はい、令和から罷り出ましたが、このエントリ、本来は前後編として書いたものなのですが合体させた形でScribble化しております。
そこまで時代が出てるつてほどでもないし、連作はオミットっていう基本ルールに従うなら外しても良かったんだけど、今後ね、ちょっと、残しておいた方がいいかな、みたいなエントリをやる予定なんで。
そんな感じで、どうぞですぅ。
映画監督の野村芳太郎氏が逝去されたようです。先日の岡本喜八氏といい、アタシが一番好きな時代の邦画を支えた名匠が次々と・・・。悲しいというより何か苦しくなります。
さて、今から3、4ヶ月前でしたでしょうか(現注・たしか2005年の1月くらいだったと思う)。某雑誌で某若手芸人(かわいそうなんで名前は伏せます/現注・今後のために書いておきますが、ま、ズバリ言えば「キングコング」、というか西野亮廣です)が「僕たちは新しい笑いをやってるんで」みたいなことをいってて、立ち読みしながら思わず耳たぶが赤くなっちまいました。
新しい笑いか・・・・。なんだか懐かしい香りのする言葉です。今から15~18年前、時代は新しい笑いブームでして、次々と新しい笑いと称する演者が登場しました。
当時新しい笑いといわれていたものは、ほぼ以下の5通りに分類できます。
・Aタイプ=わかりにくい笑い
・Bタイプ=危険な笑い
・Cタイプ=目線をズラした笑い
・Dタイプ=徹底的にナンセンスな笑い
・Eタイプ=楽屋オチ、内輪ウケの笑い
細かく見ていきましょう。
まずAタイプですが、一般にはシュールと形容されるような、笑いどころの難しい、考えオチの笑いです。
このタイプの代表は、ラジカル・ガジベリビンバ・システムや、漫画でいうなら「じみへん」あたりといえばわかっていただけるでしょうか。
Bタイプは、要するに障害者ネタや差別ネタといった具合に、社会的弱者を侮蔑したような笑いです。
このタイプの代表といえば、なんといっても大川興業になるでしょう。
Cタイプは平凡で日常的なことでも、目線をズラすことによって新しい発見を楽しむという笑いです。
これはもちろん代表はダウンタウンで、渡辺佑編集長時代の雑誌「宝島」の読者投稿ページ「VOW」もこれにあたります。(現注・VOWにかんしてはココにやや詳しめに書いてます)
Dタイプは、多少の下品さはいとわず、とにかくくだらなさを押しまくる笑いです。
代表はワハハ本舗や、さきの「宝島」誌上で活躍したカーツ佐藤のコラムがあげられます。
最後のEタイプ、これはとくに説明不要でしょう。代表は当然とんねるずになります。
大雑把にそのタイプの代表するものを紹介しましたが、「純粋Aタイプ」や「純粋Bタイプ」というように、もう完全にそれだけなのは珍しく、たとえばダウンタウンは基本CタイプながらもAタイプの要素がありますし、とんねるずならDタイプの要素をも持っています。
そもそもの話になりますが、この当時、これらの笑いが「新しい笑い」扱いされていたのは事実ですし、今でもほとんど変わりないんじゃないかと思います。しかしこれらの笑いが、本当に新しい笑いだったかというと、かなり怪しい。
あまり昔の笑いやコメディを知らない人は、ぜひマルクス兄弟やモンティパイソンのビデオを一度ご覧になってください。AタイプやDタイプの笑いがかなり詰まっています。
とくにマルクス兄弟に関して云えば、彼らの主演第一作映画である「ココナッツ」が公開されたのは1929年、昭和でいえば4年という時期ですから恐れ入ります。
Bタイプの場合、具体例をあげるのは難しいのですが、戦後の一時期に活躍したトニー谷などはある種の差別意識に満ちた芸人であったのは確実で(実際に見てないんでエラそうにはいえないけど)、そもそも昔の喜劇の方が差別的感情を利用した笑いが多かったといわれ、それを考えればBタイプは、新しい笑いどころか、むしろ「古い笑い」といってしまってもいいのではないでしょうか。
Cタイプは意外にも落語界で人材がおり、古今亭志ん生などは間違いなくこの手の優秀な人材であったと思います。
Eタイプはいかにもテレビ時代のもののようですが、第一作が1942年に封切られたパラマウント制作の、ビング・クロスビー、ボブ・ホープ主演の「珍道中」シリーズは映画であるにもかかわらず楽屋オチの宝庫です。
いかがでしょうか。「新しい笑い」などと息巻いてみても、おそろしく昔からおなじような発想でやってた人がそれこそ山ほどいたことがわかるでしょう。
さてさて、タイプ分けはしたものの、すべての演者が「自分は新しい笑いをやっているんだ」という意識だったとは限りませんし、もしかしたらマスコミのそうした扱いに困惑していたのかもしれません。
また仲間内や有識者から見ればまったく違った意見もあるはずです。たとえば以前書きましたが、B&Bは仲間内から新しい笑いと目されていたようですし、クレージーキャッツやコント55号、そしてとんねるずもそういう感覚でみられていたのではないでしょうか。
うーん、書いてて自分でもよくわからんな。てかますます新しい笑いってのがわからなくなってきた。
ちょっと落ち着きます。んでもっと大前提のところまで話を戻してみます。
つまりアタシが生涯の中で一番笑ったって、いったい何なんだろうかを考えてみようかと。もしかしたらそこにヒントがあるかもしれません。
アタシが一番笑ったこと。身内での馬鹿話を除けば、「ヤマログ」なんじゃないかね、実は。
そしてヤマログと聞いてピンときた人にいいたい。「アンタもそうとうポゲムタですね」と。
かつてアスキー(現注・KADOKAWA)から「ログイン」という実にアカデミックな雑誌が発行されていました。今も同名の雑誌がありますが(現注・2008年休刊)まったく別物といってもよく、「週刊ファミ通」にかすかにそのニオイを残しているぐらいです。(といってもクオリティはグッと落ちるけど)
1980年代の「ログイン」誌は宝箱のような存在でした。サイエンスからゲームまで未来を夢みる青少年にビンビン刺激を与えるような雑誌で、ゲームといっても日本では一部のマニアしかその存在を知らなかったRPG(それも海外製)を何ページにもわたって紹介する、といった具合でした。
その当時のログイン誌に「ヤマログ」というコーナーがありました。いわゆる<馬鹿記事>というやつで、ずっとのちにヤマログをはじめとする馬鹿記事を網羅した「バカ記事大全」というムック本まで出されたほどです。
読んだことのない人にヤマログの空気を伝えるのは非常に難しいのですが、無理矢理たとえるなら深夜ラジオのノリが一番近いのでしょうか。「三宅裕司のヤングパラダイス」とか。
しかし・・・ちょっと違うなぁ。
さきほどもいった通り、当時のログインにはなんともいえないアカデミックな雰囲気があり、馬鹿記事といえどもほのかにアカデミックな香りがあったのは事実です。アタシは「ビックリハウス」からはやや世代がズレているのですが、少なくともアカデミックさにおいてはヤマログの方が上ではないでしょうか。
「ビックリハウス」とも違う、深夜ラジオとも違うとするなら、テレビや映画になかったタイプの笑いなのは明白で、前回のタイプのどれにも当てはまらない(<Eタイプ=楽屋オチ、内輪ウケの笑い>や<Dタイプ=徹底的にナンセンスな笑い>は近いっぽいけど、違うんですよこれが)。
するとこれがアタシが答えを探していた<新しい笑い>だったのか!?
なんか納得いかんぞ。いくらヤマログで毎回毎回腹が痛くなるほど笑わされてきたといえど。
たまーにやらかしてしまう「まったく共通点のなさそうなふたつのジャンルの共通点を無理に見いだしてテーマにする」ってネタですが、さすがにわかりづらすぎるっつーか不親切すぎるので、Scribbleとしては破格の待遇の「新規画像モリモリ」で仕上げました。これだけやるんだったら8bitBEATSのエントリ扱いでも良かったんだけど、それをするには<笑い>ネタが長すぎる。 だからね、こういうネタはあんまりやるべきじゃないんですよ。自分ではたいした発見だ!と思って喜々として書いてもターゲットが不明なネタとか後々困るだけなんだから。 |
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