iOS8の安心感
FirstUPDATE2014.6.8
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WWDCのライブ中継をずっと見てたのですが、ああこれは一般ユーザーには評判が悪いだろなぁってのは容易に想像がつきました。

たぶん日本のユーザーが食いつきそうなのなIMEが変更できるってくらいだろうし。
しかしアタシは安心しました。つかiOS8を見て「iPhoneのAndroid化」とかいっちゃう人はたぶん物事の本質が見えていないんじゃないかと。
だってAndroidも「アップルが思いもよらない機能を実装していた」わけじゃないからね。ただ単に優先順位が違っただけ。Googleだって別にアップルが真似したとは思ってないですよ。
さてアタシは昔、スティーブ・ジョブズ追悼の意味を込めてこんなことを書きました。

ジョブズは「魔法」という言葉にものすごくこだわっていたんじゃないでしょうか。「まるで魔法のようだ」が最高の褒め言葉だったんじゃないかと。むろん本当の魔法じゃない。今ある技術をもってして、いかに魔法のように見せるか、それに命をかけていた気がします。(中略)ジョブズ亡き後のAppleがどうなるかの話題は尽きませんが、新たなカテゴリの商品を創る際、Appleの幹部に「それはまるで魔法に見えるのか」を基準にすれば大丈夫な気がします。(2011年10月30日更新「魔法使いのいない世界」

ま、魔法のように見せるためには具体的なビジョンも必要なわけで、今回のWWDCでアップルは「シームレス」と「無意識」という方向性をはっきりと提示してきました。
いやね、ソフトウェア的な高機能化なんか、いくらでもできるのですよ。問題は高機能化の方向性とセキュリティです。ここを見誤るとWindowsMobileの二の舞になる。つまり建て増すだけ建て増して、統一感も使い易さも安全性もへったくれもないみたいになってしまいます。
「シームレス」でいえばiOS端末とMacの連携が完璧に、そして簡単にできるようになった。いわれてみれば、逆になんで今までできなかったっつーか、やらなかったんだ、みたいな機能です。

そしてもうひとつの「無意識」ってのが凄い。iOS端末ユーザーにたいして、iPhoneなりiPadなりを「何も考えずに使える」「何の修練もせずに使える」ってことをさらに明確にしてきたのです。
一番それを感じたのが写真アプリの編集機能で、コントラストとか輝度を一切意識せずに「(最小限の破綻でパッと見)写真を明るくできる」機能をつけてきた。
パソコンの場合はもうゼロか100なんです。何かやろうと思っても、それなりの修練がないとまったく何もできないし、逆に修練さえ積めば100%思った通りのことができる。(さっきの「写真を明るくする」でいえば、Photoshopを使えば完璧に思った通りにできる。でも逆にいえば、誰でも簡単に「完璧に」できたら、アタシらおマンマ食い上げだよ)

実はAndroidもそういう思想は残っている。なんだかんだといってアタシもAndroid端末を3台も持ってますからね。ものすごいヤル気になって、試行錯誤を重ねれば、ほぼやりたいことができるようになる。実はアップルが開発するもうひとつの主力OS、OSXも同じです。
でもiOS、特に8はまったく違うアプローチをしている。
100%思い通りになるかといえば、ならない。でも何の修練を積まなくても、誰でも簡単に80%のことはできる。んでちょっと頑張れば85%のことまでできる。
でもどれだけ頑張ろうが修練を積もうが100%のことはできない、という。

たぶんiPhoneユーザーを「情弱」と本気で思い込む層はこの辺のことが全然わかっていない。たかだか電話機如きに修練など積んでられない、そんなことするくらいなら仕事なり趣味なりに時間を割くよ、みたいな層をターゲットにしている。でも手間がかからない範疇で、しかも安全に使えるのでさえあれば、そりゃもっといい感じに使えればいいよね、みたいな。
だから、アップル側からすれば「便利ってのは意識させても(そこは意識させないと売れない)、凄いを意識させない」、ユーザー側からすれば「便利だけど無意識に使ってられる」のが一番望ましい。
WindowsもAndroidも、そしてMacもその辺は全然違うよね。セキュリティから使い勝手から何から何まで全部「意識的」にやらないと使いこなせないんだから。

魔法ってね、使う側は無意識でなきゃいけないんです。裏ではどれだけ凄いことやってようが関係なくね。
アップルはちゃんとそこがわかってると確信できた。だから安心したのですよ、アタシはね。







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