16日(現注・2003年12月16日)に日本テレビ系で放送された「俺たちの旅~30年目の運命~」(日本テレビ、ユニオン映画)についてのべていきますね。
アタシがこの「俺たちシリーズ」にハマったのは、中学生のころだったはずです。
なにげなく深夜テレビを見ていると始まったのが「俺たちの朝」の再放送でね。これは「俺たちの旅」に続く第2弾なんだけど(ややこしいので「俺たちの勲章」は省く)、勝野洋、小倉一郎、長谷直美が主演でね。とにかくメッチャクチャハマって観てたんですけどね。
で、しばらくしてサンテレビでね、あ、関西に、というか神戸のUHF局でサンテレビってあるんですけど、そのサンテレビで「俺たちの旅」の再放送が始まったんですよ。で、これにもハマって、いやハマったというより、かなり影響されたというかね、たぶんこれ観てなかったら大学とかいってなかったと思いますよ。それくらい影響されましたね。
んでもって、この再放送が終わってすぐくらいに10年目のスペシャルがあって、それからまた10年後にスペシャルがあって、で今回のヤツになるんですよね。
それとは別に何年くらい前だったかなぁ、カミセンが主演で新しいシリーズがつくられたりして。うまくいかないに決まってんだけど、それでも一応全話観たりした。
ネット上とかでみたら、このカミセン主演の新シリーズの評価は散々ですね。でも個人的には森田剛とかわりとよかったと思ったんだけど。あんだけ週刊少年マンガ雑誌を読んでいる姿がサマになる人はそうはいないですよ。
まぁそれでもアタシも無邪気に観ていられる年齢じゃなかったもんで、正直いうとかなりキツかった。正直にいうとね。
このカミセン主演版、10年後、20年後、アタシにいわせれば全部失敗の範疇に入ると思うんだけど、3つともおんなじところでつまずいている。
3つとも明らかにテーマを履き違えているんじゃないかと。つまりね、この「俺たちの旅」の、少なくともオリジナル版に限れば<友情>なんかテーマじゃないんですよ。
もちろん友情にピントがあった話もあるんだけど、でもそれはひとつの要素にすぎない。考えてもみてくださいよ。もし<友情>なんていう「一見深そうで実は安っぽい」ものがテーマだったら、ここまで名作として語り継がれるわけないと思いません?
この作品のポイントはOPとEDに如実に表れている。あのしつこいくらい挿入されるスナップショット、つまりなにげない日常シーンでの人間の表情(カースケ、オメダ、グズ六はもちろん、ゲストキャラもそれ以外の街の人たちを含めて全部)こそ(2ちゃん風にいえば)本体なんじゃないかと。
アタシはね、ハナシそのものは前説にすぎないとさえ思っているんです。しかしその前説のおかげで、ラストのスナップショットがより味わい深くなる。
ところがね、上記の3作品ともその辺がぜんぜんないですよ。腹が立つくらい。本体がさっぱりなくて、サブの要素であるはずの、しかも気恥ずかしいたらありゃしない<友情!友情!>の押し売り。そもそもこの3人が無二の親友である必要なんかどこにもない。カースケの性格上、どうしてもほっとけないから<つい>手をさしのべたりしてるだけで、それは友情とはなんの関係もないと思う。
3人が親友である必要もないし、カースケの生き方にも興味などない。
話なんかなんでもいいと思うんですよ。はっきりいえば<グズグズ>の方が絶対よかった。ただ問題に直面した時の表情と、一応のケリがついた後(つまりエンディングでの)表情さえしっかり描いてくれれば、本当にそれだけで「俺たちの旅」として成立したと思うんですがね。
それはね、エンディングに流れていた「ただお前がいい」の歌詞に具体的に提示されていたと思うんだけど。鎌田敏夫も斎藤光正もなんで気付かないのかなぁ。もうそれが不満で不満で。
ながーい前説になっちゃいましたが、30年目のことですね。
まずフィルムじゃなくてビデオ撮影だったんで「こりゃダメだ」と思ったんだけど、逆に挿入される昔のカットが神話化されたようで、そして現在はありったけの現実って感じになって、まぁそこまで気にならなくなった。
じゃ面白かったかというと、全然いい表現じゃないけど「20年目よりは良かった」という感じですか。
ヨーコがでてこないとか、十朱幸代のエピソードが本編にあんまりからんでいないとか、そもそもどれが本編なのかよくわからないとか、なんでイジメのエピソードが必要なのかとか、アタシ個人として納得できないことも多いし、実際いろいろ叩かれているみたいだけど、「俺たちの旅」のオリジナルを知らない人が観ても、それなりに楽しめる仕組みになっていたとは思う。
まぁ子供が観て面白いハナシじゃないね。もしアタシが中学生だったら全然楽しめなかったと思う。じゃ大人向け、というか大人なら面白いかといえば、せいぜい<それなり>だと。
さらにオリジナルが好きだった人が観ると、やっぱり不満が残る。ずっとアタシが考えていた<本体>も(前回よりマシだったといえ)たぶん作り手はわかってないと感じたし。
ただもう次はやらないでしょ。それだけが救い。もういっこ個人的な救いは、秋野太作の演技の巧さに触れたこと。いやこの人、ホントに巧いよなぁ。