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かんさいじんのせんすはどくとくやさかい
FirstUPDATE2018.3.22
@Classic #さかい親子 #クリエイティブ #大阪 #会話劇 @戦前 #東宝 #デザイン 明石家さんま 全2ページ センス @唄へ河風 南海電車 今竹七郎 早川源一 阪神タイガース 阪神電鉄 グリコ森永事件 漫才 PostScript

ここからは誤解があったらアカンさかいな。ちゃんと説明するわ


いや、時間もないさかい、とっとと説明してや


子供に何の用事があるねん。まあええわ。えと、いつから大阪はダサいみたいなイメージがついたかってことやったな。よっしゃ、バッチリ答えるで!


うん!


答えは・・・、わからん!!


何やねん。それでも父親か。息子が期待して待ってたら『わからん』って。わかるやろ、長いこと生きてるねんから


長いこと生きてようがわからんことぐらいあるわいな。ま、わからんなりに答えるなら、ターニングポイントは1980年代にありそうな気はしてるねん


ほーん、その理由を聞かせてもらおやないか


偉そうにいいな。そうやなぁ、まず前も言うたけど、大阪のイメージが本格的に変わったんは1980年代くらいからやと思うねん


1980年代に何があってイメージが変わってもうたん?


ひとつは漫才ブームや。これは強烈やった。2時間とか3時間とかの番組で、ほとんど関西弁しか聞こえてこうへん全国ネットの番組なんか、それまでまったくなかったからな


というか、前に聞いたこととカブるかもしれんけど、それまで関西弁を売りにしてる芸人とかおらんかったん?


そんなことはないで。それこそエンタツ・アチャコから始まって、お父ちゃんのちょっと前の世代やったら藤田まことさんとかな。役者でも関西弁を武器にしてる人はナンボでもおった。森繁久彌とかもそうや


それやったら関西弁がもっと全国で浸透してたんちゃうん?


けど漫才ブームの前までは、あくまで関西弁は<武器のひとつ>やってん。関西弁<しか>喋れんのやのうて、いざとなったら関西弁<も>喋れる、いう感じで使い分けとったんや


使い分けってことは普通のトークでは関西弁は使わんかったってことか


たとえば『細雪』みたいな関西が舞台の作品では武器である関西弁を使う。一方普通の、普通言うたらおかしいけど、東京が舞台の作品やったら標準語を喋る、みたいな。芸人も漫才をやる時は関西弁やけど、何かに扮するとなったら標準語を使う、とかな


それが漫才ブームとやらから漫才とか関係なく芸人が関西弁を喋り出したってことなんか


特に大きかったんは明石家さんまや。あの人は今でも第一線で活躍してるけど、たぶんさんまからやと思う。普通のトークはもちろん、洒落た恋愛ドラマでさえ関西弁で押し通したんやから


すごいなぁ、さんま


あの人の影響力はハンパないで。今の、関西弁イコール明るくてエネルギッシュでオモロイ、みたいなイメージになったんは明石家さんまの影響がほぼすべてや


それまでは関西弁ってそういうイメージやなかったん?


違たな、確実に。その説明の前にもういっこ、関西弁のイメージを決定付ける事件があったんや


あ、わかった!阪神が日本一になったことやろ!そらみんなして道頓堀に飛び込んだりしたら、関西の人間はムチャクチャや、みたいなイメージになるんは当然やわ


ま、それも多少はあるねんけど、そうやないねん。1980年代の半ば、日本中を揺るがした大事件があってな


え?阪神の優勝以外に?


そうや。お前聞いたことあるかな。『グリコ森永事件』言うんがあってな。知らんか?


グリコとか森永って、あのお菓子の?


そう。お菓子に毒薬入れる。嫌やったらカネよこせ、みたいな事件があったんや


あ、そら、阪神の優勝よりオオゴトやわ


ま、詳しいことはWikipediaでも読んどき。問題は犯人の脅迫文や。これが関西弁で書かれてるねん


お菓子に毒入れたで!みたいな?んなアホな


いいやマジや。ホンマにそんな感じの脅迫文がグリコとか森永以外のマスコミにも送られてきたんや。『どくいりきけん。たべたらしぬで』とかな


うわっちゃ~!そらキツいな


おそらくこれくらいからや。異様なまでに関西弁イコール怖い、みたいなイメージになったんは


つまりは、さんまとその犯人で関西のイメージが変わってもたっちゅうことか


それまではそんな感じやなかった。昔から関西弁を喋る登場人物が出てくるドラマとか映画はあったけど、別にオモロイこと言うわけでも、怖い感じのキャラクターでもなかった。ほとんどは『のんびり、おっとりした』みたいなキャラやったからな


たぶんそれやわ。ぼくの周りにおる東京の人間の関西人のイメージのまんまやもん。四六時中オモロイこと言わなあかんとか、ヤーさんみたいな言葉で脅すとか、そういうの押し付けてきよるから。でも、もし、さんまとその犯人がおらんかったら・・・


たぶんお前も、そんなこと要求されんかったんちゃうかな。それまで関西弁とかただの方言に過ぎんかったんが、これ以降特別なニュアンスが出るようになってもた、いうか


けどそれって関西弁の問題であって、ファッションとかデザインとかは関係ないんちゃうん?たしかに関西のイメージは変わったかもしれんけど、そやから言うて一気に関西はダサいまでは行かんのちゃう?


それはそうやねんけど、関係ないかあるかで言うたら確実にある


どの辺が?


一番変わったんは関西人の意識の部分や


イシキ?


お前かて、さっきから散々ボケたがってるやろ。というか漫才めいたやりとりをしたがってる。違うか?


・・・まァ、たしかに、違うことはないけど・・・


これも前に言うたけど、関西というか大阪の人間はサービス精神旺盛やねん。求められたら、ついつい、やってしまう。東京の人間が「大阪の人って普段の会話も漫才みたいなんだろ?」と言われたらホンマに漫才みたいなやりとりをしてしまう。それくらいやったら罪はないけど、「大阪って東京に対抗意識持ってるんだろ?」と言われたら、ホンマに持ってまう


ああ


前も言うたように、別に大阪の人間は東京に対抗意識とかなかってん。共存共栄やないけど、どっちもお互いのええとこ取り入れて発展していったらよろしいやないか、くらいにしか思ってなかったと思う。ところが東京側から「大阪は独特の文化!もっと東京と張り合え!」と言われ出して、これで何となく東京のモノを取り入れ辛なったんちゃうかな


つまり大阪は独特の文化でないとアカンて大阪の人間が思い出した、ということ?


ええように言うたらノリがええ、その気になりやすい。悪く言うたら後先考えんと相手の押し付けを受け入れてしまう。そういう土壌はあった土地柄やとは思うけど、何か完全に裏目に出た、いうかな


ファッションもか?


たぶんやけど、最初は東京にないような、ちょっと変わった服はないんか、くらいの軽いノリやったと思うねん。それがどんどん捻じ曲がって派手でダサい方向に振り切ってもうたんやと思う


何ちゅうか、アホやなぁ。アホとしか言えんわ


そやから悪いんは誰か言うたら、これは大阪の人間やねん。どんなイメージ持たれようが、すんません、ウチらそういうんやないんです、で済ましといたら良かってん。それがサービス精神で合わせるうちにホンマにそうなってしもた、みたいな


突っぱねられへん弱み、みたいな感じか


そうそう。おそらくこれからも東京の人間は勝手なイメージをどんどん押し付けてくると思う。最初は「いや、ホンマは違うねんけどなぁ」みたいな感じでも、何年か経ったら「たしかにそういうのもおるけど」に変わって、最終的には「いや、ホンマかウソか言うたらホンマやけど」っちゅうことになると思う


ちょっと待って。お父ちゃんさっき『昔は関西人のイメージはおっとり』とかやったって言うてたよな


ああ、言うた


もしかしたらそれも『押し付けられたイメージ』ちゃうん?


そう思う。正直言うて東京も大阪も、人間性もセンスもそない変わるとは思えん。ただ唯一違うと思うんは東京モンは「イメージを押し付けるんが好き」、大阪モンは「押し付けられたイメージに嬉々として乗っかる」いうことくらいかなぁ。ま、この場合、前に言うたように<東京モン>言うても純粋な東京の人間やのうて、田舎からの移住者なんやろけど


それって、ある意味win-winやん


難しい言葉知ってんな。たしかにそうとも言えるねん。せやから大阪のイメージを変えるんはホンマに難しい。自発的には無理やから、極端に言うたら東京の人間の大阪へのイメージを変えるしかないわ


ほんならぼく、これからどうしたらええん?


ダサいのを求められることにたいしてか?そうやなぁ。たぶん無理に変えようとしてもアカンわ。乗っかりたがる人間がおる以上、ひとりで抵抗しても無駄や。ただ、大阪の人間から見たら東京の人間は単純やねん。関西弁を喋らんだけで「コイツら迎合してるな」と思いよるし、特別関西人のイメージを押し付けてこんようになるからな


そうなん?


もう亡くなりはったけど、お前かて田村正和は知ってるやろ。あの人京都の生まれやから普段はバリバリの関西弁やったらしい。でもそんなイメージないし、もちろん東京の人間も田村正和に関西のイメージを押し付けてようとせんかったやろ


ホンマ単純やな。それだけの話かいな


郷に入れば郷に従えやないけど、関西人である、とか関西弁を使える、いうことを前面に出すんやのうて、いざという時の武器として使う。つまり森繁久彌の頃まで立ち返るねん


わかった。だったらぼくもこれから標準語を話すようにするよ。それでいいね、パパ


順応性早いなぁ。かまへんけどパパは止めてくれ。サブイボ出てくるわ


嫌だなぁパパ。標準語ではサブイボではなくて『トリハダ』って言うんだよ


せやからワシと喋る時は関西弁でええっちゅうねん!


何やオラ、文句あるんか!!ケツの穴から手ェ突っ込んで奥歯ガタガタ言わしたろか!!・・・こんな感じで武器として使うんやろ?


これは教育やろなぁ
まァ、父はこのように申しておりますが、あくまでアタシ個人としては、大阪人はファッションを含めてかなり保守的だと思っておるのですよ。
ま、何でそう思うかはまたいつか書きます。




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