2004年版エースの条件
FirstUPDATE2004.3.20
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どうも井川の調子が上がりませんね。今日も結果はともかく重心が高い気がしたし。対する岩隈のストレートが「ピュン」だとすれば、井川は「び・ゆん」でしたから。だからといって全然心配しておらんのですよ。大丈夫ですこの男は。

なにしろね、アタシがプロ野球に興味を持って以来、阪神には<本当のエース>というのが存在しなかったんですよ。1976年から2001年までの26年間も。その「阪神にはエースがいない」という慣習を打ち破ったのが井川なんですから。
アタシがプロ野球を観出した1976年。この年の阪神のローテーション投手は

・江本 15勝
・古沢 10勝
・上田 12勝
・谷村 12勝

といった感じでした。
こうみると江本がエースのような感じがしますが、これは数字のマジックです。今とは時代が違います。現在のようにローテーションが中6日といったものではなく、中3日がふつうの時代でした。
この年の各チームの勝ち頭を書いていくと

・巨人 小林 18勝
・広島 池谷 20勝
・中日 松本 15勝
・ヤクルト 松岡 17勝
・大洋 平松 13勝
・阪急 山田 26勝
・南海 山内 20勝
・ロッテ 村田 21勝
・近鉄 鈴木 18勝
・日本ハム 野村 13勝
・太平洋 東尾 13勝

といった具合で、15勝では到底<自他ともに認めるエース>とはいえなかったのです。(しかし時代が時代とはいえ山田の26勝は凄い)
その後、なんとなく、というか、しいていえば江本がエースという年が続きますが、例の江川事件を受けて、なんと巨人のエースが阪神にやってくるのです。
それが小林で、移籍してきた1979年、22勝をあげ最多勝を獲得します。
しかし小林が文句なしにエースらしい働きをしたのはこの年だけ。またエースのいない阪神に逆戻りしてしまいます。

21年ぶりに、そしてアタシが生まれてから初めての優勝を果たした1985年。この年の阪神のエースは誰?とクイズを出せば、結構答えが割れると思います。
シーズンと日本シリーズの開幕投手は池田。勝ち頭がゲイル(といってもたった13勝)。勝率がよかったのが中田。中継ぎ→抑えとシーズンを通して強い印象を残したのが中西。どれも決め手に欠きますし、はっきりいえば<絶対的なエース>は存在しませんでした。

次に優勝にからんだのは1992年。この年の勝ち頭は仲田の14勝。この頃になると中5~6日がふつうだったので、まあ14勝でもそれなりの価値があります。では仲田を絶対的エースだった、というにはあまりにも物足りない。なにしろ前年が1勝。翌年が3勝なんですから。たんなる確変でしかない投手をエースというのはムリです。

1994年になって、ついに次代のエースが現れます。そうです。かの突発性全焼マシーンこと藪です。しかしルーキーの頃は、あたりまえですが、まだ素性は知られていません。まさか突発性全焼マシーンなどと思われていない藪に「ついに阪神にも本物のエースができる!」と信じたファンも多いことでしょう。
藪のその後に関して多くは語りません。というか語りたくもありません。なんのことはない、本当の暗黒時代の始まりだったんですから・・・。

なぜ阪神に絶対的エースができないのか。これはよくいわれることですが、とりまく環境のせいといえなくもないと思います。なにしろ関西のマスコミは10勝しただけで<大エース>扱いですから。ふつうの人間なら十分自尊心が満たされるぐらい持ち上げてくれるんですから。わざわざ苦労して<球界のエース>になろうなんてしませんわなそりゃ。(ちなみに村山や江夏の時代は、まだそこまで関西のマスコミも阪神一辺倒ではなかった)

その点井川は理想的な人間性を持っているといえます。まずマスコミに踊らされない。つまらない自尊心がない。(自尊心を出すのはマウンド上だけ)といってもストイックなわけでもない。だから自分を追い込みすぎることもない。
はっきりいってただのオタク。しかもプロ野球オタクじゃなく、ピッチングオタク。そのためには金をつぎ込んでも身体を鍛える。これはフィギュアを買い漁るのとなんら変わりがない。

「へー、こういうのが今人気があるんだ。でもオレは○○が好きだから○○のフィギュアしか集めない!」

これと一緒です。
たぶんこういう存在でないと<阪神の絶対的エース>にはなれないでしょう。ある種、なにかを超越した存在でなければ。
実はもうひとり、エース候補がいます。それはもちろん久保田です。アタシはこの人にも超然としたものを感じる。だからスピードボールが投げられる間に井川と並ぶエースになってほしいと切に思います。

しかし、あの阪神に、絶対的エースがいて、しかも別にエース候補までいる・・・。やっぱりこんな現実信じられないや。

井川はともかく久保田がまさかああいう選手になるとは思いもしませんでした。良くも悪くも。
しかしね、アタシが今まで見てきた中で、阪神で一番エースらしいエースだったのはランディ・メッセンジャーですよ。てな話はココで書いてます。




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