星野続投の世界線
FirstUPDATE2017.12.11
@Scribble #Scribble2017 #プロ野球2017年 #2000年代 #2003年 単ページ 鳥谷敬 岡田彰布 金本知憲

ふと気になって、そういえば鳥谷が入団した頃はヒッティングマーチはまだ中虎連合が作っていたんじゃなかったっけ、と。

だけれども中虎時代の鳥谷のヒッティングマーチをまったく思い出せない。翌年から変更になったので、たった一年しか使われなかったんだから憶えてなくて当然かもしれないけどさ。

♪ おォとことりィたにィ 今日も行くぞォ
 でェんこォおせぇっかのォスイング見ィせェろ~

実際YouTubeで聴いてみたら、ああそうだった。塩谷の流用だったわ。
しかしゴールデンルーキー様(当時)に、よりによって塩谷の流用とは。ま、名前が◯谷、という程度の理由で安直に決まったんだろうけどさ。

さて、鳥谷が入団した頃を思い起こせば、まさかこういったタイプの選手になるとは思いもしませんでした。
数字的なことはともかく、何しろ六大学のスターとして入団したんだからね。もっと何かにつけ華やかな派手なプレーヤーだと思い込んでいたからさ。
もちろん鳥谷は地味なプレーヤーじゃないですよ。でも、数字でいえば、良い時はタイトルを獲ったりトリプルスリーに近い成績を残すけど、ま、人並みに怪我や絶不振もあって、それなりに離脱もする、みたいな選手になるのかな、と。

というか、今まで阪神のスター選手は揃いも揃ってそんな感じでしたからね。アタシが知ってる範囲でも田淵も掛布も岡田も、まだこの時点ではわからなかったけど結果的に今岡や赤星もそうだったし。
それがまさか、ここまでタイトルとは無縁とは思わなかったし、10年以上にわたって試合に出続けるほど安定した選手になるとも思わなかった、というか。
これは阪神に限らずだけど、ただの一度も長期的離脱のない選手なんて驚異的で、そういう意味ではゴールデンルーキー様は紛れもなくゴールデンルーキーだったと言える。

(現注・ここの箇所は「誠の救世主」に流用したので割愛)

鳥谷が入団を決意した時点での監督は星野仙一でした。おそらく鳥谷は阪神の優勝を目の当たりにして阪神の入団を決めたと思う。そして監督が星野仙一ということもかなり大きかったはずです。(もちろん「ホーム球場が天然芝」という、当時は言い訳に聞こえたことも今となっては本当だったんだ、と思うけどね)

しかし何のことか星野仙一はその年限りで退任し、新監督には早稲田大学の先輩でもある岡田彰布が就任することになったわけです。
アタシはこの時、岡田が監督になったことは結果的にも良かったと思う。だけれども星野が退任することになって、日本シリーズが終わってボロ泣きしたのも本当だし、2004年の星野采配を見てみたかった気持ちもある。いや正確には「星野監督はゴールデンルーキー鳥谷敬をどのように育てたか」を見たかった。

岡田は開幕戦から前年度ショートレギュラーの藤本敦士を外して、いきなり鳥谷をスタメンで使った。これは岡田自身の体験を踏まえての起用でしょうが(これについては長くなるのでまた今度)、結果を出せず、あっという間にレギュラーを剥奪されますが、それでも藤本が抜けたオリンピック期間に結果を出し、翌年には「ショート鳥谷、セカンド藤本」というコンバートを決行した。
それは正解だったと今でも思うし、長期的に見た場合、藤本より鳥谷を優先させるのは当然だったとは思う。

しかし無理矢理使ったことによって、鳥谷が当初期待されていた、トリプルスリーが期待出来る選手ではなくなってしまったのではないか、と。また攻守に使えないルーキー鳥谷は必要以上に叩かれ、ファンに発信しない選手になってしまったというのも否めない。
もし星野なら、今のようにこれだけ長期間にわたってレギュラーとして活躍できる選手にはならなかったのかもしれないけど、それでもタイトルのひとつふたつは獲れる選手になってたかもしれない、という妄想が膨らんでしまうっつーかね。

アタシは(現注・2017年の)8月の終わりから「もしかしたら2003年に何らかの分岐点があったのではないか。もしあの時違う選択をしていたらアタシの人生はまるっきり変わっていたのではないか」みたいなことを検証した超長文連作エントリ(「決別に花束を」/現注・リライト版をココに置いてます)を書きました。
これ、アタシだけじゃなくて阪神にも当てはまるのかもしれない。もし星野があの時続投して2004年以降も指揮を執っていたら、今の阪神とはまったく別のチームになっている気がする。
もちろん鳥谷のことも、かつてのゴールデンルーキーである田淵と岡田の両方がコーチでいることになるわけだし、鳥谷の運命も変わってないわけがない。

もしかしたらリターン・オブ・暗黒時代になっていた可能性もあるし、今の阪神が悪いチームではけしてないんだけど、それでも「星野が続投した世界線の阪神」も見てみたい気がしているのですよ。







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