やっぱ「日曜日だョ」と「出発進行」はテレコにした方が絶対良かった
FirstUPDATE2025.4.26
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何だかね、一昨年東京に越してきてから「何年ぶりに行った」みたいな話がものすごく多くなっています。

ま、実際は「何年ぶり」ではなく余裕で「何十年ぶり」の場合もあるのですが、具体的には言わないけど先日も世田谷の某所にある施設に行ったけど、これが20年ぶりでした。
さすがに20年も経てばいろいろ変わったようで、その某施設からお目当てのブツがなくなっていた。いや所蔵はされてるのかもしれないけど、さすがに古すぎて(完全な一点物だし)とにかく閲覧は出来なかったというね。

で、ですよ。こないだ横浜にある某・・・いやこれは名称を書かないと話が進まないので書きますが、放送ライブラリーに行ってまいりました。
ここは20年どころの騒ぎじゃない。たぶん30年ぶりくらい。ま、放送ライブラリーは所蔵検索が出来るので「あったはずなのに、ない」みたいなことはなかったけど、いやぁ、あまりにも昔すぎて前どんなだったかぜんぜん記憶がない。つか昔から8階とかだったっけ?マジ忘れた。

でね、この時に視聴した中に「日曜日だョ!ドリフターズ!!」があった。
これは、それこそ30年前に来た時も視聴している。ただどうしても確認したいことがあったんで、あらためて視聴したわけです。
もうね、さすがに「30年前に一度だけ」では「何となく、こんな感じだったな」ってのすら憶えていない。かろうじて憶えてたのは「8時だョ!全員集合」同様、番組ロゴがアニメーションで踊りながら出てくるところくらいです。ってこれも別番組で見た時とゴッチャになってる可能性があるけどさ。

今回あらためて、本当にじっくり観賞した感想を言えば、辛辣に聞こえるかもしれないけど「だめだこりゃ」としか言えない。
放送ライブラリーに所蔵されてる映像は第一回目なので当然「こなれてなさ」はある。そうしたことを大幅に割り引いて考えても、これ、ある程度長期間やって、ドリフターズのメンツがこなれても、面白くなる可能性はかなり低そうだな、みたいなね。

一切表には出してませんが、ちょうど「日曜日だョ!ドリフターズ!!」が放送されていた頃を含む、1970年から1972年までのドリフターズ出演の映像はいろいろ持ってはいるんですよ。
で、それらの映像を見返すと、わりとどれも普通に面白い。「コントではないドリフターズはダメ」みたいな風潮はあるけど、意外とそうでもないと言うか、油断してると吹き出してしまうくらいには面白かったりします。
それらの映像と比べると「日曜日だョ」はかなり<しんどい>出来としか思えなくて。

でも、間違っても手抜きというか、いい加減に作ってるから<しんどい>わけじゃない。
もうね、ビックリするほど「ちゃんと」作ってる。構成は塚田茂をはじめとする「スタッフ東京」の面々だし、演出は「テレビで初めてドリフターズを上手く使った」と評される白井荘也、音楽には森岡賢一郎、演奏は「全員集合」同様、森剛康とゲイスターズ(後の岡本章生とゲイスターズ)です。
つまり一流どころ、なおかつドリフターズが<わかってる>陣営を揃えているわけで。

さらに言えば、バックダンサーとしてスクールメイツではなく日劇ダンシングチームを起用しており(おそらくスクールメイツはクレージーキャッツの「8時だョ!出発進行」担当)、ワンランク高い動きを見せてくれている。
もう一組のレギュラーとして出演しているゴールデンハーフもいい感じで、どこにも隙がなさそうに思えるんですよ。
しかし私見では、この「隙がないくらい、ものすごくちゃんと作ろうとしている」番組とドリフターズの個性が噛み合っていない。
これをひと言で言い表すなら

「ドリフターズの面々がやたら窮屈そうに見える」

と言えばいいか。
どうもね、ドリフターズはコント55号というか萩本欽一やビートたけしや明石家さんまの「オレたちひょうきん族」との比較で、とにかくリハーサルを綿密にやってアドリブ厳禁みたいなイメージが強くなりすぎてるんだけど、あれはほとんど「いかりや長介個人のこだわり」であって作家や演出家が微に入り細に渡りやってるわけじゃない。
というかいかりや長介という人はメンバーの個性をよくわかっているので、加藤茶のように好き勝手にやらせた方がいいメンバーは基本放任だったと思う。

しかし「日曜日だョ」の場合、「全員集合」に比べると相当作家や演出家の存在が見え隠れするんですよ。
塚田茂は「シャボン玉ホリデー」などの王道バラエティを手掛けてきた人なので、ドリフターズにも「ものすごく<まとも>なコント」を演じさせるべくホンがあるように見えるし、おそらく白井荘也もかなりキチンと演出しているっぽい。
いかりや長介はもともとちゃんとやるので問題はないけど、こうなると自由奔放な加藤茶の魅力が弱まる。つまりあまりにも「決められたことをやってる感」が強くなってしまっているのです。

となると比較すべきは渡邉祐介が手掛けた松竹ドリフターズ映画かもしれない。
しかし渡邉祐介はかなり早い段階でいかりや長介以外のメンバーに過大な要求はしなくなっており、とくに加藤茶にかんしてはかなり自由にやらせていたと思う。
そこが「日曜日だョ」がダメなところなんですが、唯一、ほぼペースを崩さずやっているのが荒井注で、とにかく全編荒井注の存在が救いにになってます。
もうひとつ、「全員集合」が「大劇場でやってる」感だったのにたいし「日曜日だョ」は「ライブハウスでやってる」感があるのはちょっと面白いとは思った。

しかしです。アタシは過去にこんなことを書いている。

というか根本的な疑問なんだけど、そもそもこんな遺恨が残る、まどろっこしいことをせずに「日曜7時」という枠で、クレージーキャッツを理解しているスタッフが多い日本テレビで、クレージーキャッツの主演公開番組をやれば良かっただけなのに、とつくづく思う。(2023年7月28日更新「「8時だョ!出発進行」の小さな謎」


これね、今回約30年ぶりに「日曜日だョ」を見て「そうだそうですその通り」と思った。
たしかに「日曜日だョ」にもドリフターズらしい下ネタは入ってるんだけど「無理矢理入れた」って感じだし、コントも「全員集合」に寄せてはいるんだけど、これも塚田茂をはじめとするスタッフ東京の面々が「頑張って寄せた」感は否めない。
塚田茂は圧倒的にクレージーキャッツの方が手慣れているし、ちゃんとやる、みたいなこともドリフターズよりもクレージーキャッツの方が得意です。

また、せっかく座組に日劇ダンシングチームがいるんだからクレージーキャッツならもっと上手く絡めたはずだし、劇場サイズが小ぶりなのも「ドタバタで笑わせるわけではない」クレージーキャッツに向いている。
つまりね、あの感じでクレージーキャッツがやれば「戦前にエノケンやロッパがやってた」公演のリバイバルめいたものになったんじゃないか。
この時代は世をあげてのリバイバルブームであり、ここまで過去に振り切ると逆に古めかしくならない。むしろクレージーキャッツの音楽と笑いの比重が同じという独自性がもっと出たような。

というか田村隆によると白井荘也って人は「センスのいい人」らしいので、クレージーキャッツも上手く使えた気がするし、やっぱ、素直に日曜7時の枠でクレージーキャッツ主演番組をやるべきだったなぁ。







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