アタシは現在サラリーマンでもなんでもないのですが、つくづく、サラリーマンには向いてないと感じていた。だからこそ「サラリーマンとしての出世」を諦めたし、サラリーマンを続けようとは思わなかったわけで。
何が向いてないと言っても、とにかく「(会社での立場が)下の者を教える」ことが本当に、自分でも呆れ返るほど下手クソなんですよ。
ましてや昨今は、何かっつーとパワハラだセクハラだと言われる時代ですし、アタシがサラリーマンをやってた時代よりさらに困難になってると思うわけで、ま、仮に誰かに指導するようなことがあったとしても「お互い同じ企業に所属した」状態で指導ってもう無理なんじゃないですかね。
あ、アタシはね。
↑で山本嘉次郎と桂米朝のことを書いたのですが、とにかくこのふたりに共通しているのは
・博覧強記レベルの博識
・まったくタイプの違う弟子を何人も優秀な人材に育てた
これは本当にすごい。たったひとりだけ育てるだけでも果てしない苦労があるし、自分と同じようなタイプにならまだ育てることは出来るのかもしれないけど、その博識ぶりを活かして「その弟子の資質に合わせてどのようにも育てられる」というのは本当にハンパではなかったとあらためて思うわけで。
で、です。このエントリは実は野球関係エントリです。
今日は伊藤君が素晴らしいピッチングをしましたね。やっぱりアウトローに確率良く決めてくる、本当に素晴らしいコントロールでしたよね。また梅野君にホームランを打たれたというところで、リードもさえてました。見逃し三振も多かったし、三振が多いっていうのはキャッチャーのリードが良くて、そこにピッチャーが投げきっているということ。今日は相手のバッテリーが素晴らしかったですよね
14日の阪神対巨人戦後の総評ですが、これ、驚くことに、このコメントを出したのが他ならぬ巨人の投手コーチの桑田真澄なんですよ。
たしかに試合後に相手チームの選手を称えることはあることはあるのですが、ここまで絶賛系の手放しの称賛は本当に珍しい。ましてや巨人は伊藤将司に手も足も出ないピッチングをされた側で、よくもまあ、ある意味ノーテンキなコメントを出せたものだと感心します。
いや、もういろいろ言われているけど、たしかに伊藤将司は「桑田真澄が思い描く理想の投手」と言えるタイプの投手です。
それはそれでいいんだけど、どうも、桑田はね、まったく伊藤将司とはタイプの違う、球威で抑え込むタイプの投手にまで伊藤将司のようなピッチングを望んでいる、と思えるコメントをいくつも発している。
今年の巨人は投手が崩壊しており、とくに与四死球の数がとんでもないことになっている。
桑田真澄によってコントロール重視を標榜した巨人が逆に与四死球ダントツトップってのは、これはもう、さもありなん、としか思えない。
アタシはね、野球に限らず、良い指導者というのは「一切、何の型にも当てはめない」ことが一番の条件だと思っている。
逆に言えば「すぐに型に当てはめようとする」のが一番悪い指導者だと言ってもいい。
掛布なんか、自分と近いタイプには「主軸の自分がやってきたことを当てはめよう」とし、自分と遠いタイプには「バイプレーヤーのステレオタイプに当てはめよう」とした。
でもさ、掛布の時代でさえ、バースも岡田も真弓も佐野も、全員ぜんぜんタイプが違う。んなもん「野球選手の野手は二通りしかない」なんてあり得ない。
桑田なんかもっと極端で、タイプ一切関係なく、自分のやってきたことを全員に当てはめようとしているとしか思えない。
解説者時代から、何がそんなに憎いのかわからないけど、やたら澤村拓一を目の敵のようにクサしていましたが、正直、澤村のような荒れ球剛球タイプの投手にまで「140キロでいいからアウトローにだけ投げ込め」と繰り返していたのは常軌を逸している。
実は「球速はフィジカルとテクニックを鍛えたら強化出来るが、コントロールこそ持って生まれたセンスが必要」と言われています。
つまり、少々の努力ではコントロールなんか身につくはずがない。奇跡的にコントロールがついた青柳でさえ3、4年かけて今のコントロールを手に入れたんだからさ、キャンプでちょっと練習しただけでアウトロービタビタに投げられるようになったら世話ないよ。
ま、はっきり言って、桑田真澄は教えることが向いてない。んで、桑田とは方向性が違うけどアタシも教えるのが向いてない。
やっぱ、そういう人間は「教えない」方向に進んだ方が被害者も出ないし、いいと思うんだけどなぁ。