面白いと好きは全然関係ない
FirstUPDATE2015.6.29
@Scribble #Scribble2015 #映画 #東宝 単ページ こんにちは赤ちゃん 好き嫌い

アタシは「CrazyBeats」なんていうクレージーキャッツのファンサイトをやってるくらい(絶賛放置中だけど)クレージーキャッツに淫してるわけですが、ここで誤解なきように説明しなきゃいけないような気がして。

いわゆる東宝クレージー映画といわれるシリーズね、この中で個人的にナンバーワンだと思う「ニッポン無責任野郎」は、まあ別にして、あとは、基本的にたいして面白いなんて思っちゃいない。「クレージー大作戦」にしろ「日本一の裏切り男」にしろ、つまらなくはないし、シリーズ内で比較したら(つまり相対的にみれば)面白い作品だ、くらいの評価です。
でもね、生涯のベストテンに入るかといえば、全然入らないですよ。

最近は特に戦前の日本映画を観まくってますが、この中にもベストテンに入るような作品はない。たとえば青春恋愛劇の快作といわれている「婚約三羽烏」とか今の目で見ると、かったるくて観てられない。まァでもこれなんかは「トレンディドラマの原点」としての価値があるからマシな方なんだよね。
もっと酷い、ワーストに入れてもいいんじゃないかと思ってしまう作品もいっぱいあるから。

そんなね、東宝クレージー映画とか戦前の邦画とか限定しなければ、世の中には面白い映画が山のようにあるもん。ここではあんまり洋画のことは書いてないけど、やっぱり本当に面白い映画は洋画が多い。
邦画でも、それこそ黒澤明の「七人の侍」なんかは文句なしにベストテンに入るけど、東宝クレージー映画でランキングに入るのは、先ほどナンバーワンとして名前を挙げた「ニッポン無責任野郎」がかろうじて10位に入るかどうか、くらいです。

こうなってくると、クレージー映画にしろ戦前の邦画にしろ観る前の期待値は著しく低い。いやもう、はっきりいえば観る前の時点でかったるい。どうせつまんないんでしょ?わかってるんだよ、と。
それでも「未見だけど、これ、絶対面白いんだろうな」みたいな映画を押しのけて、これらの映画を観たりしてる。
そういえば「こんにちは赤ちゃん」という映画について、こんな風に書いたことがあります。

「今までで一番おもしろかった映画は?」ときかれても、けしてこの作品の名前はださないけれど、「人生を変えた映画は?」ときかれたら、もうこれしかないわけです。アタシの場合。(2003年11月17日更新「「こんにちは赤ちゃん」の衝撃」


面白い、と、好き、は違うのです。「こんにちは赤ちゃん」みたいなプログラムピクチュアが、世界的に名高い「七人の侍」より好きだったりする。
面白さだけでいえば、もうそりゃ「七人の侍」が圧倒的ですよ。でも「好き」ってのは、そういうのを超越したものなのです。

これは映画に限ることじゃない。
友人に「あなた、ダウンタウンはもっと売れていいはずだっていってたよね?」と言われたことがあります。
説明がいりますが、このサイトをご覧の方ならお分かりの通り、本来ダウンタウンみたいなタイプの笑いの方向性の芸人は、あんまり興味がないはずなんです。
しかしダウンタウンは、少なくともその全盛時においては、アタシを圧倒した。それくらい面白かった。
本来好きじゃないタイプにもかかわらず、ここまで面白いってことは、それこそとてつもない能力があるはずで、だったら世間の評価はアタシよりさらに上でないといけない。
だからもっと売れてもいい、と感じたのです。

面白いか面白くないかの判断は、いわば客観なんですよ。好きか嫌いかは当然主観です。
主観と客観なら、自分の中では主観の方が強いのは当たり前だし、でも他人に説明するとなると客観が必要になる。
どうしても若い時は、好き→面白い(嫌い→面白くない、も同じ)、となってしまいがちです。でもそれは主観の押し付けに他ならない。

これは逆にいえば、面白いんだけどあんまり好きじゃない、なんてことも出てくるはずなんですが、でもそれを認められないんですよね。
アタシは面白いと好きが違うってわかってる人は信用できる。何故ならキチンと客観と主観の区別が出来てる証拠だから。
昔からそうですが、アタシはごく一部の例外を除いて、嫌いな作品や人物は、いくら面白くあっても取り上げようとも思わない。
面白さに関しては、ウソを書くためのサイトじゃないので時に糞味噌に言ったりしますが、好きだからその作品を観て、好きだから面白い面白くないを書ける。

いや、所詮ここは個人サイトなんだから、取り上げる題材は主観、評価は客観、くらいでいいと思うんですがね。







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