-Yabunira開設20周年から半年が経ちました
「そうですね、もう半年か、と。というか本当、時間が経つのが早い」
-今回は開設20周年の日にエントリした「Yabunira20周年記念・lived in NINGYOCHO 2003」とは違う視点でいろいろ語っていただきたいのですが
「わかりました。ま、あれはYabuniraというサイトを振り返るというよりは「Yabuniraのエッセンスを全部注入したようなエントリにしよう」という目論見で書いたものですからね。たしかにYabuniraを振り返るというのはやってなかったですね」
-その前に、15周年の頃に「ぶちゃむくれ大変革直前の架空インタビュー」というのをやりました。まずこれの話からしたいのですが
「そうでしたそうでした。当時、Yabuniraをいろいろ変えていこうと思って「ぶちゃむくれ大変革」なるものをブチ上げてね、宣言しちゃえば変えざるを得ないだろ、みたいな感じでしたね」
-別に責めてるわけではないのですが、あの時「こういうふうに変える」と宣言したことは現時点ではほぼ実現していません
「そうなりますよね。変えようという意思はあったのですが」
-一旦は変えたものの元に戻したこともあれば、まだ始められてないこともあったり
「「一旦は変えたけど元に戻った」というのはエントリの短文化ですね」
-そうです
「当時、どこかのサイトで「文章の長さは800文字以内か、それとも3000文字を超えるものの方が読まれやすい。その間、つまり800文字から3000文字くらいの長さの文章が一番読まれない」という研究を読んだんですよ。んで、3000文字以上の文章は本サイトに書いてるので、じゃあ日々の雑文は800文字以内にしようというね、そんな発想だったんです」
-何故それを止めたのですか
「意味がないというか、そこに労力を使うのは何か違うとなったから。つまりね、2023年くらいからScribbleにかんしては「なるべく当日に書いて当日にアップ」を標榜してやってるんだけど、短時間でササッと書いて、となると文字数にこだわるのは難しすぎるんですよ。変な話、800文字以内の短文を書くのも2000文字くらいの文章を書くのもたいして労力は変わらない。むしろ文字数にこだわりだすと中身が薄くなってしまう」
-そんなものですか
「そうなんですよ。理解してもらいづらいのですが。とにかく文字数というか文章の長さなんて何も考えずに、ザックリ初稿を書いてしまって、あとでテキトーに文字校正だけやって、というスタイルでないとおっつかないし、そっちの方が内容だったり長さ的に練ったものよりも良い感じでザックリ感とか「如何にも今、思い付いて書きました」ってのが出るんです」
-たしかに短文を止めた、文章を長くしたというよりは「文章の長さにこだわらなくなった」という感じはします
「2004年頃に「タンナルウワゴト」と称して、ただただ、毎日更新することだけを目的とした<やり方>をしてたんです。実際、この「タンナルウワゴト」は文章の長さとか実にまちまちで、800文字以内どころじゃないくらい異様に短いエントリも含まれてて、それはそれで面白いんですよ」
-そうやって過去エントリを見直すことが「過去エントリのScribble化」につながったということでしょうか
「結局、Yabuniraの長所というかストロングポイントって何なんだという話になるのですが、それは「20年間、それなりの頻度で更新し続けた」ってことなんですよ。冷静になると内容の面白さとかそういうのはぜんぜんなくて、20年分の蓄積がある。もう本当にそれだけだな、と」
-これはまたご謙遜を
「謙遜でもなんでもないです。もし本当に優れた文章を書けていたとするならもっと、いろんなところからお声がかかってますよ。つまりレベル的には本当にたいしたことない。でも、だからといって全部が全部ダメだと卑下してるわけじゃないんですよ。むしろ、これだけ何の反響もないサイトを「ただ書くのが好き」という理由だけで20年も続けてこれたのは誇りに思ってるし、もっと言うならこの20年間、文章のテイストがほとんど変わらないまま続いてる、というのは「時代を映す鏡」としてはかなり優秀なのではないかと」
-時代を映す鏡?
「例えばね、街の移り変わりを記録した映像があったりするじゃないですか。でも「街の移り変わり」よりも「映像の変化」の方が気になりません?」
-すみません、イマイチよくわかりません
「それこそ100年間の街の移り変わりの映像だとしたら、100年前はモノクロのフィルム映像なんですよ。それがカラーになって、ビデオ映像になって、ハイビジョンになる。で、こうなると「街の変化」よりも「映像の変化」の方が大きくなるのでそっちに気を取られてしまうと思うんです」
-それはそうかもしれませんが
「要するにね、一番に見せたいのが「街の変化」なのであれば、他の箇所、それこそ映像なんかは統一されていた方が「街の変化」に集中出来る。しかし100年間にもなると難しい。いやたった20年でも結構難しくて、極力、トーンだけでも揃えたディレクションにしてないと違和感が出るんです。そこにいくとYabuniraにかんしては、ディレクションもですし、これは褒められることではないけど文章のテクニック的なことの進歩もあまりない。つまりサイトを始めた2003年の文章も20年経った直近も文章のテイストやトーンやテクニックが同じだから「時代の変化」を感じ取りやすい、という」
-だから時代を映す鏡になり得ると
「そうです。これはかなり珍しいんじゃないか。というかかなりすごいのではないか。でもそのすごさってのは「開設当時の文章を気軽に読める」というのがないと成立しないので、20周年の直前になってサイト構成を大幅に変えた、というのが真相です」
-それで過去エントリをScribble化したと。それはわかりましたが、話を戻して、ぶちゃむくれ大変革をブチ上げた頃はそのことに気づいてなかったということですか
「気づいてませんでした。だから小手先で「文章を短くして読みやすく」なんて考えていたんです。でも結果的にはそんな小手先ではなく、Yabuniraのストロングポイントを活かした、本当の意味での大変革になったんじゃないでしょうか」
-今思えば<ぶちゃむくれ>大変革ではなく「小手先小変更」だったと
「そうなりますよね。ぜんぜん<ぶちゃむくれ>でもなんでもなかった、と。でもこれも実際やってみたからわかったことで、<ぶちゃむくれ>か<大>か<小>かはともかく、変革って原点に立ち返ってストロングポイントが何なのかを見極めることなんじゃないでしょうかね。ストロングポイントが何なのかわかってなければゼロから立ち上げても一緒ですし、逆にわかってさえいれば、それこそYabuniraで言えばサイトの内容が大きく変わったとしても「Yabunira」と呼べるものになるのではないかと」
-「ストロング」とか「ゼロ」とか連呼されると一杯やりたくなってきました
「我慢してください。まだ話の途中です」
-わかってます。それともうひとつ、となれば、やはりYouTubeですよね
「こうやって書いていけば、YabuniraというサイトにとってYouTubeが難しい理由がわかってもらえるはずです」
-文章と違って撮影機材の変化はどうしても避けられませんからね
「それもあるのですが、Yabuniraとしてやるからには最終的にどれだけ蓄積させられるかだと思うんですよ。つまりひとつひとつの動画のクオリティはさておき、これからひとつずつ蓄積させていかなきゃいけない。しかも「それなりの頻度で更新」というのもYabuniraの長所なわけで、これはちょっと、生半可な気持ちでは出来ないなと」
-もはや内容とか編集とか、そういう問題ではない?
「ないですね。そんなものは作っていくうちに自然とスタイルが出来上がると思うし、素人が最初から高いクオリティの動画を作れるわけがないと思ってる。となるとどれだけ凝った映像が作れるかの勝負ではなく、極端に言えばScribbleを書く程度の気楽な気持ちで、毎日動画をアップ出来るくらいの体制を作らなきゃいけない」
-それは映像のクオリティを上げるよりも難しいことではありませんか?
「いやたぶん、それこそ月に一回、それなりのクオリティの映像をアップする方が簡単でしょうね。しかもアタシの場合、日々の生活を記録する、いわゆるVlogではないし、ましてやユーチューバー専業でもないので、編集はおろか撮影する時間すらない、というのが正直なところです」
-まずは映像がないことには編集も何もありませんからね
「今のYouTubeのトレンド的に、だいたい動画の長さは15分程度なんですよ。もし週6で更新するなら15分x6で、週に1時間半は撮影しなきゃならない。もちろん<撮れ高>として最低1時間半だから、その数倍とまでは言わないまでも、どれだけ短くても2時間はカメラを回す必要がある。これを毎週、となると週に1日をまるまる撮影日に充てないと絶対不可能です」
-つまり<編集>よりも<撮影>が大変だと
「実際に始めたわけではないので現段階では想像に近くなるのですが、それでもね、ヒマを見つけてはYouTube用の映像を撮り始めてはいるんです。でも2時間カメラを回すってのは本当に大変で、ましてやアタシは専用の撮影機材を持ってるわけじゃないので実に面倒くさい。いや本当は、四の五の言わずにまずは生配信からスタートさせりゃいいんだろうけど、生配信でやることなんか何もないですから」
-撮影機材というか、それこそアクションカムを購入する予定はないんですか?
「それにかんしては編集ソフトを含めてなんだけど、なるべく<持ち出し>はしたくないんです。別にYouTubeで儲けるつもりはないんですが、収益化が可能になって、その収益からカメラなり編集ソフトを買うってのが筋道なんじゃないかと」
-先ほど「すでに撮影を始めてる」とおっしゃってましたが、では今現在どのように撮影されてるのですか
「スマホです。ま、一番良さげな、というか画質というよりは見ててストレスのない映像が撮れるということで、昔買ったXperiaXZ3を使ってます」
-編集ソフトについては
「何しろまだちゃんとした<編集>はやってないのでアレですが、たぶんメインとして使う予定なのがVegasです。これは有料ソフトだけど大昔に買ったのがあるので。他も大昔に買った動画編集ソフトと、後は無料のでしばらくはしのぐつもりです。ま、本当はDaVinciResolveが欲しいんだけど、正直現時点で投資するほどなのかどうなのかと言われるとね。なるべく<持ち出し>なしで行きたいんで」
-でもDaVinciResolveは無料版もありますよね
「まァね、ソフトの使い方に「慣れる」という意味では最初からDaVinciResolveでやってもいいんだけど、欲しい機能が有料版にしかないんですよ。ま、それでも、はじめからVegasではなくDaVinciResolveでやるべきかなぁ。まだ迷ってる」
-YouTubeの話はこの辺にして、今後の展開で考えておられることはありますか
「これは前にも書いたのですが、結局ね、一番の問題はアタシの性格にあって、あまりにも多情すぎるんですよ。あ、あくまで趣味の話ですよ。良く言えば興味の幅が広い、悪く言えば何をやっても中途半端という」
-それ、変えるの難しくないですか?
「難しいです。トシをとって興味の幅が狭まるかなと期待してたんだけど、これが意外とそうでもなくてね、ウチのサイトは一応「クレージーキャッツ」、「ドリフターズ」、「戦前モダニズム」、「8ビットマイコン」、「街」、あとまだ未生成ですが笠置シズ子のサイトを含めて専門的な内容のは分けてるんだけど、自分でも薄いなぁというか浅いなぁと思う反面、じゃあどんどん切っていこうと思うほど興味が失われてないわけでね」
-そう考えると多いですね
「強い興味はあるし調べたりしてるけどサイトに書いてないことも結構あって、それこそ前に書いた貧民窟なんかまさにそうなんですよ。でも、ま、せっかくなんでぶっちゃけていいですか?」
-どうぞどうぞ
「じゃあテメエは、本当に興味があるのはっていうか、趣味関係で脳内を占める時間の割合が一番長いのは何なんだと言われたら、実は野球なんです」
-でしょうね
「本当のところ、クレージーキャッツにしろ戦前モダニズムにしろ、そこまで考える時間はないんです。でも野球の場合、シーズン中はもちろんシーズンオフでも四六時中野球のことを考えてる。ましてや2023年度のように阪神タイガースが日本一になんかなってしまうと、もう<仕事>や<生活>まで削られてしまう。正直何でこんな野球が好きなんだ、野球なんか興味持たなきゃ良かったと思うことすらあるほどで」
-そうはしょうがないんじゃないですか?
「うん、しょうがない。でも野球に割く時間を他のことに割り振れたらもっと有意義だってわかっているので、今後はなるべく、野球以外に時間を使いたい」
-そうこう考えると、もしかして阪神が弱い方がいいんじゃないですか
「そうかもしれない。実際、1990年代の暗黒時代が一番野球に振り回されずにいろんなことが出来たような気がする。だからといって間違っても阪神が弱くなって欲しいとは思ってませんが。つか毎年優勝して欲しいですよ」
-あんまりそこにこだわってもどうかと思うので仮の話をしますが、ではもし、野球以外となったら何に注力したいですか
「少なくとも2024年にかんしてはドリフターズに注力するつもりです。ドリフターズにかんしては結成60年ということもありタイミングが整ってきたし、いろいろと動くつもりではいます」
-あとは
「優先順位としては街と戦前モダニズムですね」
-もう少し詳しく「ドリフターズに注力する」という話を
「まだ言えないことが多いのですが、令和という時代において「ファンの<在り方>」はどういうものなのか、という話になってしまうのですが」
-軽く振ったつもりがエラく大仰な話になりそうですが、続けてください
「つまりね、平成という時代であれば「ファンサイトを作って、そこで調査したデータをまとめたり、愛情を語る」というのはアリだったというか、それが常套だったからみんなファンサイトを作っていたんです。しかし令和でそれが意味があるのか、というと、あんまりないような気がして」
-そんなことを言いながら2023年5月にあらたなファンサイトを立ち上げましたが
「そういうことを承知で、ファンサイトに意味のない時代だからあえてファンサイトを立ち上げるという行為をやりたくなったというか」
-逆張りですね
「いやはや逆張りですよ。でも実際にやってみて、意味があるのかないのか、活用出来るのか出来ないのかというと、意味はあったし活用出来ることもわかった。それだけで言えば「やって良かった」ということになるのですが、インターネットという媒体ですべてを完結させるのがやっぱり無理だってこともわかってしまった」
-つまりインターネット外に広げなければいけない、ということですね
「というかね、インターネットって<万能>じゃないんですよ。よくそこを勘違いされるけど、あくまで「リアルがあってのインターネット」というのを忘れてはいけない。インターネットさえあればそれでいいのであれば、極端に言えば肉体なんかいらない、魂さえあればいいってことになりますから」
-別に「モジャ公」のシャングリラの話をしてません
「それはわかっています。でもネットショッピングひとつ取っても、リアル店舗がなくなったら一気に買い物が不便になりますよ。だから要はバランスでね、インターネットというかファンサイトという存在を活用しつつ他でも広がっていく。そうした姿勢は大事だなと」
-YouTubeにしろリアルに広げることにしろ、どれだけアクティブに動けるかが勝負だと思うのですがどうでしょう
「まったくその通りです。アタシもたいがいジジイになってきたんでね、若い頃の体力はないですよ。でも、だからこそ、今やらないと二度と出来ないとも思っているわけで、可能な限りアクティブに動くつもりです」
-素晴らしい心掛けです
「ただ、必要なのは体力だけじゃない。やっぱり先立つものがないと本当にアクティブには動けないですからね。・・・そこで、少し、用立ててもらえないかと・・・」
-ハァッ!?いくら架空とは言えインタビューされてる側の人間がインタビュワーにカネを借りようとするなんて前代未聞ですよ
「いいじゃないですか。前代未聞なのがこの架空インタビューの良いところなんだから。そうしたストロングポイントはどんどん伸ばしていかないとね!」