毎度どうも。小言幸兵衛ならぬ小言藪似兵衛、略して小籔です。ヤブの漢字が違うけど。
さて世の中には、というと大仰だけど、どんな狭いコミュニティにも「口やかましい」人はひとりやふたりはいるものです。
昔はね、そーゆー人を見ると、ウザいなぁ、と思ってたんだけど、どうにも困ったことに、言いたいことはわかるなァ、なんて思うようになっちゃってさ。
これはトシのせいなんだろうね。
たぶんね、自慢話ばかりする老害、と思われている人にも、本心は自慢をする気などさらさらなくて、わりと純粋な気持ちで「成功の秘訣」を授けているつもり、なんて人も結構いると思うんです。自分が若い頃に望んでいた成功譚を、気軽に話すことによって、より成功に近づいてもらいたい、という。ま、老婆心といえばそうなんだろうけど、悪意を持ってない場合も多いはずです。もちろん中には「俺はこんな凄かったんだ!」と言いたいだけの、幼稚な大人もいますけどね(2017年1月15日更新「自慢話と成功譚」)
成功譚なんて書くからややこしいんだけど、そんなレベルの高い話じゃなければアタシも似たようなことを思ったり、時には口に出したりもします。
いやね、本当は忠告めいたことなど、いくら心の中で思っても絶対に我慢するべきなんですよ。正直言った側も言われた側も誰も得しないから。
だけれども、そんなことは百も承知であっても口に出してしまうのは「強度のモヤモヤが残る」からなんですね。
モヤモヤなんていうアイマイモコとしたものに強も弱もあるかと思われるかもしれませんが、これがあるんですよ。
変な例えを出しましょう。
少しでも詳しい人なら「漫画少年」とか「新青年」といった雑誌が目ん玉が飛び出る金額で取り引されているのはご存知でしょうが、それが、今、まさに、目の前でシュレッダーにかけられようとしているのを目撃してしまった、という感じなのです。
当然その人は「漫画少年」やら「新青年」の価値を知らない。知らないから「こんな古雑誌」と処分しようとする。
これで「ちょっと待った!」と言いたくならない人間の方がどうかしてると思うんですね。
もしシュレッダーにかけられるのを阻止出来たとしましょう。ま、その後の行動は人による。
「お前、いいからこれ持って神保町に行け!」と言ってしまう人、上手いこと言って雑誌をせしめてしまおうとする人、シュレッダーは阻止するけど余計なことは言わずに、せいぜい「いいから持っておけ」くらいに留める人。もしかしたら他にもパターンがあるのかもしれないけど、自分が雑誌の価値がわかっていれば、とにもかくにもシュレッダーは阻止するってのは共通しているはずです。
アタシのような価値の薄いクソジジイが「ひと言言いたくなる」ってのは、これとまったく一緒なんですよ。
アンタが今からやろうとしていることって、アタシから見たら信じられないくらい<もったいない>ことなんだよ、と。もし他人から見てもったいないと理解した上で続けるなら止めやしない。でも、知らずにやってる、やろうとしているのなら、知っておいた方が得じゃないのかね、とね。
情強・情弱なんて言葉があるけど、もちろんこの場合の<情>とは情報を指します。
情報ってのは、必ずしもデータ的なことだけじゃないんです。データも重要なんだけど、同じくらい経験則も重要です。
世の中にあるすべてのデータを頭にインプットするなんて不可能なわけで、どうしてもデータの取捨選択は必要になります。この取捨選択を行う上で必要なのが経験則なんです。
データなんか軽視しろって話じゃない。しかしデータを重要視するならば、なおさら経験則を無視しちゃいけないんじゃないの?と。
データってのは数字だから口に出して語ってもしょうがないんです。となれば口にするのは経験則しかない。
しかも単純に「そっちの方が楽な道だよ」と示唆するためだけに経験則を口にしたくなる。思い入れがある人なら余計な苦労とかして欲しくないって考えるのは当然だもん。
アタシはね、某大塚家具の一連の騒動を見てると、それが透けて見えて悲しくなるんです。
おそらく娘の方が父親よりも圧倒的に膨大なデータを持ってたんだと思う。だからこそ実権争いで勝利することが出来た。
しかし悲しいかな、それらの膨大なデータは実戦であまり役に立たない。持ってるデータ量は少なくても父親は経験則から導き出した「より実戦で役立つ」データだけを持っていた。
プロ野球でもそうだけど、どれだけデータを握ってようが実戦で役に立たないデータなんか邪魔なだけなんです。人に自慢するためにいっぱいデータが欲しいってのなら勝手にすればいい。しかし「勝者」になるために経験則を無視してひたすらデータだけを集めているってのがね、ああ、何ちゅうもったいないことしてんねん、と思ってしまうわけで。
あの娘、学年で言えば向こうの方がひとつ上ですが、アタシと同年の生まれってことになる。だから気持ちはわかるんです。そりゃあ、このトシになったら、経験則だかなんだか知らないけど、余計な指図はされたくないよねって。ましてや相手が父親ならなおさらでしょう。ま、アタシも父親の方が無条件に正しいとは思わないけどね。
しかし経験則ってのは本当に馬鹿に出来ない。経験則があって初めて有益なデータを集められるし、データをフル活用出来る。
ま、お互い、頑張りましょうや。たぶん今後も何の接点もないだろうけど。