こういうエントリって実は何気に恥ずかしいものでして、何故ならモロ<好み>とか<センス>が出るから。
もちろん「やぶにら大全」なので<好み>全開でぜんぜん構わないんだけど、要するに今回取り上げるマシンについては「異論は認めない」なんてことはまったくなくて、逆に言えば「アレがないのにコレがあるってどういうこと?」と言われても困るわけでして。
ただ、これだけは言えると思うのですが、アタシはかなり「ソリッドなデザイン」が好きなんだな、と。
ちなみにソリッドの意味を調べると
1 固体。また、固体状であるさま。「-にした整髪料」
2 堅固なさま。硬質であるさま。また、うつろでなく中まで密であるさま。「シンセサイザーを多用した-なサウンド」「プラスチックの-モデル」
(デジタル大辞林)
なるほど。厳密にはそういう意味か。
でももっとね、ざっくりした感じで「ソリッドな」みたいな言い回しをみなしているのも事実で、もう「アタシなりにソリッドと思うデザイン」ということにしかならない。
でもそれでいいと思うんだよね。本当にざっくりと、雰囲気だけわかってくれたら十分です。
あ、今回、本当はパソコン限定にしようと思ったのですが、それでは数が少なすぎるので、ゲーム機やケータイを含むモバイル機器も範疇にしています。
もうひとつ、あくまでプロダクトデザイン全振りのエントリなので、所有していたか、とか、思い入れがある、とか、製品としての完成度が高いなど「プロダクトデザインとは直接関係ない要素」は選別する上で全部排除しています。
◇ ベーシックマスター MB-6880(日立・1978年9月発売)
アタシにとってのマイファーストマイコンは日立から発売されていたベーシックマスターレベル3なのですが、コイツはレベル3の遠くない祖先ということになりますか。
これ、実機で見たら如何にも「鉄!」って感じでそこまでカッコいいわけじゃないのですが、1970年代らしい機能美に溢れている。いや「デザインにカネをかける気皆無」なのが上手い具合に激シンプルな機能美になったというか。
◇ SMC-70(ソニー・1982年12月発売)
コイツよりも後継機種であるSMC-777の方が有名だとは思うんですが、コイツの方がソニーのパソコンにたいする思想が濃厚な気がして。
何というか、他のメーカーから発売されていたパソコンって「理系の研究所から運び込まれたような」ものか「如何にもオフィスに置いてください」みたいなデザインだったんですが、SMC-70はどちからというと「テレビ局の調整室に置かれている」みたいな風情なんですよね。
なかなかいい画像がないので説明が難しいんだけど、まだすべてをコンピュータで制御する前の時代、いわゆる<宅>が幅を利かせていた頃のテレビ局に置かれてもおかしくないデザインなのは要するに、ソニーがパソコンを「AV機器の一種」と見做していた証拠でしょう。んでそれがSMC-70にも表れているとね。
◇ PC-8201/TRS-80 Model 100(NEC/タンディ・ラジオシャック、1983年3月発売)
本当はね、1980年代前半に一世を風靡した、までは行かないか、ま、それなりに話題になってたポケコンからもひとつと思っていたんだけど、残念ながらひとつも思い付かなかった。
それでも何とか、この時代のモバイル系端末からひとつとなったら、もうこれしかない。
実際、PC-8201の筐体は今見ても完成されてる。さらに当時としては非常に珍しかったワインレッドカラーが素晴らしい。
今回は「懐かしパソコン(マイコン)」という趣旨じゃないので詳細は割愛しますが、とにかくTRS-80 Model 100という兄弟機もあって、こちらはアメリカでバカ売れしたらしい。デザイン的にも微妙にアメリカンテイストになってて、こちらもなかなかのものです。
どうでもいい話だけど、TRS-80 Model 100を発売していたのは「タンディラジオ<シャック>」だからね。よく「ラジオ<ジャック>」という誤記を見るから。
でも声に出してみたくなるんですよ。「タンディラジオシャック!」って。「横河ヒューレットパッカード!」くらい声に出したい日本語です。日本語じゃないけど。
◇ Macintosh 128K(Apple・1984年発売)
便宜上「128K」としたけど、これは後に512Kバージョンが出たので峻別するために現在ではこういう名称なんですが、それでもMacintoshと言われたら、やはりコイツが浮かぶ。
モニター一体型ってのは当時としては珍しくないし、そのモニターも若干時代遅れになりつつあったモノクロなんだけど、それでもね、この初代Macintoshはモニター含めて、んでモニターに映る画面含めて全部がデザインとして素晴らしいんです。
当時のモノクロモニターと言えば、モノクロと言いながら俗に言うグリーンモニターでね。
こんな感じで「黒と緑」で表示される。この方式だった理由は、ま、ブラウン管の構造上の話です。説明はメンドいのでパス。簡単に言えば「黒と白」よりも「黒と緑」の方が安価に作れたと。
だからね、アタシが知る限り、「黒と白」という文字通りのモノトーンのパソコンモニターってなかったと思う。つかたぶん「黒と白」のモニターを作るならカラーとそんなにコストが変わらなかったんだろうね。
つまりMacintoshはコストを抑えるためにモノクロにしているわけではない。というかもう本当に巧みな構成で、モノクロっていうだけではなくあえて当時としてもかなり小さい9インチモニターにしてあるのもすごい。
初代Macintoshの解像度は横が512ドットだからけして高解像度ではありません。つか国産の8ビットマイコンでも横640ドットはあったから。
しかしモニターのサイズが9インチならかなり高解像度に見える。Retinaってほどじゃないけど、この精細感は当時としては画期的で、「黒と白」の表示と併せてメチャクチャ「新し」く見えたんですよ。
これは前機種となったLisaの、いや、これはそういうエントリじゃないのでおしまい。
◇ X68000(シャープ・1987年3月発売)
これはねぇ、正直、最後まで取り上げるか迷ったんだよね。
というのも当時からあんまり好きなデザインじゃなかった。もちろんカッコ悪いってわけじゃないんだけど、微妙な野暮ったさを感じていたというか。
それでも、まあいいかと思えたのは、たぶん「パーソナルコンピュータ」というジャンルの商品で縦置きを採用した初めての商品だと思ったからで、以降もなかなか横置きはなくならなかったけど、もう今なんか横置きは完全になくなってメーカー品、自作用ケース含めてほぼ縦置きばっかだもんね。
そういう意味で先駆的だとは思えたので、とりあえずは入れておきます。
◇ MZ-6551(シャープ・1987年?発売)
コイツにかんしては正確な発売時期がわからないんですよ。
先のX68000同様シャープ製だけど、XシリーズとMZシリーズは開発部署が違うので所詮は「影響を受けた」程度なんだろうけど、微妙にX68000のテイストを取り入れており、個人的にはX68000よりもスタイリッシュに見える。
こういう自作用ケースないかなぁ。
◇ DP-211(パイオニア・1996年発売)
もう一目瞭然というか、1996年当時としては本当に画期的なほど「画面の大きいケータイ」なのですが、本当に微妙に、まだ前時代を引き摺ってるのがいい感じなのです。
これはiPhoneの電話アプリのアイコンです。ま、アイコンってことは意匠と言ってもいいんだけど、ご覧のように「耳に当てる箇所と口を当てる箇所が飛び出している」というのがそれまでの典型的な電話のプロダクトデザインでした。
これはもちろんマイクやスピーカーの性能向上もあるんだろうけど、それよりも人間の心理的な面の方が大きいような気がする。
要するに「耳と口のところが飛び出してないと聞こえるか、こちらの声が通じるか不安になる」というね。だって今までずっと、受話器ってそういう形だったから。
それが時代を経るに従って、どんどんマイク部とスピーカー部が小さくなっていった。たぶんこれは人間が順応して「小さくても大丈夫だ」と思えたからだと。
それを考えたら1996年当時ならこのデザインは致し方ない。というかこれでもマイク部はかなり目立たない方です。
たぶん技術的にはマジでほぼ全面スクリーンに出来たんだろうけど、不安にさせないため、と考えたらね。
◇ iMac G3(Apple・1998年8月発売)
よく言われるように、半透明ってのは何もコイツから始まったわけではなく、ゲームボーイの方が若干早いし、Appleで言っても前年にNewton eMateなんてのを発売しています。
それでも本当に初代iMacは画期的で、半透明=プラスチック=安っぽい、という常識を覆しているんです。
こうやってアップの画像を見ればよくわかるのですが多層的な素材の使い方をしており、スリットラインの入り方も絶妙で、全体を写真で見るのと実機を見るのとではまるで違う。かといって高級感ともまた違っていて、ただただ、カッコいい、としか言えないんです。
またボンダイブルーと呼ばれたカラーのカッコ良さよ!この色を選別した時点で勝ちと言えるほどです。
実際、iMacを模したWindows機もいろいろ出たけど、どれもこれも、本当に「表層だけ真似た=半透明ってところだけを真似た」って感じで実に安っぽく、どれだけiMacが素材選びやカラーを含めて「練り上げたデザイン」なのかが明白になったとさえ思う。
ま、以降のiMacはね、正直アタシはあんまり評価してない。あくまでデザイン的にはですが。
◇ C409CA(カシオ・2001年3月発売)
「G-SHOCKのケータイ版」なのですが、個人的にはコイツが一番良く出来ていると思います。
当時はストレート形状の端末は主流から外れており、人気はほぼ折り畳みに集中していたのですが、これだけはカッコ良いと思ってた。
アタシはドコモだったので買うことはありませんでしたが。
◇ SO503i(ソニーエリクソン・2001年3月発売)
コイツにかんしてはココでも書いたんだけど、ベスト・オブ・ガラケーだと思う。ってデザインだけだけど。
とにかく表面の丸みがいいんですよ。下品にならずにソリッドなのに柔らかさがあるというか。
◇ Power Mac G5(Apple・2003年6月発売)
実はね、一時期コイツの中古を探していたことがあって。
ってもさすがに中身まるごと使おうってんじゃないですよ。あくまでケースだけが欲しくてね。要するに自作PC用のケースにならないかと。
実際にこの筐体を使って自作PCを作ってる人がいますが、相当大変みたいです。ま、そりゃ今のマザーボードがハマる設計じゃないもん。
つまり、ガワだけでも利用したいと思うくらいカッコいい。いやコイツにかんしてはAppleのマークがあるとかどうでもいいんだから、もっと丸パクリしたような自作ケースがあってもいいのにね。
◇ ipaq h4350(hp・2003年?発売)
懐かしのPocketPC、つまりPDAからもひとつと思ったのですが、コイツとBenQ P50で迷ったんですよね。
どちらも似た筐体デザインで、表面にキーボードが搭載されているのですが、P50はちょっと分厚いというか今見るとかなりボテッとしているんですよ。
その点h4350はスリムで、デザインとしてはより完成されている、ということでこちらを選んだと。
ただし、h4350もP50も日本国内では未発売です。つか何で発売してくれなかったんだ!と当時は怒りが湧いたものです。
◇ EM・ONE(シャープ・2007年3月発売)
これはシャープとWILLCOMから発売されていたW-ZERO3のイーモバイル版と言えるもので、製造は同じくシャープ。早い話がW-ZERO3とは兄弟機のような関係です。
もちろんこっちの方が後発なのでブラッシュアップされており、W-ZERO3と同様スライド式のキーボードを内蔵しながら縦方向にスライドさせるとカーソルキー(と裏面にはカメラ)が登場するというギミックがオトコゴコロをくすぐる。
ただね、もう何だったか忘れちゃったけど、たしか液晶かなんかに致命的な不具合を抱えていて、アタシも中古で購入したんだけどわりとすぐに使えなくなった。
デザインとしては本当に良かったのにねぇ、マジでもったいない。
◇ VAIO typeP(ソニー・2009年発売)
VAIO typePと言えば、何と言ってもこの画像でしょう。
もう散々ネタにされたけど、実際にポケットに突っ込むかどうかはさておき、この筐体デザインは素晴らしいとしか言いようがない。
ただね、本当に時期が悪かった。
これはメーカーというよりはチップメーカーの問題なんだけど、モバイルマシンのバッテリーの保ちや性能について本当に力を入れ始めたのって2010年代に入ってからなんですよ。それまでも面白いコンセプトのモバイル機器はあったけど、どれも当時のチップセットでは性能面でもバッテリー面でも及第点に届いてなかった。
だからもう、2009年発売ってのはギリギリで時期が悪い。あと2年後に出てたらもっと使えるマシンになったと思うし、もっともっと評価されてたと思うわけで。
◇ PSP GO(ソニー・2009年発売)
え!?こんな遅いの?と思ってしまう。何となく2000年代の前半に発売されてたと思ってた。
でもこれはいいなぁ。ほぼ同じデザインのXperiaもあったけど(Xperia PLAY)、今の性能で発売されたら絶対に買うよ。たとえ多少使いづらくても。
◇ HYBRID W-ZERO3(2010年発売)
ここまでは「実は使ったことがない」機器が大半なのですが、これはねぇ、散々使った分、いや使い倒した分、どうしても愚痴になっちゃう。
つか性能の話はしないコンセプトなので愚痴はなるべく控えますが、性能ってことで言えばマジで0点でした。
これが結果的にW-ZERO3シリーズの最終機になったんだけど、これ以前の機種はなんだかんだ上手くチューニングされていたのに、コイツは明らかにチューニング不足で、何でこんなのでいいと思ったのか、当時のシャープとWILLCOMの神経を疑うわ。
でも、です。筐体デザインは本当に素晴らしい!これは声を大にして言いたい。
たしかにW-ZERO3シリーズの特色であるフルキーを廃止したのは賛否があったのですが、少なくともプロダクトデザインということだけで言えば大成功だったと思う。
スライドの感触も高級感があり、それまでのW-ZERO3シリーズにあった塗装ハゲも起きづらいようになっており、キーの押し心地も悪くない。
何だ、マジで筐体デザインで力尽きたのか。当時の関係者から「何でこうなったか」話を聞きたいわ。
◇ INFOBAR xv(2018年11月発売)
INFOBARシリーズは2000年代前半からありましたが、あくまでデザインとして完成形になったのはコイツだと思う。
まァね、完全なるまでにデザイン全振り端末なんて買おうとかは一切思わなかったけど、ポップでありソリッドになってるって、かなりレベルの高いことをやってます。とくにこのカラーが素晴らしい。
◇ RG Nano(ANBERNIC・2023年発売)
もう久々に心奪われたプロダクトデザインです。
いわば「ミニテトリン」の現代版というか、ミニテトリンとほぼ同サイズに中華ゲーム機(ま、早い話がエミュ機)の性能を詰め込んだものでして、よくもまあ、こんなのを出したものだと。
↑見てもらえればわかりますが、正直ね、こんなサイズでは操作性も何もあったもんじゃないってのは容易に想像がつく。でもこれはこれでいいと言うか、ある意味ここまでプロダクトデザイン全振りな製品が令和の時代に出たというのは感動的ですらありました。
ただ実際問題、買うかどうかってなるとね。もういろいろ絶妙すぎて。不具合も多いらしいし。
ま、こんな感じですかね。
こういうのって普通ならMZ-80Kとかそういうのを取り上げそうなもんだけど、あえてシビアな目で、 当時も今も、あくまでアタシ個人がカッコいいと思えるものを厳選した。本当はギリギリまで「シンクレア ZX81」を入れようか迷ったのですが、ま、安価製品のお手本のような良いデザインではあるんだけど「マジカッコいい」ってほどじゃないと思ってオミットしました。
つかもし、中身だけ最新であれば無条件で購入決定と思えるものを選んだっつーか(現行機であるRG Nanoを除く)、とくにVAIO typePとPSP GO(Xperia PLAY)と瓜二つのマシンがあったら今すぐにでも欲しい。一部ではOneMix 3が現代版VAIO typePと言われてるみたいだけど、少なくともプロダクトデザインの完成度はまるで違うよね。
やっぱデザインにカネをかける時代じゃなくなったっていうか、Appleでさえジョナサン・アイブがいなくなったからなのか、どんどん保守的なデザインになってるし。
ま、アタシも一応グラフィックデザインを生業にしてるんでわかるけど、不景気な時代とデザイン性って相性悪いわ。
ここ何年かPSP GOを丸パクリした中華ゲーム機を探してるんだけど、ないんだよ意外なことに。 昔はあったみたいなんだけど、たしかに中華ゲーム機も性能が上がって、アナログスティックを多用するようなPS2以降のエミュも普通に動作するようになったからね。となるとPSP GOの構造じゃどうしてもアナログ操作が簡易的にならざるを得ないので、いろいろと難しいんだろうな。 |
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