まずはもう「夢のない超特急」というエントリをお読みいただきたいのですが。
何だか名前を聞くだけで腹がたつワードに「リニアモーターカー」があります。(中略)生まれる前から研究が始まって、老境になった頃にやっと開通ってのは、いくら何でも酷すぎる。夢?こんなロングスパンの夢とかあるか。研究をはじめて100年近く経ってね、やっと日本全土にリニアモーターカーが張り巡らされたってのならわかるけど、一番中枢と言える東京←→大阪間を結んだだけですよ。まったく、馬鹿馬鹿しいとしか言いようがない。それだけ時間がかかってるってことは、当然それだけのカネがかかってるってことなんですよ。こういうのはね、いわば「筋の悪い技術」なんです。
上記エントリでは「2027年開業する」となってるけど、静岡の例の問題があったりしてまだ未着工区間もあるわけで、今の感じだと到底2027年に間に合うわけがない。
一応、2034年開業というふうに変更されたらしいけど、とてもじゃないけど2034年開業も非現実的で、たぶん、東京名古屋間だけで早くても2050年くらいになるのではないかと踏んでいます。
こうなってくると東京大阪間なんていったいいつになるのかまったく見当もつかない。つかアタシの年齢を考えたら生きてるうちに「東京から大阪までリニアモーターカーで」なんて無理です。
しかしJR東海はまだ諦めてはいない。結局ね、それが一番の問題だと思うわけで。
引用にもあるように、リニアモーターカーは「筋の悪い技術」なんですよ。普通、100年前に研究が始まっていれば、とっくのとうに実用化されてるようなもんだけど、それが実用化されてないわけで、もちろん土地の買収や地下水の問題はリニアモーターカーの技術とは直接関係ないとは言え、それも含めて「筋が悪いな」と。
さて先日、1940年制作の映画「孫悟空」についての動画を投稿しました。
この動画のために「総天然色映画」についていろいろ調べたのですが、実は「トーキー」「総天然色(フルカラー)」とほぼ同じ時期から研究が重ねられていたものに「立体視映像」がありました。
つまりです。すでに大正時代の時点で立体視映像についていくつかの方式が提案されており、下手したらトーキー映画や総天然色映画よりも先に「立体視映画」が実現したかもわからなかったのです。
現代人である私たちは結末を知ってる。立体視映像は結局モノにならなかった、という結末をね。
戦後になって以降、例の赤緑メガネを使う立体視映画はあったし、その後のファミコンの液晶シャッターを使った方式、んで今現在主流の「片目ずつに少しズレた映像を映し出すことで立体視させる」というのもある。
でもね、どれも本当に立体物が目の前にあるわけではなく、所詮は疑似です。これは総天然色映画の前に一時期実用化されたキネマカラーのように、いわば「脳を騙して」そういうふうに見せているだけに過ぎない。
キネマカラーの最大の欠点は「フルカラーではない」「色ズレが起こる」ことよりも「とにかく見てて疲れる」ということだったらしい。
だからとてもじゃないけど長編のキネマカラーなんて無理で、短編くらいの長さの映画であっても(当時はまだほぼ長編映画はないからすべてのキネマカラー映画は)「疲れる」という声が大きかったと言います。
「脳を騙す」というのはそういうことなのです。これは3D酔いにも近いのかもしれないけど、脳が無理した状態ってのは「ごく短時間しか無理」なんですよ。これを無理矢理続けると気分が悪くなるなどの体調に異変をきたすと。
だから人々が本当に、自然に近い感じで立体視映像を楽しむには「あくまで立体物として映像を投写してそれを裸眼で見る(≒ホログラム)」しかない。
それでもまだ疑似に近いので本当にこれで大丈夫か、つまり疲れが軽減されるかはわからない。アタシの知り合いで弱視ではない目に障害のある人がいるけど、投写された立体物が本当に立体物として見えるのか、というと疑問です。
つまりね、立体視映像自体がリニアモーターカー同様「筋の悪い技術」なんですよ。んで筋の悪い技術はいくらカネをかけようが長い年月をかけようが根本的解決が難しい。
それでも立体視映像は「ああ、ダメだったな」で済むことです。何故なら所詮は民間企業がやってることだから。
んなこと言えばJR東海も民間っちゃ民間だけど、元は国営であり、今も半官半民って感じで、しかも公共交通機関なんだから「ダメだったな」で済む問題ではない。
もしJR東海が破産でもしたら国民にエラいしわ寄せがくることは確実で、となったら「今すぐリニアモーターカーなんか止めろ」と言われてもしかたがない。
いやさぁ、もういいんじゃないかな。それよりも今の新幹線の線路というか線路の土地を再活用する形で、より高架化して(つまり二階建てにして)そこに超広軌軌道でも敷いた方が現実的な気がする。
つかね、本当、東京大阪間が2時間半から1時間になったところでたいして変わらないよ。いやマジで東京大阪間が15分以内でってのなら話が違うけど、その程度じゃねぇ。
むしろ、JR東海は関係なくなるけど、新幹線感覚で、搭乗手続きとか全部すっ飛ばして「フライト5分前に空港に行けば余裕で乗れる」エアバスがあったら、もうそれで十分じゃないかな。
これだと1時間ちょいになって、それこそリニアモーターカーなんかと変わらなくなるんだから。
今後いろいろと法整備がされて、本当に気軽に乗れるエアバスが登場したらリニアモーターカーなんかあっという間に陳腐化するよ。しかも方や法整備だけ、方や莫大なカネが必要で100年ちかくやってる筋の悪い技術となったら、マジ太刀打ち出来ないと思うのですが。