ショクナイの壁
FirstUPDATE2023.9.30
@Scribble #Scribble2023 #ブギウギ @戦前 #オタク #テレビドラマ #Twitter 朝ドラ @笠置シズ子 恋のステップ 桜咲く国 変名 覆面歌手 ショクナイ 中途半端は嫌なので 単ページ

いやぁ、いよいよ来週の月曜日からですか。って、言うまでもないけど、そうですよ。朝ドラですよ。

実際ね、アタシは朝ドラ「ブギウギ」の開始に合わせていろいろ準備はしてきたのです。何というか、やっぱ、ドラマが始まったら「笠置シズ子」で検索される方が増えるはずで、ならば以前から計画していた「BoogieWoogieBeats」をおっ始める良いチャンスだとね。
しかし、いろんなことが立て込み過ぎてて、まったく<ソレ>に時間を取れなかった。せめて入門的なエントリだけでもと思ったし、あと笠置シズ子が主演した映画の論評だけでも、と思ったんだけど、どちらも時間切れで断念せざるを得ませんでした。

それでもね、まったく、何も書く時間がなかったのかと言われると、そんなこともない。
たしかにここ数日体調を崩してはいるのですが、それでも簡単なことくらいは、書こうと思えば書ける。
メチャクチャ正直に言えば「書けるけど書きたくなかった」ということになるのかもしれない。もっとぶっちゃけて言うなら「書く自信がない」という方が正確な気がします。

先日もTwitter(X?知らん)のタイムラインに「恋のステップ」の作曲者としてクレジットされている「服部ヘンリー」とは「服部良一」のことではなく「服部逸郎(=レイモンド服部、TBSのスポーツ中継のテーマ曲「コバルトの空」で有名)」というのが流れてきましたが、とにかく戦前期の芸能を調べてて一番ややこしいのが「変名」とか「覆面歌手」が多すぎるのです。
たとえば、それこそ「恋のステップ」の歌唱は三笠静子ということなってるけど、これは笠置シズ子のことで、しかしこの場合は変名でも覆面歌手でもなく、ただの改名なのでわかりやすい。
しかし「桜咲く国」で言えば歌唱が「笠原シズ子」となっており、これは変名というよりは記載ミスっつーか誤記なんですが、この手の誤記も結構あるんですよ。

「ニッポンジャズ水滸伝・人之巻」というCDのライナーノーツに大阪市資料調査会の古川武志氏が書かれた「もうひとつの星伝説・マイナー梁山泊を跋扈した覆面のスタアたち」というコラムが掲載されており、ここで覆面歌手の<一例>が挙げられているのですが、正直<一例>というには数が多すぎて、でも実際はもっともっとあるので<一例>以外の何物でもない、というとんでもない話なんです。
何故ここまで変名、覆面歌手が多いのかの理由も上記コラムに記載されているのですが、アタシのような<ニワカ>ではなく本格的に研究されておられる方でもまだわからないことがある、それこそやっと「服部ヘンリー=服部逸郎」とわかったりしたわけで、こういうことがあると本当に自信がなくなる。つかアタシ如きが手を出して良いレベルじゃないわな、と思ってしまうというか。

表に名前を出せない場合は変名もしくは覆面歌手という形で、いわば「ショクナイ(=内職)」をするってのは昔はかなりあって、もうちょっと後の時代、アタシがよく知るはずのクレージーキャッツでもTBS社員だった砂田実がフジテレビの「おとなの漫画」を演出する時に偽名(青山浩名義)を用いている。
これなんか関係者があきらかにしてるからまだわかりやすいんだけど、「もうひとつの星伝説」で<変名キング>とまで書かれた楠木繁夫なんか、仮にご存命だったとしても、本人もどんな変名でレコードを吹き込んだかなんて全部憶えてるわけがない。

だったらその辺の話を避けて何か書きゃいいじゃねーか、と思われるかもしれませんが、結局ね、そういう誤魔化しをしながら何か書くと途端に文章に説得力がなくなるのですよ。
アタシの考えとして「入門向けの文章こそ間違いがあっちゃいけない」ってのがあって、入門向けだから詳細な記述は必要ないけど、それこそ「笠置シズ子と服部良一の名コンビは「東京ブギウギ」から始まった」とか絶対に書いちゃいけない。何というか、あくまで事実に即した形で簡素にまとめるのと簡単にまとめるために嘘を書くのはぜんぜん別モノだから。

ココでも書いたように、アタシが笠置シズ子さんのファンサイトを立ち上げるのは<宿命>なんですよ。これは避けて通れない。絶対やらなきゃいけないことなんです。
だからこそ、浅い知識でいろいろ書いて、せっかく笠置シズ子に興味を持ってくれた人を「惑わす」わけにはいかない。
となると「今すぐ始めるのは不可能」という結論になってしまう。むしろ、そういういい加減なことだけは絶対にやっちゃダメなことだろ、と。
要するに「力にはなれないけど邪魔だけはしないでおこう」というスタンスでやります。

そうは言っても朝ドラは絶対に見るし、見たら何か言いたくなるのは決定なので、それはなるべくScribbleではなくTwitter(でいいんだよ)に書こうと思っています。
もちろん笠置シズ子主演映画の論評めいたものくらいなら朝ドラの放送期間中にやるかもしれないし、チョロチョロとは笠置シズ子ネタをぶっ込んで行こうとは思っている。
ま、その程度ですね。それ以上、本格的な研究はもっと時間をかけてやらないと。中途半端な知識でない、と自負出来た時でいいわ。

つーことはつまり、まだまだ、ですな。と書くと後ろ向きに思われるかもしれないけど、調査のモチベーション上げに朝ドラ「ブギウギ」が貢献してくれたらな、と切に願うわけで。







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