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複眼単眼・顔
FirstUPDATE2021.12.27
@Classic #複眼単眼 @いかりや長介 @加藤茶 #事件 #顔 #ゲーム 全2ページ Ado GReeeeN 識別 三億円事件 モンタージュ コンセントピックス 竹中直人 ドクトクくん ますだおかだ岡田 雰囲気イケメン

 数年前に「雰囲気イケメン」なんて言葉が流行ったことがありました。
 とくに小栗旬あたりはそう言われてたけど、アタシ的には小栗旬なんか顔の造りだけを見ても十分イケメンの範疇に入ると思ってたんですがね。

 芸能人を例に取るとわかりやすいのですが、純粋な顔の造りよりも、キャラクターやイメージの方が優先されるものなのです。
 一番顕著なのは加藤茶のケースでしょう。
 アタシの子供の頃の加藤茶のイメージは「悪ガキ」であり、間違っても顔がどうこうと思ったことなど一回もなかった。
 ところが近年、若い頃の加藤茶の写真について、とくにインターネット界隈で「菅田将暉そっくり!」とか「超絶イケメン」などと言われるようになっています。
 たしかに若い頃の加藤茶は本当にイケメンなのです。しかもキュートなイケメンで、そりゃ当時の若い女の子がキュンキュンしたのもわかります。

 ただ、さらによーく、若い頃の加藤茶を、本当に顔の造りだけを見ると、実はかなり「怖い顔」なのです。
 1970年頃、創刊したての週刊少年ジャンプに「漫画ドリフターズ」という漫画が連載されていました。もちろんテレビアニメ化もされた「ドリフターズ」とはまったく別作品です。
 「漫画ドリフターズ」のキャラクターは当然ドリフターズのメンバーに似せており、デフォルメともリアルとも違う似顔絵でよくあるタイプのタッチなのですが、もうね、加藤茶がメチャクチャ怖いんですよ。

 ドリフターズのメンバーで「顔が怖い」と言われたのはリーダーのいかりや長介です。しかし似顔絵タッチで描かれたいかりや長介を見ればわかりますが、実物のいかりや長介も個性的な顔ではあるけど、実はそこまで怖い顔の造りではないのです。何というか、いい感じでトボけた造りをしている、というか。
 つまりキャラクターイメージのせいで実際以上に「怖い顔に見られていた」ということでしょう。
 イジメられ役だった加藤茶は、逆に必要以上に「かわいい顔」に見えた。ただ、これも顔の造りだけで言えば実際にはいかりや長介よりもはるかに「怖い顔」なのです。

 イメージやキャラクターを消し去って、本当に純粋に顔の造りだけで見ると、実は男前とか、実はそれほどでもない、とか、そういう人はいっぱいいる。これは芸能界だけに限った話ではありません。
 もちろん「雰囲気イケメン」がいるのなら「雰囲気ブサメン」も存在しており、ますだおかだの岡田なんかは典型的な例だと思う。
 岡田はあんなキャラクターですが、間違いなくイケメンです。それもイケメン俳優の中に交じっても見劣りしないくらいのイケメン。
 だけれども岡田の場合、イケメンだと思われてトクをすることなど何もない。東京に進出する前のますだおかだはあんな感じではなく、岡田はまさしく「イケメン担当」でしたが、逆に影も薄かった。というかイケメンをかなぐり捨てたからこそ今の位置に行けたんだと思うしね。

 ここが<顔>の難しいところなんです。
 イケメンですね、とか、美人ですね、と言われたら誰でも喜びそうなものだけど、実際はそう単純な話じゃない。
 それこそ岡田なんかイケメンなんて言われたら逆に商売に差し支える。頑張ってブサメンってキャラを築き上げたのに、イケメンなんて言われたら台無しになってしまう。イコール、収入にまで影響が出るのです。
 だからケナす時だけではなく、ホメる時も慎重に慎重を重ねなければいけない。ましてやケナす時など、いやよほどの人でない限り、他人さんの顔を正面切って悪くいうなんてあり得ないと思うけど、仮に洒落っ気混じりでも、逆説的な表現であっても、よほど気をつけないといけないと思うんです。

 さて

 1984年の話です。
 関東ではどうか知らないけど、当時アタシが住んでいた関西の深夜の時間帯になると、もう、どれだけ流れるんだっていうくらい、新人バンドのスポットCMが流れてた。それがコンセントピックスってバンドの「顔」ってタイトルのシングルレコードのCM。
 軽く検索をかけたところ、このコンセントピックスってのはヤマハのポプコン出身らしく、いわゆるガールズバンド。んで「顔」がデビューシングルだったらしい。
 しかし何故にド新人のシングルのCMをあれほど大量に流したんだろうか。
 CMでは「サビ」が流れてたんだけど、このサビってのが、もう、何というか。

♪ 顔が嫌い顔が嫌い あんたの顔が嫌いなだけ~

 歌詞ははっきり憶えてるのにメロディは相当ボンヤリとしか浮かんでこないし、そのメロディが正しいという自信もまったくありません。
 それにしても、何だこの歌詞は。リアルタイムでの印象もとにかく不快という以外にはなくて、当たり前だけどレコードも買っていない。つかCMすらもう見る(聴く、か)のも嫌だったくらいだから。
 たしか歌唱も人を食ったような、たぶんパンク調ってことなんだろうけど、歌詞の不快感と相まって不快を通り越して「虫酸が走る」といっていいレベルでした。

 どことは書きませんが、どこかのブログに「皮肉のわからない人がこの歌詞を批判してたんだろう」みたいなことを書いてたんだけど、いやいや、スポットCMで皮肉なんかわかるわけないですよ。つか皮肉かどうか以前にまず不快感が先に来たら、歌詞全体を知ろうとなんかしませんからね。
 もちろんね、この年齢なら一発で皮肉ってのはわかるけど、皮肉とわかったからといって、じゃあレコード買おう、とか、コンサートに行きたいな、とは思わない。不快なのには違いないわけだし。

 そもそもの話ですが、「身も蓋もないことを言えば過激」ってことになるのか?って話なんです。
 たとえば「カネのないヤツは今すぐ自殺しろ」とか「むかつくから片っ端から殺しちゃいました」みたいなのって、過激とは違うベクトルで痛々しい。あんまり言いたくないけど厨二病というか、あまりにも浅い。
 いや、まだ「殺せ」云々みたいなのなら百歩譲って過激かもしれませんが、「顔」はいわば言葉の暴力ですからね。ボーカルが女性なのも、しかもさっき書いたように歌唱も人を食った感じなのも、余計ネチネチした感じがある。つまりは陰湿なイジメっぽいんです。(歌詞全体を読むとそうじゃないけど、何しろCMではソコしか流れないからね)

 それにしてもです。
 この「顔」というのはもともとコンセントピックスの持ち歌というかオリジナルソングだったらしく、実際ポプコンもこの曲を引っ提げて優勝している。
 でもこれはこの曲のCMを大量に流す、なんてプロモーションをしたプロデューサーが悪いよ。深夜のスポットとはいえ、サビの箇所を使った大量にCMを投入する=強制的にお茶の間に送り込む、なんてどうかしてる。それこそそれじゃあ皮肉って伝わらないじゃん。

 いやそもそも、「顔」をデビューシングルにしたこと自体が間違ってる、としか言いようがない。
 何度もしつこいですが、たとえホメるにしても「顔の話をする」のは難しいことなんです。ましてやこの曲の歌詞は美醜を超えて「好き嫌い」の話になってるわけで、ことさら慎重に扱わないといけない。
 アタシはね、<顔>を題材にしたこと自体は悪くないと思う。ただし、あまりにも題材の扱いが雑すぎた。ただでさえインパクトが強い題材なんだから、多少ヌルくしても十分インパクトは残存したと思うんです。
 そもそも<皮肉>ってモン自体が非常に高度なテクニックが必要で、正直ド新人が容易に触って良いもんじゃない。
 <顔>という題材を<皮肉>を込めて扱ってる例として竹中直人の「ドクトクくん」という楽曲があります。

♪ ドクトクドクトク僕の顔
  ドクトクドクトク僕の顔
  ドォクトォクなんだよ僕のォ顔~


 念の為もう一度コンセントピックスの「顔」を。

♪ 顔が嫌い顔が嫌い あんたの顔が嫌いなだけ~

 もう、こうやって並べるだけで、竹中直人の<逃げ方>が如何に上手いかわかる。
 竹中直人は「良し悪し」や「好き嫌い」に持っていかず<ドクトク>=独特という表現を用いている。さらに<ドクトク>なのは<僕の顔>とターゲットを自分に向ける=自虐の方向に持っていってるのです。
 だから<顔>という危険きわまるテーマでありながら、素直に面白いと思える。
 コンセントピックス(とプロデューサー)には竹中直人の1/10も慎重さがなかったわけで、ま、幼稚な<過激>に翻弄された、というか。

 しかし別の見方をするなら、コンセントピックスの過激さはド新人らしい、というかある意味「若者らしい」と言えるのかもしれません。
 他人の顔にたいして攻撃性を発揮する、というのは典型的な幼稚な行為です。
 某巨大掲示板やそのまとめサイトなどは当たり前のように「ブス」だのと言った言葉が飛び交っていますが、彼らはそういうことをするのが<過激>で<カッコいいこと>であり<それが人間のホンネ>とも思っているフシがあり、間違ってもそうした行為が<幼稚>に見られる、なんて思ってはないと思う。
 某巨大掲示板の年齢層は実はかなり高いと言われていますが、もちろんこんなものは<人間のホンネ>でもなんでもない。ただただ幼稚なだけです。

 そもそも<顔>なんて、誰しもがイケメンや美人と思う人なんて、いない。それこそ某巨大掲示板では本田翼とか新垣結衣とかの人気が高いけど、アタシはまったく<好み>ではないし、絶世の美女とも愛くるしい顔立ちとも思わない。
 それはアタシが変わっているのかもしれない。でもみんな、絶対に<好み>があるのが当たり前で、美女とは言えない人と恋愛したり結婚したりするのは別に「妥協しているわけではない」のです。
 要は何に重きを置くかの違いで、それこそ巨乳好きもいれば貧乳好きもいる。ガリガリ好きもぽっちゃり好きもいる。それと同様に「恋愛対象においてまったく顔立ちを重要視していない」人もいる。
 それを「妥協」と言われちゃあ、いや言うのは勝手だけど、そんなことを強要されたら人類が滅びます。

 ここいらで結論に近づけますが、ここまで書いたことすべてを覆すみたいだけど、それでもアタシは基本的には「顔立ちが整っている方が有利であることには変わりがない」と思っています。
 しかしそれは、そっちの方が異性にモテる、というような<俗>な話じゃない。しかしこう書けば理解してもらいやすいと思うのですが「キチンとした身なりというか見た目の方が圧倒的に好感を持たれやすい」のは事実だと思うんです。
 それこそますだおかだ岡田のように、いくら三枚目キャラだとしても顔の造りは二枚目なのだから「ぱっと見の印象が良い」のには変わりがない。だから朝の番組がつとまる。それこそ麒麟川島なんかもそうだけど、朝の時間帯の番組はこの「ぱっと見の印象」はきわめて大事なのです。
 これはタレントだけではなくユーチューバーにも同じことが言える。人気ユーチューバーは軒並み「不快感を持たれづらい顔立ち」をしている。アタシの好きな福井のカズさんも顔立ちは二枚目なんですよ。いくらキャラは三枚目でも実は顔立ちが大きなアドバンテージになっているんです。
 もちろん「顔の造り」は「身なり」の一要因でしかありません。せっかく元の顔は悪くないのに髪型や服装がダメすぎて印象が良くない人なんかいくらでもいるし、その逆も然りです。
 それはPage1でも書いたように「実は顔のパターンなんかたいしてない」のだから顔の造り以外の箇所が大事なのは当たり前って話で。

 そう考えれば「努力次第で覆せる」レベルだとは言え、それでも「好印象」を与える要素に顔立ちが占めるウエイトはけして低くない。
 好印象ってのをナメちゃいけないよ。極端な話、生涯収入と好印象ってほぼ比例するから。マジで、才能とかいうあやふやなものよりも確実にね。

何というかね、あくまでアタシ個人が思ってることですが、自分の顔について多少レベルであれば自惚れてるくらいでちょうどいいと思っているのです。
というか過度な低評価なんて自分を下げてるだけでね、この顔じゃ、とか思っていたら、それこそオシャレさえ、したくなくなると思うんですよ。
たしかに今はこんなだけど、でも「磨けば光る」と思ってないと、人間としてどんどんダメになっていくような気がするしさ。




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