今更もいいところですが、昨年の紅白のことを書きたくなりましてね。
紅白について、アタシはこんなことを書いたことがあります。
考えてみれば紅白だって客を入れて収録する、一種のライブなわけですよね。そうなると客も出演者の一部なんですよ。
1968年の紅白を見てて痛切に思うのが、ああこの頃の観客って、本当にこの日を待ちわびて、そしてこの瞬間を本気で楽しんでいるんだろうなってのが手に取るようにわかることなんです。
もう時代が違うからしょうがないのかもしれないけど、今の観客はもっと醒めてるもん。(中略)そうなると、どうしても会場が白々とした空気になりやすい。つまり観客自体をどうにかしないと、いくら民放ノリで頑張っても「面白い紅白」にはならないと思うんですよ。
もう、↑の引用だけで「何故2021年の紅白は視聴率が取れなかった」がわかってもらえると思います。
無観客でやらざるを得なかった2020年の紅白は、ある意味「ショウとはまったく別の形」を標榜しなければいけなかったので、それが結果的に良い方向に作用したと思う。
ところが2021年は、従来通り観客ありの紅白に「表面的には」戻したのですが、マスク着用は当然として、声もあげられない。つまり、極端に言えば内容関係なしに「アタマからケツまで、ず~っとスベりっぱなし」のように見えるんですよ。
上記引用で書いた通り、たとえテレビ用であってもステージから中継する場合って「観客も一出演者」なんです。会場が観客の熱気で溢れていればテレビ越しにでもその興奮は伝わる。
つまり、下手に客入れをしたがばっかりに、寒々とした空気までお茶の間に伝わって、チャンネルを変えられてしまったのではないかと。
↑でも書いたのですが、NHKは「紅白とはショウである」ってことがわかってなさすぎたに尽きる。
「観客が声もあげられないんじゃあ、もうショウとして成立しないよ。だったら2020年と同じ<やり方>でいいんじゃね?」って意見が出なかったんだろうか。
いやね、もし「紅白とはショウである」ってことが理解出来てて、それでも経験不足、技術不足から良い感じに仕上げられないのであれば、まだ可能性があると思うんですよ。
でも、もう、それ以前の話だったってのが去年の紅白を見てはっきりした。つまりは「紅白とはショウである」っていう、根本さえNHKはわかってないぞ、と。
マジで紅白の担当者はブロードウェイとかでショウを見倒してこいよ、と思う。
んで、猿真似でもなんでもいいから、まるまる模倣したもんでも作れよ。この際恥も外聞も捨てて、そこからやり直さなきゃどうしようもない。
本当はそんなの、一度通った道なんだから、キチンと継承さえ出来ていれば必要なかったんです。でもこれだけ根本がわかってないのならばそこからやり直すしかない。
コア視聴率を稼ぐために若者向けにするとか、いややっぱり高齢者も楽しめるものにした方がいいとかね、基本をちゃんとやらずに応用、いや応用ですらない、そんな小手先のことばっかり考えてたら、そりゃあんだけ視聴率も下落するわ。
でもたぶん、司会者が悪かったってことになって、全責任が大泉洋に行くんだろうなぁと思う。まったく馬鹿馬鹿しいけど。
悪いのは演出でも構成でも出場歌手でも司会者でもない。当然ですが裏番組が強力だったわけでも、YouTubeの時代になったからでもない。
すべての元凶は<根本>です。ここがわからない限り、もう紅白なんて終わらせた方がいいかもね。