去年ですが、一応「今一度、ジャニー喜多川とSMAP解散について考える」なんてエントリを書いたわけで、やっぱ触れないわけにはいかないな、と。いや別に触れなくてもいいんだけど。
先日、例のことでBBCがドキュメンタリー番組を制作し、いろいろあった末、ジャニーズ事務所の現社長が謝罪動画なるものを出したわけですが、その謝罪動画のひとつの発言があらたな火種になった、というね。
それが、ま、引用するのは嫌なので意訳(訳じゃないけど)ですが「知らなかったで済ませられることではないが、知らなかった」という発言です。
これにたいして、今さら「ウソつけ。知らないわけねーだろ」という気もない。
そんなことよりも、何であんな構成にしたんだろ、とはものすごく思った。
記者会見ではなく、一方的に喋るだけの謝罪<動画>なんだから、誰にも邪魔されることなく、自分が伝えたいことだけを発信出来るんですよ。当然、都合の悪いことを話したくないから謝罪<動画>にしたんだろうし。
この手の謝罪で一番大事なのは「すべてを包み隠さず話してるわけではないけど、少なくともウソはついてない」っていうふうにしないといけない。ウソが混じってしまうとそこから綻びが出る。
だからね、アタシが謝罪動画の構成者ならば「知ってたか知らなかったか」という方向には絶対に持っていかない。もちろん意図は理解出来るんだけど、あまりにもリスクが大きすぎる。
それよりも、とにかく騒動にたいする謝罪と、今後の善後策について語る、というのがどう考えても無難なんです。
もっとぶっちゃけ言えば、あの謝罪動画まで「コトの真相を現社長が把握していたかどうか」はほとんど話題にもなってなかった。それが動画内ではっきり「知らなかった」というひと言を言ってしまったばっかりに、別の火種を生んでしまったし、実際、あの「知らなかった」という発言が致命傷になりかねないくらい、元所属タレントが「いやいや、それはないだろ」と言い出したわけです。
元所属タレントも実際問題、ジャニー喜多川当人へ恨む気持ちを持ってる人は少ないと思う。だから、ま、積極的に弁護はしないまでも黙っていよう、つまりジャニーズ事務所を擁護するつもりはないけど追い詰めるつもりもない、みたいな感じだったと思うんです。
ところが完全に「知らなかった」発言で流れが変わった。あれだけあからさまなウソをつかれたら、さすがに黙ってはいられない、と。
アタシはね、わりと身近にジャニオタがいるし、「今一度、ジャニー喜多川とSMAP解散について考える」でも書いたようにジャニー喜多川という人にたいしては好意的です。
しかし昨年、滝沢秀明と平野紫耀の退所があきらかになった時点で、これはマジで危ない、と思っていた。んでそのことも書いてきました。
「結局は風化する」とか「ジャニーズ事務所はなんだかんだ言いながら持ち直す」なんて人もいっぱいいたけど、今回のはちょっと違うぞと。何か普通ではないものを感じていた。
僕は、プロダクションと局っていうのは、対等だと思うんですよ。もちつもたれつ。局の方がいばったり、逆にプロダクションの方がいばったり、っていう状況はバランスがよくない。
これは日本テレビの名プロデューサーだった井原高忠が小林信彦に語ったという言葉ですが、これは渡辺プロダクションの社長だった渡辺晋が吐いたたったひと言「じゃあそっちの曜日を変えればいいじゃないか」が井原高忠に火をつけたんです。
つまり、上記引用での<プロダクション>とは暗に渡辺プロダクションを指しているのですが、かつて渡辺プロダクションの支援で設立されたジャニーズ事務所も「たったひと言」が原因で同じ轍を踏もうもしている、というのが、何とも言えず哀しい。
多少強権的なのは致し方ないとしても、誰か現社長に「ナベプロと同じ轍だけは踏むなよ」とアドバイスするべきだったと思うし、そんな余計なひと言を言わせる構成にしてしまった、んでそれが事態を大幅に悪化させるとも思ってなかった、というのはナベプロに近しい空気の読めなさだったと思うわけで。