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デジタルガジェットノウワゴト
FirstUPDATE2017.3.15
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 yabuniramiJAPAN(現・やぶにら)を始めたごくごく初期に「デジタルガジェットノウワゴト」というカテゴリがありました。
 当時ハマっていたPDA(今のスマホの前身のような存在)について書こうと思って始めたのですが、たいして知識がなかったこともあり、2004年3月5日のエントリを最後にカテゴリを廃止した。
 結局<思い>だけでは続けることは出来ないってことなのですが、知識が薄いにもかかわらず、それでもやろうとした当時の気概を汲み取って、こんなタイトルにしたわけで。
 
 あれは2001年のことでした。
 正確な時期ははっきりしないし、どこで情報を得たのか「インターネットで」以上の記憶もないんだけど、偶然「ポケットポストペットなる機器が投げ売りされている」をいう情報を知ることになります。
 ってまずポストペット自体の説明が必要か。
 1990年代の末と言うと、ようやくインターネットってものが世間に認知され出した頃ですが、そんなインターネット黎明期に奇妙なメールソフトが大ヒット、は言い過ぎだけど、当時のインターネット人口を考えればかなりのブームだった、くらいは言えると思う。
 そのメールソフトってのがポストペットってヤツでして、残念ながらアタシはまだインターネットをやってなかったので使ったことがない。だからよくは知らないんだけど、とにかくモモというクマをモチーフにしたキャラクターがメールを運んでくれる、みたいな体のソフトでした。
 今思えば何でそこまで流行ったのかよくわからない。たぶんモモの可愛さが女性中心にウケたんだろうね。他に流行った理由が思いつかないし。
 
 これに目をつけたのがNTTドコモで、何と外出先でもポストペットが使える「ポケットポストペット」なるマシンを販売します。ケータイと接続してポストペットを介したメールとかブラウジングができたりするっつー。調べたら定価35,800円。筐体デザインも完璧に女性(というか女子高生あたり)をターゲットにしたものですが、そのわりに高いですね。
 時代を考えても「子供のオモチャ」でしかないにもかかわらず高価で、これでは売れなかったのも当然ですわな。
 結果、巷に在庫が溢れ、やがて投げ売り状態になっていました。正確にいくらだったかは憶えてないけど、たしか5,000円以下だった記憶がある。
 それでも普通なら、というかアタシはポストペットなんかしないので、いくら投げ売りでもこんなもんに興味は示さない。
 
 しかし実は「大人のオモチャ」になるような、良くいえば「隠し機能」、悪くいえば「ハッキング」ができたのです。
 ポストペットやブラウザといった内蔵ソフトはOSの上に乗っかっていました。しかし通常の使い方ではOSは剥き出しにはならない。ま、今で言えば実はAndroidがOSのスマホでありながらスマホっぽさを隠したガラスマみたいなもんです。
 ところが有志が「OSが剥き出しになる手法」を見つけた。OSが剥き出しになる=自分でソフトウェアをインストールできる、ということなので、一部のマニアからポケットポストペットに注目が集まることになったのです。しかも投げ売り状態で、非常に安価に手に入る。
 ・・・てな情報を入手したアタシも「ま、5,000円以内だったら買うのもアリだな」と思えてきた。
 ただアタシがこの情報を入手したのはかなり遅れてからで、すでに投げ売りポケットポストペットはマニアが買い占め、なかなか入手できる状態になかったのです。
 
 しかしこれでアタシの「新し物好き」に火がついた。
 ポケットポストペット自体は諦めるにしても、これ一台で「ネットもできる」「音楽も聴ける」「エミュ(!!!)もできる」、もしポケットポストペットを手に入れていたらこんなことをやりたい、という妄想は膨らんでおり、ならばこれらのことができる代わりのモバイル機器が欲しい、となったのです。
 それからいろいろ勉強っつーか調べてみたのですが、日本に限らず世界的に主流のPDA用OSはPalmだとわかった。
 しかしPalmはかなりビジネスに特化したOSで、アタシがポケットポストペットで妄想した「遊び」はかなり弱い、らしかった。しかもカラー液晶を搭載したポケットポストペットとは違い、ほとんどの機種がモノクロ液晶で(ま、ビジネス向けなんだから当たり前)、Palmではアタシが望んでいたことはできない(できるやつもあったと思うけど高かった)、となって候補から外れた。
 
 この頃、正確には少し前からですが、巨人マイクロソフトもPDA用OS市場を虎視眈々と狙っており、Windowsとある程度互換性を保たせた(といってもファイル形式くらいで、ソフトウェアの互換性はないけど)PalmsizePCというOSを開発していました。
 正確にいえばPalmsizePCというのはOS名ではなく規格名で、OSとして正しくはWindowsCEです。
 このWindowsCE、カラー表示も圧縮音源の再生も動画再生もサポートする、という、かなりエンターテイメント寄りのOSでね。ちなみに先のポケットポストペットはWindowsCEが採用されていたんですね。
 
 PalmsizePCというのはPalmのように手のひらで操作する、キーボードが内蔵されていない機種向けの、まァ名称からしてあからさまにPalmを意識した規格ですが、イマイチ上手くいかなかったようで、名称もPalmsizePC→PocketPCと改めて再出発します。
 2001年頃には各社からPocketPCを搭載したPDAが発売されており、Palmを凌駕するほどではないものの、それなりに売れていました。
 国内のメーカーでいえば、ソニーはPalmOSを採用したPDA(「クリエ」シリーズ)を発売していましたが、その他のメーカーはPocketPCを採用し、とくにカシオ、東芝といったあたりは熱心で、数機種を発売しています。
 他にもCompaqやhpなど海外メーカーも日本向けPDAを販売しており、かつてのマイコンや一時期のAndroidほどではないにしろ、それなりに百花繚乱の気配はあったんです。
 
 NTTドコモはポケットポストペットに続いてPocketPCにも参入してきた。機種名は「G-FORT」。カシオが開発したため「E700」というカシオブランドの機種に近しい仕様でしたが、見た目は大幅に違い、E700が「軽くて薄い」(あくまで当時基準で、です)ものならばG-FORTは「重くてゴツい」ものでした。
 これはいわゆるタフネスケータイのPDA版で、何だってそこまでタフネスさが必要なのか理解に苦しむのですが、これも案の定あんまり売れなかった。
 そして売れない→投げ売り価格で販売、とポケットポストペットと同じ道を辿ることになってしまうわけで。
 
 余談ですがこの頃のドコモはつくづく「懲りない」会社で、シグマリオンやミューゼといったモバイル機器を販売、そして売れずに投げ売りをしつこく繰り返しています。
 そこまでPDAやモバイル端末に力を入れていたのにスマホにかんしては一番遅れをとったってのがよくわからない。iモードの呪縛か、それともPDAが売れなかったことからのトラウマなのか。
 だけれども、ドコモがせっせと種を蒔いていたのは事実で、だからこそ日本にもPDAにマニアがつく、といったことになったとは思うんだけどね。
 
 それはともかく、ポケットポストペットが買えなかったアタシは、同じく投げ売りになっていたG-FORTをまるでポケットポストペットの復讐戦かの如く捉えるようになっていきます。
 実際はほぼ同じ性能のE700なんかとも迷ったんだけど、とにかく値段的にね。G-FORTの方が安いと。
 これは上手く説明出来ないけど、まったく未知の製品を購入する時ってのは怖いものでして、やっぱぜんぜん使わなくなる可能性もあるわけですよ。
 だからまずはなるべく値段の安い、かといって極端に古すぎるのは避けてね。それじゃ結局今のPDAってのがどういうものかわからないから。
 
 そうなってくるとG-FORTは実にいい選択で、発売されてからそこまで時間が経っていないから特別古びたってこともなく、しかも安価で入手できる。
 もう詳しくは忘れたけど、たしか2001年の初冬に、新宿南口の近くにあったさくらやのモバイル館みたいなところでG-FORTを買った。値段は19,800円だったと思う。まれに9,980円で出回っているらしかったけど(キュキュッパッ!っていう下品なAAが懐かしい)、待てなかった。ま、これくらいならいいや、と。
 
 んで実際に買ったG-FORTの話です。
 はっきりいって取り立てて良い部分はなかった。いくらファーストPDAだからといっても満足できたかといえば、違う。
 それでもPDAの基本的な使い方、いやPDAの使い方っつーかPocketPCの流儀ですね、は全部G-FORTで学んだ、といっても過言ではありません。
 一応エミュもやったし、とくに活用したのはMP3プレーヤーとして。2001年年末の渋谷を、G-FORTで音楽を聴きながらひとりでブラブラしていたのを今でも思い出します。何しろ初めてのシリコンオーディオだったからね。
 他は何といっても2ちゃんねるブラウザ。当時PocketPC用にhikkyという2ちゃんねるブラウザがあってね。アタシはそれまでほとんど2ちゃんねるは見ない人間だったんだけど、このソフトを入れてからはドハマりしてしまった。何しろ2ちゃんねるとモバイルの相性がメチャクチャ良い。つか今でもだけど、2ちゃんねる(今は5ちゃんねる、か)なんてパソコンで見るもんじゃないですよ。
 
 話が逸れてしまった。
 一方、不満はいくらでもあった。もう買う前からわかっていたことだけど、とにかく重い。ちょっと操作しただけで手が疲れる重さ。何しろ300gもあるんだから、そりゃあ、重いわな。
 他はバッテリーの保ちの悪さ、カーソルキーの使い勝手の悪さなど、使えば使うほど文句が出てきたのも事実です。
 ま、はじめからG-FORTにかんしては実験というか「お試し」のニュアンスが強い感じでの購入だったのですが、PDAっつーモンが無限の可能性を秘めているとわかったアタシは、いよいよ本命というか実用に耐えうるPDA購入の検討に入ります。実用ったって遊びの話だけど。
 G-FORTでの不満点を考慮し、以下の点をとくに注意して購入機種の検討に入りました。
 
 ・なるべくバッテリーが保つ
 ・カーソルキーが使いやすい
 ・CF(コンパクトフラッシュ)スロットがある
 
 この3つは必須といえた。
 まだ当時はモバイルバッテリーなんかない時代だったので、基本的に外出先での充電は不可能でした。だからとにかくバッテリーの保ちは最優先事項でした。
 カーソルキーは意外と難儀でね。
 PocketPCはタッチ操作もできましたが感圧式という方式で、スタイラスがないとまともな操作ができない。ま、爪でも代用できるけど、細かい操作は無理で、なるべくタッチはしたくなかった。
 だからカーソルキーの出来不出来は重要なのですが、当時の機種の大半が何故か5WAYカーソルというものを採用しており、つまり方向キーと決定キーがひとつにまとめられている。
 店頭でいろんな機種を触りましたが、この5WAYキーってのがアタシ的に非常に使いづらい。これは避けたいな、と。
 CFが挿せるってのはこの当時なら当然で、通信はすべてCF経由で行っていたからです。CFカード型無線LANとかCFカード型PHSとかね。何しろまだ通信環境が内蔵されてない時代だったもんで。
 
 てなことを考慮し、検討に検討を重ねた末、アタシはひとつの機種に目をつけます。
 アタシが目をつけた機種、それは、Page2に続く。







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