「マネーボール」はブラピが素晴らしい
FirstUPDATE2012.2.7
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「マネーボール」を観ました。お、何かyabuniramiJAPANぽいぞ。

ま、改めて書くことじゃないんですが、アタシは大の野球好きです。しかし面白い野球映画に出くわしたためしがない。
たとえば「フィールド・オブ・ドリームス」なんかは野球映画の名作といわれていますが、もうひとつピンとこなかった。一般にはラストのキャッチボールのシーンがいいといわれていますが、それよりもとうもろこし畑からかつての名選手が現れるシーンの方がゾクゾクしました。
この映画を観たのが、ちょうど敬愛する阪神タイガースの暗黒時代でして、かつての名選手が再び現れてボロボロのチームを救ってくれたら、と思うと涙がでてきましたが、それは映画とはあまり関係ないことで。
邦画で野球映画の名作といわれているのは「男ありて」ですが、この映画に関しては昔に書いたことがあります。

部分的に光る場面はあるんだけど、どうしても納得できないところがあって、点数を下げざるを得ないという感じですか。(中略)物語の中盤まで、主役で監督役の志村喬に感情移入されては困るわけで、観客が感情移入すべきキャラクターは、家庭でも職場でも志村喬と関わりを持つ、藤木悠でなければならない。なのに藤木悠のキャラクターが全然わからないんです。(中略)演出もシナリオも大筋は悪くない。お好み焼き屋で復帰が決まった志村喬が手帳を開いてチームのスケジュールを確認するシーンとかもよかったし。だからねぇ、もう本当に惜しい作品というか。ちょっとの差で佳作にもなってない。本当にちょっとの差なんだけどね。(2004年1月13日更新「18.44メートルの壁」より)


ひとことでいえば芳しい作品ではなかった、ということになります。

さて「マネーボール」ですが、この映画の主人公のモデルになったビリー・ビーンはセイバーメトリクス理論を大々的に導入した人物として知られ、要は資金のない球団が豊富な資金を有する球団にどうやったら勝てるか、という理論なのですが、セイバーメトリクス自体賛否両論あり、たとえば攻撃面でいえば「バントや盗塁は御法度、打率や長打力もどうでもいい。とにかく出塁率を重視する」といったもので、野球のもつ爽快感を殺してでも勝つということに拘った理論なので賛否両論があって当たり前なのです。日本では現在オリックスの監督を務める岡田彰布がセイバーメトリクスぽい野球をやることで知られています。

映画そのものに目を転じると、何しろ実話ベースなので煮え切らない部分もある。アタシがイマイチだと思った「ソーシャル・ネットワーク」に似た「現在進行形ゆえの煮え切らない結末」なのは間違いないのです。(製作と脚本家にひとりずつ「ソーシャル・ネットワーク」のスタッフが参加しているし)
が、それでも面白く感じたのは、ブラッド・ピットの予想外の好演によるもので、正直彼の家族の話は蛇足なのですが、全体的に地味な題材をブラッド・ピットが華やかに演じてくれるので、映画がカラフルなものになっているんですね。
特に電話をかけまくって、カマをかけながらトレードを成立させるシーンはブラピの華がなければ成立しなかったでしょう。
こういうのがハリウッド映画の巧さで、ジョナ・ヒル演じるオタク気味の片腕との対照で両者が光っているのです。

絶対面白い、というおすすめはしませんが、野球好き、そしてセイバーメトリクスという言葉に引っかかる方ならDVDででも観る価値はあると思います。逆に野球に興味がない人は止めておいた方が無難です。というか観るとこないと思うしね。

マネーボールと言えばアスレチックスですが、まさか藤浪晋太郎がアスレチックスに行くことになるとはね。
というか個人的にはセイバーメトリクスは過大評価されすぎたと思う。あれって結局は「貧乏球団が「まともな勝負になるように」練った策」=シーズンで最低限の勝率を確保するための術であって、こんなのを推し進めると野球がつまらなくなるに決まってる。
つまりこれは「断トツ最下位にならないための方策」であってね、優勝するためのモンではないんですよ。つか優勝出来る戦力があるチームまでこんなこと始めたからメジャー人気が落ちたと思うしさ。




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