スターダストボーイズで行こう!
FirstUPDATE2025.9.17
#Scribble #Scribble2025 #老いらく #アニメ・漫画 #ドラえもん #音楽 #1980年代 #フィクション 金曜日19時30分 宇宙船サジタリウス スペースオペラ 中年サラリーマンの哀愁 スターダストボーイズ ヒーロー カッコ良くない カッコつけるのが若者 動画アリ 単ページ

ドラえもんの後、と聞いて何が浮かぶか、これは人によっても、年代によっても違う、というかそもそも「質問の意図がよくわからない」という感じかもしれません。

アタシが言わんとするのは、要するにアニメ版ドラえもんの後番組というか、今で言えばドラえもんの後にスーパーJチャンネルが始まる、みたいな話です。
長年ドラえもんは金曜日の19時から放送されていた。で、1990年代後半からはほぼ「クレヨンしんちゃん」固定になったので、ドラえもんが終わって始まる番組=クレヨンしんちゃん、というイメージの人が多いように思います。ちなみに今はクレヨンしんちゃん→ドラえもんの順番だけど。

ではテメエは何なんだ、となったら、一番印象に強いのは「宇宙船サジタリウス」ってことになるか。
ここからサジタリウスの話をしたいのですが、間違いなく言えるのは、もしドラえもん→サジタリウスという流れがなければ、絶対にこのアニメを見ていない。コメディタッチは濃厚とは言えアタシが一番苦手なスペースオペラの要素が強いし、キャラクターが擬人化された動物ってのも引っ掛かる。しかも、いわゆる「痛快」とはほど遠い、実にほろ苦い物語だったので少なくとも高校2年→大学1回生が好んで見たい内容でもない。

にもかかわらず、とにかく完全に見ることが習慣化していたドラえもん終わりで始まる番組ってだけで、見ていた。つか何となくチャンネルを変えずにいたら、何だか奇妙なアニメをやってるな、くらいの感覚だったんです。
スペースオペラはともかく、ここまで「中年サラリーマンの哀愁」を前面に押し出したアニメ自体珍しく、しかも中年サラリーマンでありながら擬人化された動物なんですよ。これをドラえもんの後に放送しようとする発想自体が狂ってる。

でも、とにかく話が面白い。だからいつしか夢中になった。もちろんそれまでにも「21エモン」だったり「銀河鉄道999」は見ていたけど、面白いストーリーに実に人間臭いドラマが挟まる、しかも登場人物全員、文句なしの聖人君子はいない。基本的には善い人ではあるんだけど、どこかこすっからしいところもあって、それが作品としての魅力を増幅していました。
そしてサジタリウスと言えば、何より素晴らしいのが主題歌です。というかエントリタイトルにある「スターダストボーイズ」こそがサジタリウスの主題歌だったわけで。

ノリノリのジャジーなアレンジにのせられた歌詞はサジタリウスの世界観を見事に表現している。しかもこれ、サラリーマンではないけど冴えない中年になった今聴くと実に沁みる。
ヤバい。ヤバすぎる。何でこんな沁みるんだ。つかこれ、今の50代以上の人全員に聴いて欲しい。それくらい良い歌詞だから。


子供の頃はとくにですが、誰しも「ヒーロー願望」みたいなのはあるものです。いやそれこそ年齢がいくにつれ、ウルトラマンや仮面ライダーのような正義のために戦うヒーローではなくても、スポーツ選手のように大一番で試合を決する活躍をするとかじゃなくても、サラリーマンであっても「ヒーロー的な活躍をしてみたい」と思うのは普通すぎるくらい普通のことだと思うわけで。

でもそういうのはいずれ消える。むしろ「せめて足を引っ張らないようだけはしよう」とか「組織として上手くいけば自分は目立たなくてもぜんぜん構わない」という発想になっていく。もちろんそうした発想が正しいとかそういうことではない。でも間違ってもいない。そういう妥協というか着地点を見いだせる、いや正確に言えば「別に見つけたいわけじゃないんだけど、自然と一番無難な着地点が見えてしまう」のが大人になるってことなんじゃないか。

でもそうした、無難な着地点に落ち着こうとする大人は子供から見れば、若者から見れば、馬鹿な大人に見える。何故ならちっともカッコよくないから。
カッコいいのはヒーローです。それはもう、間違いない。でもカッコよくはなくても、自分の出来ることを精一杯やろう。そういうカッコよさもまた、大人になればわけるわけです。
カッコよくない、=ダメ、ではない。というかオッサンにとって「カッコよくある」というのはハードルが高い。つかだんだんカッコよさは後ろ回しにされる。カッコじゃないんだよ、泥臭くてもしっかりやるんだ、いやしっかりやってりゃなんとかなる。カッコつけてしっかりやれないよりも百万倍マシだ・・・。

でもこれ、逆に言えば、若いうちからカッコつけないでどうするって話でもあると思う。
どうせオッサンになったらカッコつけられなくなるんだから、若いうちはカッコつけて無難でもベターでもなくベストを目指そうぜ!ってことだと思うんですよ。
カッコ悪いよりカッコいい方がいいに決まってる。オッサンには無理だけど、テメエらには出来るだろ。たとえばオッサンだったら二日酔いの翌日とか無理に笑ってるのも辛いけど、若かったら体力的に余裕で出来るじゃん、と。

心配しなくても、どのみちカッコ悪くてダメに見える中年になるんだよ。もれなく全員。いや全員ではないか。でも貴重な「カッコ悪くないオッサン」ってそれこそ若い頃から散々カッコつけて生きてきた人だから。若い頃からカッコつけないでオッサンになってカッコ悪くなってない人なんてひとりも知らない。だから一縷の望みをかけてカッコつけなきゃいけない。
・・・そういうのがパーっとわかる。そう、この「スターダストボーイズ」を聴けば。

オッサンはオッサンでプライド持って生きようぜ。カッコよくはなくてもダメになっちゃダメなんだよ。あのオッサン、結構いいとこあるんだぜって思われるオッサンになんなきゃ。ね。