なんだかんだいってもね、やっぱ黒澤明の映画って面白いですよ。そりゃつまらんのもあるけど、とりあえず「濃い」ですからね。少なくとも観て損したって感じはしないんですよ。そうゆうのって結構重要じゃないですかね。
個人的に一番好きなのは、・・・いやー、一本にしぼるのは難しい!まぁ「酔いどれ天使」(1948・東宝)と「生きる」(1952・東宝)が同率1位って感じかなぁ。でも別格で「七人の侍」(1954・東宝)があるからまたややこしいんだけど。
どうも意外なんだけど、今日の評価って「用心棒」より「椿三十郎」(1962・東宝、黒澤プロ)の方が上みたいなんですね。これには正直うーんと思いますけど。
もちろん「椿三十郎」も充分面白いんですけど、なんていうか小品でしょ?だからこそ黒澤のいい部分がいっぱい出てるとは思うんだけど、でもやっぱ「用心棒」の方が上だろうと。
個人的に「椿三十郎」で面白かったのは小林桂樹ですね。その当時小林桂樹といえばサラリーマンというイメージだったんだろうけど、作品の中で見事に「場違い」感が出ている。なんかひとり関係ないヤツが混入しているみたいな。
加山雄三とか田中邦衛とか、イマイチ着物が似合わない団令子でさえ作品に溶け込んでいるのに、小林桂樹だけ変に浮いている。
たぶん普段のサラリーマンのイメージを逆手にとったんでしょうね。あの押入れに帰っていくシーンね、あれなんか「お呼びでない」一歩手前だもんね。
アタシの中で「椿三十郎」は完全にコメディなんですよ。コメディアクションっていった方がいいのかな。とにかく三十郎が無敵なわけですよね。剣豪であると同時に知将でもある。コメディとしてなら全然OKだけど、深みという面ではね。
その点「用心棒」はちょっと違うよね。基本的に三十郎ってダーティだから。そのダーティな三十郎が面白半分に高見の見物をしようとして、でも世話になった人がヤバくなって、自分の身もヤバくなって、そっからなんとかしようってハナシだから。そりゃこっちの方がサスペンスがありますよ。
アタシが気に入っているのは、仲代達矢ね、あの人ピストル持ってるでしょ。マフラーなんか巻いてね。そんなんとやけに道幅の広い往来で対決ですよ。
これはもう西部劇がやりたかったんだろうなぁって誰でもわかるんだけど、あれって一種のギャグでしょ。こんな大作でそんなことやる普通?信じられないよねぇ。
だから「用心棒」も基本はコメディだと思う。でも「椿三十郎」とは違って「椿三十郎」が細かい<くすぐり>の連続だとすれば、「用心棒」はすっげぇ大ネタって感じがするんです。
あ、ここまで全然アクションについて触れてないけど、あんまり気にしないでください。アタシ、アクションの良し悪しがもひとつわからない人間なんで。
たしかに三船の動きのキレはメチャクチャスゴイってくらいはわかるけど、何と比べたらいいのかもわかんないんで。
そういえば昔ね、つきあっていた女の子に「用心棒」観せたんだけど、もう感動してましたよ。ふだん全然邦画とか観ない子なのに。それからムチャクチャ黒澤映画にハマってましたねぇ。(遠い目)
あんまり書くことがねぇな。ま、ココに黒澤明監督作品についてアレコレ書いたエントリがあるのでそれをどうぞ。 |
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