関西ローカルのタレントで井上智栄子という人がいます。なんでも笑福亭鶴瓶がロケ中に見出したとかで、その関係か松竹芸能に所属しています。(現注・井上智栄子はのちに引退)
この人のレギュラーでアタシが存じているのは、その鶴瓶がパーソナリティをつとめる「ヤンタン・すわるラジオ」(MBSラジオ)しかないはずです。「おはようコール」(ABC)という早朝のテレビ番組にもでてましたが、3月いっぱいで降板しています。
どんなマイナーなタレントでさえエサにする2ちゃんねるでさえ、ほとんど話題にならないほどのマイナーなタレントなのですが、なぜかアタシはものすごく気になっているんですね。
マイナーなのは明確な理由があります。まず原稿読みがおそろしくヘタです。一年間「おはようコール」でコーナーを任されていましたが、びっくりするほどうまくならなかった。しかもあの鶴瓶師匠があきれかえるほど無知です。
(寝不足だと乳首の色が濃くなる、なんてとんでもないことをいいだすし、「おはようコール」(念を押しますが早朝番組です)で「わたしもブチュー!としたいんですけどね」とか他の出演者が驚くようなことを平気でいうんだから)
そしてこれは決定的な要因だと思うのですが、彼女はいわゆる<ぶさかわ(いい)>というルックスなのですが、どう考えても<かわ>より<ぶさ>が勝ってしまっている。
でもですね、それでもいいと思うんですよ。<ぶさ>でも<ヘタ>でも<無知>でもかまわない。それを売りにすればいいんだから。
さて、いくらアタシ的に好みだとはいえ、こんなマイナーなタレントを取り上げたのは、ほんらい関西のテレビ局はこういう「なんの取り柄もない、素人っぽいだけが売りの子」を活かすのがうまかったんじゃなかったのかなぁと思ったからなんです。
その昔、関東地方で「オールナイトフジ」という番組がやっていた頃、フジ系列の関西テレビでは同曜日の同時間帯に「エンドレスナイト」という番組をやってました。
パーソナリティはばんばんことばんばひろふみと、ゆきねぇこと兵藤ゆき。これに関西テレビの杉山アナウンサーと、素人の女子大生10人前後がレギュラーという、ほとんどメンバー構成は「オールナイトフジ」と違いはありません。
しかし番組の中身は至極あたたかいもので、番組の一番の売りとなっていったイラストコーナーで、女子大生をコケにしたようなイラストも多かったにもかかわらず、なんだか妙にほのぼのしていて、悪辣さを楽しむ「オールナイトフジ」とは180度違うものだったといってもいいでしょう。
ただ、この番組にでていた女子大生(エンドレスギャルズ、略してエンギャル)は当時の目で見ても到底レベルが高いとは言い難く、本当に「その辺におる子」レベルでした。当然素人なので原稿などまともに読めず、プロになる気があまりなかったような子ばっかりだったようで、「うまくなってやろう」という気も希薄だった気がします。たぶんスタッフもそういう子を選抜してたんだろうけど。
しかし番組のつくり自体があたたかいものだったせいか、その素人っぽさが非常に良く思え、どう考えてもふつうレベルの子にもかなりのファンがいたといいます。
井上智栄子はまさにこのレベルなのですよ。いい悪いの問題じゃなく、こういう子を出演させるというのは、スタッフにそういう気構えがないとただの「馬鹿でぶさ」な子に見えてしまう。「おはようコール」はかなりあたたかい番組だし、鶴瓶もそんなことはわかっていると思う。でも井上智栄子という子のかわいさは全然視聴者に届かなかった、そんな印象を受けるのです。
今の関西のテレビ局は「ウソマコ」や「土曜はダメよ」など、どちらかというと「エンドレスナイト」より「オールナイトフジ」に近いような、馬鹿な女の子を嘲笑するような番組ばっかりになってしまいました。
これはあくまでアタシの私見ですが、はっきりいって関西の「その辺におる子」のレベルは高いとはいえない。東京が高いのはともかく、アタシが住んだことのある福岡あたりと比べても劣る。つまり全国的にはしんどいんです。
だからこそ、関西レベルの「その辺におる子」を見せ方のノウハウをもっと養うこと、これが関西のテレビ局の盛衰を決める、というのは大袈裟でしょうかね。