何も自分がプッツンしなくても
FirstUPDATE2017.12.5
@Scribble #Scribble2017 #芸能人 #1980年代 #違和感 単ページ 片岡鶴太郎 男女7人夏物語 男女7人秋物語 オレたちひょうきん族 モノマネ ストイック カッコ良さ カッコ悪さ 被虐 #明石家さんま #ビートたけし #兵庫 #2010年代 tumblr

こないだっつってもひと月以上前だけど「男女7人夏物語」のことを書きましたが(現注・ココ)、このドラマの出演者の中で一番変わっちゃったのが片岡鶴太郎である、という意見に異論がある人もいないでしょう。

えと2015年だったかな、TBSの明石家さんま司会の特番で「男女7人夏物語」のメンバーが全員集まる、みたいな企画をやっててね。今更「え!?離婚したさんまと大竹しのぶが一緒に出るの!?」なんて思うわけがない。近年になってからでも何度も同じフレームに映ってるし、むしろ一番新鮮味のない取り合わせですらありました。
それでもこの手の番組にはほとんど出ない池上季実子や、近年はリポーターとしてすらほとんどテレビに出ていない小川みどりまで登場して、同窓会的な雰囲気は十分に出ていました。

当然その中に鶴太郎もいた。いたことはいた。でもいただけ。とにかく喋らない。現場でどうだったかはわからないけど、オンエアに乗ったのはひと言くらいだったはずで、小川みどりや意外と積極的にさんまに絡んでいってた池上季実子よりも喋ってなかった。
この際、芸人という肩書きが「現」であるか「元」であるかはどうでもいい。少なくとも役者以外の何者でもない奥田瑛二や賀来千香子はどんどん喋っている。なのに場を盛り上げるどころか何も喋らない鶴太郎に猛烈な違和感を感じて当然でしょう。

もう今は芸人としては目立った活動をしてないわけで、まァたまにドラマで見ますが、今現在の鶴太郎のイメージといえばヨガでしょう。あとは熟年離婚か。もうちょっと前でいえばボクシングとかアーティスト活動(と書くと紛らわしいけど、音楽活動ではなく文字通りアート方面の活動ってことね)とか。
熟年離婚は置いておくとして、ヨガにしろボクシングにしろアーティスト活動にしろ、何だか妙にストイックな感じになってしまって、笑いとは一番程遠いところにいってしまった感じになっています。

しかしアタシの記憶の中にある鶴太郎は間違いなく「笑いの人」であり、彼の放ったギャグフレーズは今も脳裏に刻まれています。
元祖リアクション芸人と言われることもありますが(「ひょうきん族」のアツアツおでんネタとか
ね)、それより個人的に印象深いのはギャグフレーズの方で、「プッツン」「・・・ぞッと!」「ワタシ、女優よ!」「キューちゃん!」などはとくに印象深い。
これはまったく浸透しなかったギャグだけど、胸のあたりを触るとわりと素のトーンで「タイガーマスク」と言うのが面白く、ひっくり返って笑った記憶があります。

モノマネは似てないのが逆に売りになっており、似せる気すらなさそうな近藤真彦なんか代表例だけど、小森のおばちゃまは雰囲気だけ、坂上二郎に至っては顔だけ、という極端ぶり。でもそれがおかしった。
ドラマにかんしては、それこそ「男女7人夏物語」を見てもわかる通り、己の見栄えの悪さを活かして、徹底的にカッコ悪く、また徹底的に被虐的であることで、人間としてのカッコよさを抽出できる、という極めて希少な演技者でした。これは名優である渥美清ですら成し遂げられているとは言い難いことで、誇りに思っていい。

しかし、本当にいつからかはわからないけど、「ストレートなカッコよさ」を求める方向に行ってしまった気がする。体現する手段として、と言い切るのは良くないけど、一視聴者から見ればボクシングもアーティスト活動もヨガも、ストレートなカッコよさに寄せてるようにしか見えなかったのも事実です。
それに・・・、もう単純な話だけど、今の鶴太郎は何か顔つきが良くない。私生活がストイックなのは百歩譲っていいとして、それこそ先に挙げたような、さんま司会のバラエティですらオツに澄ましているのはどうなんでしょ。

それに比べると全盛期の鶴太郎は本当にいい顔をしています。
「男女7人秋物語 評判編」というバラエティでも、山下真司の発言にひっくり返って笑っている鶴太郎や、真面目な話をするにしても笑みを浮かべながら語る鶴太郎は実に良い表情をしている。
ちゃんと司会のさんまのサポートをしながら、何より鶴太郎自身が楽しんでるのがわかるのが嬉しい。

そういえば「ひょうきん族」のひょうきんスター誕生のコーナーだったかな。ひょうきん族のメンバーがコンビシャッフルをしたり、既存の有名な芸人の真似をする、みたいなコーナーだったんだけど、この中でゴーゴー三匹ってのが出てきて。もちろんレツゴー三匹のパロディです。
正児はラサール石井、長作をサブロー、じゅんをシローでやったんだけど、サブロー・シローはレツゴー三匹の直弟子だから細部まで似せており、本当に面白かった。

けど一番ウケてたのが審査員席で小森のおばちゃまに扮していた鶴太郎で、あまりにも笑いすぎて小森のおばちゃまに扮しているのを忘れて普通に感想を喋り始めてしまった。周りから「おばちゃま!おばちゃま!」と指摘されて、慌てて「おばちゃまはねぇ」と喋りだしたのが一層おかしく、もしかしたらアタシ的に「ひょうきん族」の中でも一番笑ったシーンかもしれない。

あの鶴太郎、帰ってこないかなぁ。本人的には「このまま笑いをやってもたけしさんやさんまさんに敵わない」という思いがあってドロップアウトしたみたいに語ってるみたいだけど、いや別にたけしやさんまに勝つ必要はないじゃん。テッペンを取らないと笑いをやっちゃいけないって決まりはないんだし、じゃあヨガやボクシングでテッペン取るなんてもっと無理っしょ。

少なくともアタシが鶴太郎に求めているのは「ストイックな男」などではなく、「男女7人夏物語」の大沢貞九郎であり、ひっくり返って笑って我を忘れる、あの愛すべき芸人・片岡鶴太郎なんです。







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