ま、結果としては比較的というか、想定よりもはるかに再生回数が行ったのでまさしく結果オーライなのですが、やっぱ先々週アップした「豚と軍艦」の動画が引っかかっていて。
これね、あそこまで辛辣にやるつもりはなかったんです。
もちろん動画内で喋ってるような違和感を覚えたのは事実だけど、何でもかんでも馬鹿正直に喋りゃいいってもんじゃないし、もっと穏当な感じにも出来た。
でも、これはもっと正直に、うわべでやるんじゃなくて、みたいに思っちゃって、その結果がああなったと。
ただね、これは言っておきたいんだけど、どの映画を題材にするかの選別において、アタシは出来るだけ「珍奇な出来の作品は選ばないようにしている」のです。
いやそんなこと言えば「ピンクレディーの活動大写真」なんかは珍奇の部類に入るのかもしれないけど、多少の珍奇さはあってもアタシが愛せる映画に限らさせてもらうと。
何故か。結局そこなんですが、珍奇な<だけ>の映画を題材にしちゃうとどうしても作品にたいして「嘲笑う」みたいになってしまう。それが嫌なんです。
これは動画に限らずテキストでも同じなのですが、アタシはね、本当に嫌いな、愛情のカケラもない作品や人物については触れたくないんですよ。
つまり「触れない」ということが最大の罵倒であり、多少なりとも触れるのは多少なりとも愛情があったりするからです。そこの線引はサイトを始めた2003年から何ひとつ変わっていない。これだけは自負しています。
逆に言うなら、もう「触れてる」時点で、その作品、その人物には何らかの愛情があるってことになるんですが、アタシはね、どれだけキツいことを書こうが愛情があればそれは<辛辣>ってことになると思う。
だから当然「豚と軍艦」という作品にも強い愛情がある。つか今回見返して思ったけど、やっぱかなり「愛すべき作品」です。
だからと言って称賛ばかり並べてもしょうがない。違和感があるならちゃんとその違和感を喋るべきなんじゃないか、と思った結果ああなった、と。
ではですよ。もし愛情のカケラもないことにたいしてキツい言葉を並べたらどうなるかです。
愛情なくキツい言葉を吐きつける、これは<辛辣>なんて良いモンじゃない。ま、ただの罵倒でしかない。
マスコミという人の不幸でメシを食ってる連中が嫌いだし
これは(どことは書かない)マスコミ絡みの某騒動について書かれた文章ですが、あまりにも見事な罵倒なので引用させていただきました。
この際、この引用中の内容が正しいか否かは置いておく。もちろん誰が何を嫌いでも他人さんがとやかく言うこっちゃない。
でもね、嫌いなモノについてキツいことを書くって、もうよほど注意しなきゃいけないと思うのですよ。
人間というものは、嫌いなモノにたいして深く知ろうとはしない。こんなの当たり前でアタシだってそうです。
そうなってくると、浅い、うわべだけの情報から得た、確証バイアスゴリゴリの私見とも言えないような私見になってしまう。当然のことながら「嫌いなモノをキツく言う」のだからどうしても言葉が荒れやすい。
そうなると、もう文章から「幼稚さ」が漂い出す。ま、文章が幼稚なのではなく筆者の幼稚な人間性が透けて見えてしまうというか。
つまりね、嫌いなモノをキツくって何のメリットもないんですよ。
ホンネとか言うけど、見る人が見ればただの「幼稚なホンネ」でしかないわけで、ホント、良いことがひとつもない。
アタシが罵倒嫌いなのはそこなんです。罵倒ってとにかく「浅くて幼稚」なんですよ。そんなことを書いたり喋ったりして、もしそれで共感する人がいたとしても、その共感した人もまた「浅くて幼稚」な人なわけで、誰がそんな人間とつるみたいと思いますか。
辛辣は違うんです。
もちろん表面上だけ捉えたり、はたまた盲目的絶賛でなければ受け入れられない、みたいな人にはわからないかもしれないけど、キツい言葉の裏にある愛情を読み取ることが出来れば、多少辛辣であっても嫌な気持ちはしない。
2軍戦の無死二塁の場面で打てのサインが出た時、進塁させたらいいと思って、二ゴロで走者を進めたんです。胸を張ってベンチに帰ったんですけど、試合後に何でそんなしょうもないバッティングすんねん、と。おまえと投手のレベルを見て、おまえやったら打てると思って、サインを出してるんや。信じてるんやから打てと言われました。
これは元阪神タイガースの的場寛壱が当時二軍監督だった岡田彰布から言われたことですが、ま、これは叱責ではあるんですよ。でもこれを言われて的場は本当に嬉しかったと。
つまりね、信じているんだから、とか、能力的にもっと出来るはずだろ、から来る叱責で、ちゃんとそれを読み取れたから的場は現役を引退して20年ちかく経ってもこの言葉を憶えていると。つまりそれほど嬉しかったことなんです。
・・・とまあ、それはそうなんですが、あの「豚と軍艦」の動画が「ちゃんと読み取れるようになってるか」と言われたら正直自信がない。
辛辣なのは良いとしても、ちゃんと愛情の裏返しの辛辣であると伝えることが出来ていたのか、これはアタシの動画制作や喋りの技量の問題なのでね。
つまりです。辛辣にやりたけりゃあ、技術を上げるしかないんですよ。強い技術に裏打ちされた辛辣さとでも言うのか。文章であれば「それなり」とは言え出来る自信はあるけど、動画にかんしては今の技量ではとてもとても、という感じです。
だから「豚と軍艦」の動画にかんして、辛辣なことを喋ったことに後悔しているわけじゃない。じゃなくて「今の拙い技量で」辛辣にやって本当に大丈夫だったのか、という後悔というか不安ですよね、が拭いきれないというか。
もっともっとスキルを上げなきゃなぁ。でないと無難ばっかりになっちゃうもんなぁ。