2番強打者論をもうちょいマジメに考える
FirstUPDATE2025.4.28
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そもそも「2番強打者論」にたいしてはアタシも何の反論もない。問題になるのは「2番<最強>打者論」であって、これは指標的にも「間違い」と言われていますからとくに書くこともないのですが。

てなわけでちょっと、2番とは、みたいなテーマで書いていこうと思うわけですが、その前に先週の阪神の話題を。
ま、5勝1敗という勝敗で順位も2位広島に1.5ゲーム差をつけたんだから悪いわけないんだけど、日曜日に負けちゃダメだよ。何がなんでも日曜日だけは勝ってくれないと。それで週始まりの心持ちがぜんぜん変わっちゃうんだから。
にしても追悼デーとなった日曜日のユニホームは良かった。あれでいいじゃん。もう普通にカッコ良いよ。

さてさて、話を2番打者に戻しますが、実はアタシも「これ」というのはないんです。そんなのチーム状況によっても違うし、何しろ目的は「試合に勝てるだけの得点をキチンと獲れるかどうか」なので、変則であってもそれでちゃんとチームとして勝ててるなら問題ない。
それこそ2003年の阪神のように「1番今岡、2番赤星、3番金本、4番桧山」のような、ちょっとそれ、変じゃね?みたいなオーダーであってもそれで打線がつながって点が獲れるならもう十分なわけで。
それは当然のこととした上で、アタシなりに「こういう要素のある、もしくはない選手が2番にいればな」みたいなことを書いていきます。

・一定以上の走力がある
やっぱりね、これは結構絶対なんですよ。
というのも2番の足が遅いと作戦が2択になってしまう。つまり「送りバント」か「ヒットでつなぐ」かですが、ヒットを期待するというのはもはや作戦でもなんでもないわけで、かと言って今の時代、エンドランもフルカウント以外ではほとんど用いられることはない。
でも走力のある2番打者であれば「最悪ゲッツー崩れでもいい」みたいなことが出来る。んで「ゲッツー崩れ→盗塁でスコアリングポジション」みたいなケースも可能なわけで、つまり2番に走力のある打者がいれば1番打者の走力は無視出来る。イコール2003年の阪神みたいな打線も可能になるんです。

・プラスアルファの要素がある
これ、説明が難しいんだけど、少なくとも日本のプロ野球において、相手ベンチが「何かやってくるかもしれない」ともっとも警戒するのがランナーありで2番打者を迎えるというシチュエーションなんです。
でもね、だからといって「絶対何かしなければいけない」わけではない。打者の能力に期待して、みたいなことでもぜんぜんいいんですよ。
ただし、出来ることならば、仮に何もやらなくても「何かやってきそう」と思わせるムードだけでも出して欲しい。それだけで相手バッテリーも相手ベンチも疲弊するから。
そうした直接プレイとは関係のない、プラスアルファの箇所があるかどうか。ま、これはあればなお良いという感じですが。

・クラッチヒッターではない
これは逆に思えるかもしれませんが、出来ればそうあって欲しいというか、クラッチでなければない方が2番という打順に置きやすいというか。
やっぱね、クラッチヒッターを2番に置いたら何となく「もったいない」気がするんですよ。つかクラッチヒッターってのはポイントゲッターであって、出来ればランナーが溜まった状態で打席に入ってもらいたい。となるとクリーンナップもしくは6番にいてくれた方がありがたいわけで。
ただこれはWBCのような場合は除く。ああいう代表チームの場合、他にいくらでもクラッチはいるはずなので2番にもクラッチがいた方がいい。

ま、だいたいこの3つですが、数字にかんしては何とも言えない。それこそそれはチーム状況で変わることだから。
当然高い数字を残せるに越したことはないわけで、これらの3つの要素にプラスして「高い数字を残せる」選手が「理想の2番打者」ってことになるのかもしれない。
実際にはほとんど2番を打つことはなかったのですが、アタシの中でたったひとり、理想とも言える2番打者がいます。それが糸井嘉男です。

とくに重要なのは、糸井ってまったくクラッチじゃなかったんですよ。晩年の頃、アタシは福留孝介と比較する形で「無類のクラッチだった福留と<実はクラッチじゃない>糸井を同列に考えちゃいけない」と書いたのですが、糸井の場合、ポイントゲッターである3番以降の打順ではなく、チャンスメーカーとして1番、もしくは2番が向いていた。
1番を打つことはそれなりにあったけど、2番としてはほとんどない。でもね、あの性格などを鑑みても糸井は「日本流最高の2番打者」になった可能性はあると思うんです。

能見篤史が糸井と対談した時「お世辞ではなく本当に天才だと思ったのが糸井。自分では考えてるつもりだけど、あれだけ何にも考えていない打者はいない。なのにどんなボールにも対応出来る。本物の天才」と評していましたが、たぶん糸井なら日本人がもっとも恐れる「ゲッツーへの恐怖心」を持たずに己の力を発揮出来たんじゃないか。
走力も抜群で、ミートの天才で、しかもクラッチじゃない。こんな<うってつけ>の2番打者はいないですよ。

でもね、じゃあ現今、12球団見て回って糸井のような選手がいるかと言えばいない。つか過去を見回してもぜんぜん思いつかない。
逆に言うなら糸井みたいな選手がとくにいないのであれば、先程の3つの要素のうちひとつでも多く当てはまる選手を置く方がいい。
例えば今の阪神で言えば、実のところ一番当てはまるのは実際に2番を打ってる中野拓夢なんですよ。走力があり、まだ弱いとは言え「何かやってきそう」感もゼロじゃない。んで少なくとも前後を打つ近本や森下に比べたらクラッチじゃないわけで、だからアタシは「2番中野」で良いと思ってる。そういうことです。

ま、機械がっつーかCPUがやってるんじゃないんでね、指標としてどの打順が一番得点が取れるかじゃなくて「各人が一番気持ち良く打てる打順」を打ってもらう方が絶対点が入ると思うんだけどさ。







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