「秘密の暴露」というモヤモヤ
FirstUPDATE2025.5.3
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もはやアタシは未解決事件について<考察>のようなことは一切しないんだけど、ま、考察という<遊び>の面白さ自体はわかってるつもりなんですがね。

未解決事件の考察となると、まず「もっとも信用が高い」のは当然のことながら警察発表です。むろんこれも「全部が全部<紛れもない真実>か」と言われると怪しいところもあるんだけど、 ま、とりあえず一番信頼性が高いことは間違いない。
次が新聞報道で、これも新聞各紙によって信頼度は変わるとはいえ、基本的に「警察発表+真っ当な手段での独自取材」なので、これもそれなりの信頼度があると言ってもいいと思います。
で、その次が「報道番組における」テレビ報道と言った感じかね。

ではそれ以外、例えば週刊誌、例えば報道番組以外でのテレビ報道、となるとです。
これらも基本的には警察発表をベースにして、新聞報道も加味された上で作られてはいるんだけど、あきらかに<真っ当ではない>独自取材が多く、正直信用に足るとは言い難い。ただしこれらにかんしてはハナから「眉唾」前提で、つまりエンターテイメントとして楽しんでいる人が大半だと思われるので問題になりづらい。

もちろん別の問題、例えば実際の事件をフィクショナル化したり、遺族感情を無視したりといった問題はあるんだけど、そこまで目くじらを立てるほどでもないと思う。
そしてインターネットの時代になって、「警察発表+新聞報道+新聞記者の<真っ当な>独自取材+週刊誌記者やテレビマンによる<真っ当でない>独自取材」を全部ゴチャ混ぜにした形でひとつのエントリ(動画)をでっち上げる、というのが横行し出した。

つまり「ソースの切り分け」がぜんぜんなされてないってことなんですが、こうした風潮に一石を投じているのがアタシが大好きな「だてレビsideB」さんなんですがね。
それはともかく、アタシが<考察>というものにたいして積極的な興味がなくなったのはこうした理由からです。

冒頭でも書いたように、まず警察発表からして100%信用出来るかという話なのに、あまりにも真偽不明すぎる話が溢れ、しかしそうした真偽不明の話も取り入れていかなくては到底考察など成り立たない、つまり「それは真実だという前提で」話を進めなければいけないことが多すぎるんです。
当然のことながら「前提があやふや」なら考察もいい加減なものになるし、途中で前提自体がひっくり返されることも珍しくなく、そうなると考察が何の意味もなさないものになる。
だったらもう、考察なんかいいや、となっちゃったというか。

しかしね、まだ信用に足る、と思われる、真っ当な独自取材をやってる新聞報道はともかく、それこそだてレビsideBのキーフレームさんがおっしゃってるように「考察の邪魔にしかならない」一連の<真っ当でない>独自取材は本当にいらない。
でも真っ当であろうがなかろうが、そうした独自取材がなければ週刊誌の記事として、はたまたテレビ番組として成立しないのも事実で、そこが本当に難しい。

だから本当に思うんだけど、こうしたきわめて信用の置けないメディア報道を駆逐しようと思えば、もう、もっと警察発表を充実させるしかないんですよ。
もちろんのことながら、捜査にも限界があり、ましてや未解決事件など「調べても調べてもたいした情報がなかった」もしくな「週刊誌レベルの信用の置けない情報しかなかった」から未解決事件になってる場合も多いわけで、つまり警察の手中にある情報量自体が少ないのも間違いないわけではある。

でもね、これ、もうあきらかに「警察は確実にわかってるだろ」と思われることでも公式発表されてないことは山のようにあります。

先日配信されただてレビsideBさんの動画ですが、この湯河原女性殺人放火事件だけで言っても、警察は確実に「かなり正確な犯行時刻」を把握している。向かいにあるパチンコ屋の防犯カメラに犯人と思しき人物が被害者宅に入る瞬間から出て行くところまで収められているのだから、仮にこの防犯カメラの映像を公開しなくてもはっきり「何時から何時に行われた犯行か」は特定出来るはずですし、これを公表したからと言ってたいして問題になるとも思えない。

ちなみにこの事件、実は情報開示には積極的な方で、あまり出したがらない駅で撮影された防犯カメラの映像を警察内のホームページで公開しています。
つまり「隠蔽してやろう」と警察が考えているわけじゃない。でもやっぱ、それでもまだまだ開示されてない情報は山のようにあると考えるのが妥当です。

何故警察は捜査情報を出し渋るのか、これは「秘密の暴露」という問題と絡んでいる。
つまり「犯人にしか知り得ない情報」まで開示してしまうと、後々無事逮捕しても立件までは難しくなってしまう。だからどうしても情報開示に及び腰になってしまうと。
それはものすごくよくわかる。わかるから全部を開示しろとは思わない。ましてやド素人連中の考察のため、なんてくだらない理由で開示する必要はどこにもない。だからそれはいいっちゃいいんですよ。

ただね、それでも「こうなったら秘密の暴露問題よりも大事なことがあるだろ」と思うこともあって、それはつまり未解決事件、具体的には事件発生から10年以上の年月が経った事件です。
もうさ、何だか著作権の話みたいになっちゃうけど、さすがに10年も未解決で、もはや新しく情報が寄せられることもないような事件にかんしては、もうよほどの「これは完全に秘密の暴露になり得る」ひとつふたつを除いて、残りはすべて開示すべきなんじゃないか。こうすることで情報が寄せられるならいくつかの秘密の暴露になることが潰れても、その方がよほど意義があるのではないか、と思ってしまうのです。

さらに言えば、仮に事件発生から10年以上経過していてもちゃんとした情報を開示すれば、<真っ当ではない>いい加減なことを独自取材と称して垂れ流したメディアにも責任問題が行く。となったらあまりいい加減なことはやれなくなるわけで、それはそれで意味があると思うんですよ。
当たり前だけど、どれだけ鋭い考察をしようが、名探偵と謳われようが、彼らには捜査権も逮捕する権利もない。そもそも私立探偵が事件現場でデカいツラをするのは虚構の極みです。
だからこそ、警察がやるしかない。んで「可能な限り目撃情報を集める」のも警察の仕事なわけで、だったら、あくまで事件発生から10年以上経過したケースに限っては、限界ギリギリまで情報開示すべきじゃないかね。

つかさ、殺人の可能性が高い事件にかんしては時効が撤廃されたんだから、その代わりに情報の守秘にかんしては一定期間で解除された方が望ましいと思うだけで。