受動側の歴史
FirstUPDATE2023.8.23
@Scribble #Scribble2023 #オタク @8bitマイコン @クレージーキャッツ @ドリフターズ @東宝クレージー映画 松竹ドリフ映画 浅草東宝 ファミリー劇場 @ドリフ大爆笑 裏取り 取材 わりと長くなった 単ページ

いや、もしかしたら、これからアタシがやっていくことってのはソッチ方面なのかな、と思ったもので。


これ、頑張って書いたわりには何の反響もなかったっていう、ウチのサイトにはありがちなエントリなんですけど、ま、掻い摘んで言えば「1980年代のマイコン界隈の話をハードウェア、ソフトウェアなどの話抜きに受動側視点で書いたエントリ」ってことになります。
つまりね、この手の話にありがちな「Z80Aと6809は」とか「あのゲームはどのようなプログラミング技術で作られていたか」とか「どんなハードがソフトが売れていたか」などを全部ナシにして、とにかく「神戸に住む一高校生がどのような環境でマイコンなるものに接していたか」を個人的な思い出をほぼ抜きにして徹底的に調査して書き上げたのです。

つまりね、発端は「個人の思い入れ」だけど内容は「客観的視点」なんですよ。
正直この手のエントリが受け入れられるかわかんないまま書いたし、そもそも対象が限定的なので、たぶん反響はないだろうとは踏んでいたんです。
つかね、普通、1980年代のマイコン事情を書くなら「NECのPC-8001が発売されたのは・・・」とかの方が常套なんですよ。でもそれをやってないからどうしても対象が限定的になるわけで。

アタシで言えば、というかクレージーキャッツで言えば「1955年4月に結成されたクレージーキャッツは」から始めるのが普通であってね、実際クレージーキャッツを研究している人はそういうことをやるわけですよ。
でもアタシは、どちらかというと、もっと受動側視点でやりたいんです。
1980年代、今は亡き浅草東宝で繰り返し東宝クレージー映画のオールナイト上映が行われ、それが後の「スーダラ伝説」以降の人気再燃に繋がったと言われていますが、じゃあ、具体的に何年の何月何日にどのような上映が行われていたかのデータは調べている人がいない。

さらに言えば。
アタシは繰り返し「小学校から中学校の頃に松竹ドリフ映画がテレビで放送されていたのでよく見ていた」と書いているわけですが、アタシが住む関西地方のみならず、全国のローカル局でどの程度の頻度で松竹ドリフ映画が放送されていたのか、そんなことは誰も調査しない。
今で言っても、ファミリー劇場で繰り返し「ドリフ大爆笑」が放送されているけど、「ドリフ大爆笑」自体の放送リストはあれど、ファミリー劇場でどういうふうにリピート放送されたか、というような放送リストなんて見たことがない。

クレージーキャッツにしろドリフターズにしろ8bitマイコンにしろ、<本丸>の歴史を調べたい、調べようとしている人は今後いくらでも出てくると思う。でも「それがどうやって受動側に伝わったか」の歴史はあんまり、いや皆無に近いレベルでやる人がいないんです。
アタシが「将来的な課題」としながらも、まったく手付かずなネタに「プロ野球のテレビ中継の歴史」ってのがあって、ある時期までほぼ全試合放送されていた巨人戦はともかく、出来ればローカル局での中継まで含めた完全テレビ中継リストが作りたいのです。

何でそんな誰もやりたがらない、手間ばかりかかって評価されるわけでもないことに何でそこまで興味があるのか、と言えば、ひとつは「当時を生きていた人の生活に密着している」ことと、もうひとつは「果てしなく大変だけど時間さえかければ調べ尽くすことは可能」だからなんです。

もう、昔のことを調べたら誰しもがブチ当たるのが「裏取りが出来ない」というね、たしかに関係者がそのような発言をしたという記録はあるんだけど、その発言が本当に真実なのか、それこそ自分自身が関係者でもない限りわからないことの方が多いんですよ。
たとえば反証があったとして、今度はその反証の裏取りをしなきゃいけないし、さらには裏取りのそのまた裏取りをしなきゃいけない。つまり無限。
たったひとつの真実にたどり着くまでだけでこれだけの労力が必要で、それを何百何千やらないと<形>にすらならないのです。

その点、関係者をはじめとした人の<記憶>に端を発しない調査はほぼ裏取りが不必要で、調べれば調べるほどデータが溜まっていく。
さらに裏取りに必要不可欠な<取材>というものがほぼいらない。はっきり言って、ただの素人が関係者に取材をする、なんてハードルが高すぎる話で、取材が必要となると趣味の範疇を超えてしまいます。
もうひとつ言えば、何しろ趣味なので「いつまでにまとめなければならない」みたいな、ま、締切ですね、も存在しない。だからコツコツ地道な調査が可能になる。
そういう意味でも「受動側の歴史」の調査はプロのルポライターではない、要するに素人の趣味にはうってつけなのです。

なのに、です。
とにかくやってる人がほとんどいない。さすがにクレージーキャッツはともかく8bitマイコンとかファミコンとかならいても良さそうなのに、ぜんぜんいない。
だからこそなのですが、誰もやらないならアタシがやってみようと。いやまだ「今後ソッチ方面に全振りします!」ってことじゃないんだけど、ほんの少しずつでいいので本丸から逸れたことをやっていこうかと。

自分自身で読み返して面白いのは「受動側の歴史」だし、本丸の歴史はアタシがやらなくても必ず誰かがやるから、それを楽しんだ方がいいわな。







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