないし。
いっこ気になったのか、よみうりテレビで朝の10時半から「ハクション大魔王」の再放送をやってるんだよね。
夏休みでもないし春休みでもない。日曜でもない。つまり子供は学校に行ってて見れないし、ウチにはすでにビデオデッキはあったけど録画してまで見るほどでもないし。
いったい誰が見ると思って再放送してたんだろ。風邪で学校を休んだ子用?まさかね。
そんな感じかな。ま、アナタもね、さすがに「ハクション大魔王」が見たいって理由で学校を休まないと思うけどさ、どっちにしろ風邪はひかないように気をつけてな。
それと今思ってること、今考えてること、今大好きなもの、そういうのを大事にして欲しい。もうそれだけでいいよ。何もムダなことはないから。
あ!これだけは教えておく。もうすぐ、たしか6年生になってからだけど、おこづかいをためて買った、大事にしてたマンガをお母さんに全部捨てられると思うけど、大丈夫。実は捨ててない。隠してある。だから必死で探してくれ。絶対どこかにあるから。とくに家の中じゃなくて、外っちゃ外だけど、物置的なところは重点的にな。
がんばれ!ドンベじゃなくてもがんばれ!!
本当はもっともっと、コロコロコミックからも、当時(エントリからちょうど45年前になる1979年9月18日付の新聞掲載のテレビ欄)からも、拾えることは山ほどあるんだけど、そんなこと、いくら自分であっても子供に言ってもしょうがないからね。ま、こんな感じで。
これ、読んでいただければ何となく察してもらえるかもしれませんが「ドラえもん、そして藤子不二雄と出会った頃を振り返る」ためのエントリです。 現在はオミットしてますが、かつて「藤子不二雄とアタシ」というようなタイトルで「出会い」については書いたし、とある友人が絡んでくる話については「パーマンに馳せる想い」にてしっかり書きました。 ただ、もっともっと、あの頃の、藤子不二雄という漫画家の作品にハマっていく様を書きたくて、完全にピンポイントに時代を絞ってやろう、としたのがこのエントリなわけで。 ま、それだけではアレなので、ちょっと趣向を凝らして、こんなふうに仕立ててみたのですがどうでしたでしょうか。ま、個人的には古谷一行主演の「やる気満々」ってドラマがメチャクチャ気になってんだけどさ。古谷一行が主演ででタイトルがやる気満々って、もうエロドラマにしか思えん。 そうだよ、11歳の自分よ。オッサンは汚れちまったんだよ。こうやってすぐにエロに結びつけようとするんだから。ま、アナタはせいぜい「おじゃまユーレイくん」で楽しんでくれ。 |
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