いろんなところで「秋葉原はつまらなくなった」と言われていますが、そうかね？いやそんなジジイの繰り言みたいなこと言うなって話じゃなくて、神戸の三宮なんかに比べたらまだぜんぜん面白い街だと思うのですが。
それでも秋葉原が「つまらなくなった」って言われる理由はわかるんです。
街ってのはフシギなもので、全部が全部、キチンと整理整頓されてて清潔なら良いのかっていうと違うんですよ。
ある種の＜いかがわしさ＞は街の魅力に大きく付与する。当然のことながら伝染病が広がりそうなほど不潔だったりゴチャゴチャしてたりしてたら別だけど（それはそれでマニアはいる。つかアタシも強い興味があるけどそれはまた別の話）、適度な＜いかがわしさ＞って妙に吸い寄せられる魅力があるんですよ。
ココでも書いたように、本当に＜いかがわし＞いムードが立ち込めていた1990年代の秋葉原をアタシは知らない。
だから比較は出来ないんだけど、やけに整理整頓されてキレイになった今の秋葉原を見て「こんなの秋葉原じゃない」という気持ちはわかるんです。
実際問題、アタシが通うようになった2000年代の秋葉原と比べても、その手の＜いかがわしさ＞溢れる店は減った。それは間違いないんだけど、それでも日曜日になったらまだ露天店も出てるし、まだあきばお～的な店もかなりある。
とくに電波会館のようなパーツ専門店が立ち並ぶ場所はいまだ健在です。
ただね、パーツ系の店ってある意味「アキバの原点」ではあるんだけど、パソコンに興味のある人間全員＝ハンダゴテを持ってる＆回路図が読めるかっていうとそんなことはないわけで、電波会館にしろ秋月電子にしろ、関係ない人にはとことん関係ない。アタシで言えば「昔むかしは回路図を読めた」程度の人間なのですが、もはやパーツ専門店に立ち寄ることはなくなりました。
というかね、パーツ専門店って「古き良き」感は残してるんだけど「いかがわしさ」は皆無と言ってもいい。そういう意味で1990年代頃の「いかがわしさ満点の秋葉原」は味わうことが出来ない。
かと言って、じゃああきばお～あたりに本当のいかがわしさがあるのかと言えばぜんぜん違うし、いかがわしさ満点の店舗がゼロになったわけじゃないし点在はしてるっちゃしてるけど、数が少ないし点在レベルでは街のムードは形成されない。
そんな中、あくまでひとつの施設の中に限られているとは言え、令和の現在でも独特のいかがわしいムードが立ち込めている場所があります。それが今回紹介する「東京ラジオデパート」です。って有名スポットなのでもったいぶる必要もないんだけど。
Wikipediaによると東京ラジオデパートの設立が1950年、んで今のビルになったのが1973年らしい。
つまり建立から50年経過しているわけで、内装もたいして手直しされてるとは思えず、その佇まいからして「古き良きアキバ」を体現しています。
入ってる店舗はと言えば、そりゃあ怪しすぎる露天店で売ってるような商品が並んでるわけじゃないけど、内装の古さや令和とは思えない照明の暗さも相まって、ただ古いだけの商品が余計怪しく見える。ってもちろん褒め言葉です。
実際、思わぬ商品が手に入ることもあって、Haswell世代CPU用のバックプレート型CPUファンも東京ラジオデパート内の店舗で格安で買えた。ま、新品が売ってないわけじゃないけど、こんな古いCPUにクーラーだけ新品ってのもなぁ、と思ってたんですが、そういうニッチな商品を格安で探すとなったらここが一番いいのです。
ただね、何の自慢にもならないけど、実はここ20年ほど東京ラジオデパートとご無沙汰だったんですよ。
逆に言えば人形町に在住していた2000年代前半は結構行ってたんだけど、それから比較的行きやすい湘南に在住していた時に秋葉原に行っても東京ラジオデパートはスルーしていた。
もちろん前は何度も何度も通ってはいたんです。でも中がどうなのか完全に忘れてて、一切入ろうとしなかった。
それが「家電のケンちゃん」というファミコン系ショップが東京ラジオデパートに入ってるってのを知って久々に行ったら、ああそうだった！ここ、こんな感じだったんだ！！と思い出したという。
とにかくムードがね、本当にいかがわしさがあってすごくいい。昔の秋葉原にタイムスリップしたかのように思える。
だから何も買わなくても行くだけで幸せになれるというか、仮に売ってるブツに興味はなくても「昔の秋葉原」を堪能したければうってつけの場所です。
もちろん店舗単位であればまだまだ面白い店はあるんだけど、東京ラジオデパートの魅力は「その手の店舗の＜集合体＞」だってことで、点在してるだけだったら意味がないんですよ。集まってるから醸し出せるムードがあるというか。
ここ、マジ永久保存して欲しいわ。いや最悪実店舗がなくなったとしても博物館として国の重要文化財に指定すべきなんじゃねーの？と思うわけで。
