初めて紅白を褒める
FirstUPDATE2025.1.15
@Scribble #Scribble2025 #テレビ #エンターテイメント #音楽 #2020年代 #上岡龍太郎 #ポジティブ 紅白歌合戦 NHK ショウ 司会者 内村光良 大泉洋 有吉弘行 毒舌 斜に構えない 単ページ

毎年、年のはじめには必ずと言っていいほど「年末に放送された紅白が如何にダメかを具体的に指摘する」みたいなのをやってきたのですがね。

メチャクチャかいつまんで言えば、アタシが近年の紅白について辛辣にならざるを得ない理由はひとつしかない。それは
「紅白は<ショウ番組>であるにもかかわらず、スタッフが「ショウとは何か」がまるでわかっていない」
という批判です。
だからこそ、まだ「ショウでの振る舞い」がわかっていた旧ジャニーズ勢をアタシは評価していた。そしてこれは出場歌手の年齢について言いたいのではなく、ベテランは演歌だろうが何だろうが意外とショウをわかっており、若手は旧ジャニーズを除いて「ショウというものがまるでわかっていない」と。

はっきり言って、向いてないことをやらせる、やらさせるってのはお互いにとって不幸なことなので、ならそういうアーティストは紅白なんか出なくてもいいじゃん、と思っていた。
いや向いてないというよりは「ショウへの興味のなさや嫌悪感が強い人は無理して紅白に出てもしょうがない」とね。
こうやって書いてきたらわかると思いますが、紅白って「歌番組」ではないんですよ。次々にアーティストが登場してヒット曲を歌っていく、それだけ取り出せば歌番組なんですが、歌番組としての要素はどちらかと言えば<サブ>で、メインはあくまで<ショウ>なんです。

ここが2023年までの紅白で「まったくわかってない」と感じたし、だから辛辣に書くしかなかった。
で、2024年の紅白ですが、基本的な構成は2023年とほぼ変わっていない。B'zや氷川きよしが出て多少華やかになったとは言え、あいも変わらずMISIAで締める、というここ数年のスタイルを継続していました。
しかしひとつだけ、大きく手を付けてきたことがあった。それは「司会者の扱い」です。

紅白の司会者はドセンターにいるにもかかわらず、ひな壇トーク番組で言うところの裏回しに近く、曲紹介はサブ司会者、もしくはアーティストとゆかりのあるゲストがやる。つまり「司会者」というポジションでありながらまったく目立たない黒子のような存在だったわけです。
これは内村光良→大泉洋の時代までずっとそうで、ちょっとでも司会者が目立つようなことをすれば、そこだけ悪目立ちする。実際大泉洋はそれでずいぶん叩かれていました。

この、きわめて曖昧というか、何もやってないように見えるのに実はタイムキープやすべてを円滑に進行させてムード作りもやらなきゃいけない司会者の扱いはずっと<そのまま>で、大変なのはスタッフはわかっているんだから、これ以上負荷をかけないように、という気遣いがあったと思う。
しかしその気遣いが<遠慮>になったのか、どんどん、ただ損なだけの役回りに近くなっていった原因だと思うんです。

そしてついに、2024年の紅白で<そこ>にメスを入れた。
これが番組側からだったのか、2023年から司会をつとめる有吉弘行側からの提案だったのかはわからない。しかし結果として「司会である有吉を徹底的に使う」という方向に舵を切ったのです。
何しろ有吉と言えば猿岩石でミリオンヒットを出したように「歌える」人で、ダンスが得意とかではないけど「動けない人ではない」わけです。
ならば、もう、有吉に全面的に歌ったり踊ったりしてもらおう。大変かもしれないけど、それで司会としてのポジションがはっきりする。

一般には有吉の芸風は毒舌であり、斜に構えた芸風と思われているのですが、実は非常に古いタイプの芸人で、徹底的に仁義を重んじる。
これはオール巨人の元で育てられたのもあるだろうけど、上岡龍太郎の番組の前説をやりながら上岡龍太郎の毒舌芸をじっくり観察していたのは有名だし、結婚の時もそこかしこに「この人は仁義を大切にする古風な芸人だ」と思わされた。

だから「斜に構え」ているのはあくまで芸風であって、テレちゃダメなところは真っ正面からちゃんとやる。その辺が他のひな壇芸人と根本的に異なるところで、ショウのような昔からあるエンターテイメントへの<素養>はともかく、やるとなったらちゃんとやる、という対応への気持ちは絶対あったと思う。

実際、有吉は歌い踊り、他の出演者の立ち位置のキープといった<ショウ>の振る舞いを完璧にこなしていた。
何よりテレずに、実に楽しそうに、見事に<ショウ>を体現していた。
アタシはね、そんな有吉を見てて本当に感動した。ああ、こういうことがここまで出来る人なんだって。

しかし非常に残念なことに、有吉を称賛する声が本当に少ない。アタシからしたら「到底不可能と思われていた<紅白再生>を成し遂げた大功労」だと思うのに、そうした意見をほぼ見かけない。
しかし確実に「有吉弘行」という名前はアタシの中にある「<笑い>の歴史の1ページ」に書き加えられた。とかクサい書き方をしてしまったけど、間違いなく現今、二十一世紀を代表する<笑い>の人、それも「その中のひとり」ではなくトップに位置する存在になった。

そしてもうひとつ、あくまで結果論でしかないけど、多忙な有吉にここまでさせたNHKのスタッフにも感服した。
本当にNHKのスタッフが考えたかはわからないけどど、結果として、有吉に八面六臂の活躍をさせることで「ショウに相応しいリズムが出た」し、2023年とほとんど同じ構成の「白々した歌番組」が紅白本来の「ショウ番組」になることが出来た。

ま、だから有吉におんぶに抱っこだったのは事実だけど、紅白が甦ったのは紛れもない事実なんだから、もうこれは、褒めなきゃしょうがないでしょ!







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