神戸に住んでる時にもね、神戸には須磨水族館ってのがあって、今は改装されて入場料も大幅に上がったみたいだけど、改装前のには行ったことはあったんですよ。
でもその時は正直、あんまりピンと来なくて。
で、です。
先日、再び水族館に行ってきた。東京の、ま、どこの水族館かはいいや。とにかく池袋とかスカイツリーとか川崎とかのようにビルの中に入ってる水族館ではないとだけは言っておく。
つかさ、アタシはこの手のビルに入ってる水族館には懐疑的で、どこまでいっても簡易的にならざるを得ないと思うんですよ。
何故ならそんなデカい水槽を設置出来るわけがないから。つか水族館の醍醐味って「高さのある水槽」じゃないですか。でもビルである限り水槽の高さは必然的に決まってくる。だからどうしてもタイニーになってしまう。
それを補おうと照明を凝ったりしてるみたいだし、そういう演出も大事なんだけど、やっぱ小手先って感じがして。
これは動物園にも言えるんだけど、動物園にしろ水族館にしろ、その醍醐味ってやっぱ迫力だと思うんですよね。
実は子供の頃はその迫力がわかってなかった。でも大人になってからこれらの施設に行くと、これは生半な3Dや4Dでは太刀打ち出来ないぞ、というのを痛感した。
動物園で言えば、熊なんかすごいもんね。アタシは熊出没地域に居住したことはないけど、そりゃあんなのに襲われたらひとたまりもないと直感でわかる。つか動物園で実際に熊を見て「そんなのいくらでも逃げられるだろ」と思うなら想像力欠乏症です。
水族館もね、ちゃんとした、つまり「高さのある水槽」が設置された本格的なところに行けば迫力に圧倒されます。
行く前は「たかが魚如きに何が圧倒されるんだ」と思っていても、デカい魚というか、それこそ鮫とかエイって実際見るとメチャクチャデカいんですよ。それが縦横無尽に動き回る様を見せつけられると、ある種の恐怖すら感じる。コイツらヤベーぞ、怒らせたらエラいことになる、みたいに思えてくる。
今回のエントリタイトルは「悩んだら水族館に行け!」ですが、正確には「(デザインを生業とする者、志す者は)悩んだら水族館に行け!」です。
直デザインに関係があることで行ったら熱帯魚のカラーリングですよ。あれはもう何なんだろう。
つかさ、下手に色彩学を勉強するより(もちろんするに越したことはない)水族館に行った方が直感的に色遣いの妙を学ぶことが出来る。
当然のことながら魚には「出来るだけ目立たない」ためのカラーリングを施した種類もいるのですが、これも本当に絶妙な色なんですよ。
デザインって目立つ、派手にしようとすれば、やたらビビッドな色を使ったり、ゴールドやシルバーのような感じにしがちなのですが、それではどうしようもない。
目立つ、がやりたいのであれば、その逆、つまり「出来る限り目立たない」モノが作れないとダメというか、意識すれば「ある」とわかるんだけど、意識しなければそっちに目が行かない。しかも単純なベタ塗りじゃなくて微妙なデザインが施されている。
それがわかってる必要がある。つか「目立たない」がちゃんと実現出来ていれば、ポイントを目立たさせるなんて簡単ですからね。
そういうのがね、水族館に行けば感覚で理解出来るんですよ。つか水族館にはデザインに必要なことのすべてが詰まってると言っても過言ではない。
まずは迫力。どれだけシックでシンプルなデザインでも見た人に迫っていく「何か」がなければ、それはデザインとして失敗です。
そして色遣いの妙。目立つって何だ?目立たないって何だ?というのを実地で教えてくれる。
今回つくづく思ったけど、マグロとかすごいもんねぇ。金属でもなんでもないのに、もう完全に「シルバー」で、水の揺らぎとか光の当たり方ですごい<深い>シルバーになる。
シルバーなんてグラデーションで再現出来るけど、グラデーションだけじゃダメだ、というのも痛感した。
で、アタシはYouTubeチャンネルを始めてね、簡易的とは言えアニメーションにまで手を出したのですが、アニメーションを始める=<動き>を気にするようになった結果、非常に惹かれたのがイソギンチャクでした。
イソギンチャクって何かもっと、こう、ユラユラ揺られてるだけなのかと思ってたら、アイツら、意外にも能動的にクネクネ動くんですよ。
これが「生理的に我慢出来るギリギリレベルの気持ち悪さ」で、本当、絶妙に生理的に我慢出来るレベルに留まってる。
これまたすごいことで、ずっと以前にバグった3Dゲームの気持ち悪さについて言及したことがあったし(Scribbleではオミット)、ココでStableDiffusionというかAI画像の違和感についても書いたけど、コンピュータが作り出したモノって時に生理的を軽々越えてしまう。でもイソギンチャクは「自然」なので、ギリギリ踏みとどまれるんだろうな、と。
アニメーションはちょっと奇想天外な動きの方が面白いんだけど、失敗すると生理的な気持ち悪さになってしまう。その辺のバランスですよね。それもイソギンチャクの奇妙な動きを見て十二分に学習することが出来た。
あとは奥行きの使い方ですね。とくにカメラで撮影しながら見てるとわかるんだけど、少し遠い、微妙にピントのズレたマグロの大群を撮ってると突然手前にマグロがフレームインしてくる。もちろん手前だから馬鹿デカく見える。
この迫力、映像としての面白さは「水族館に行ったからこそわかったこと」です。
とにかく、デザインについて悩んでる人がいたら、アタシはこう言いたい。
迷わず水族館に行けよ 行けばわかるさ