プロ野球球団もいち企業
FirstUPDATE2024.12.9
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先週、FAについて書いたけど、ああやって書いてみてわかったというか、プロ野球球団も所詮はひとつの企業なんだなって。

今のプロ野球には育成制度というものがありますが、あれって一般企業に置き換えたら「契約社員登用の可能性アリのバイト」なんですよ。あ、言うまでもなく支配下選手は契約社員ね。
いやバイトはバイトで、企業としての規模が大きくなればなるほど重要だとは思うんだけど、契約社員登用の可能性をチラつかせながらバイトを山ほど雇うとか、それ、本当に正しい<やり方>なの?と思ってしまう。
バイトも下手に契約社員登用があるから変な色気があるし、それが単純に仕事ぶりだけの評価ならいいけど、んなもん「なりふり構わず」となったらゴマのひとつも擦らない方がおかしい。

それでも少数精鋭ならまだ純粋な実力主義でイケるかもしれないし、管理する側もバイトの能力の見極めも出来るはずです。
でもね、数が多すぎると全員の能力掌握とか到底不可能で、わかりやすい数字に頼るようになってしまう。でも所詮は数字は数字なので「伸びしろ」まではわからないですよ。
ソフトバンクなんかもう完全にそうなってる。戦力過多になりすぎて、もはや個々の伸びしろまで見極められる状態にない。あんな意味のないこともないですよ。

こういう具合にね、実は一般企業って「プロ野球球団をモデルケースにしやすい」のです。
何たって、これだけガラス張りの、すべてがオープンになってる企業なんてプロ野球球団くらいしかない。
例えばFAで優秀な選手を引っ張ってくるなんて他企業からヘッドハンティングするのと一緒だし、人材の育成、という面でも「どういう育て方をすれば人材が伸びるのか」が完全に可視化されているわけで。

また力の衰えたベテランの扱いとか、もう参考になることが山のようにあるんですよ。
ベテランなんて「敬意を払いながらも一線からは退いてもらう」成功ケースも失敗ケースも無限にあるし、それを参考にしないのはどうかしてる。
社会人とプロ野球選手は違う?そうでもないよ。もし違うとするなら引退時の年齢くらいで、プロ野球選手ならセカンドキャリアを考慮する必要はあるけど、というくらいです。

昨今は球団がクビになった選手のセカンドキャリアを用意するケースも増えてきており、より安心して選手として全う出来る環境を整えつつある。
それは一般企業も一緒で、会社によって合う合わないは絶対にある。もちろんマジモンのクズは別だけど、合わない、という理由だけで退職する場合、企業が「次の勤め先」を探す手伝いをするのも今後デファクトスタンダードになるんじゃないか、という気がする。

そういう意味では昔の方がもっと「人間対人間」の色が濃く、辞めていく社員に「次は決まっているのか。もしアテがないならお前に合いそうな企業があるんだが」みたいな話が多かったように思う。
あまりにもドライになりすぎると、結局は会社として成長出来ないと思うんですよ。何だかドライな方が正しいみたいに思ってる人もいるのかもしれないけど、とんでもない。これは単純に損得勘定で考えても「人間がやること」な以上、一定のウェットさも必要なんです。

というかね、必要以上に自分のプライベートを大事にしようとしたり、社内の人間関係を疎かにしたりする人間なんて、時代関係なく「たいして必要な人材じゃない」と思うんですよ。
これもプロ野球を見ればよくわかる。元DeNAのバウアーがMLBに復帰出来ないのは「そこ」が極端に欠けているからで、会社というよりは「組織」として何かを成し遂げようとする以上、組織の一員という意識が極端に希薄な人間は重用しようがない。

また田中将大の所属先が決まらないのも昨年の例の件が大きいと言われている。
力の衰えたベテランでも活用する術はあります。しかしさすがに、過去に組織に属する人間としてあるまじき行動が公になってたら、やはり二の足を踏んでしまう。つまり組織の一員という意識が希薄かはともかく「軽く」考えてる人間は如何に立派な実績があっても「ウチの組織に入ってくれ」とは思わないと思うんですよね。

ベテランだけじゃなく若手の扱いも参考になる。
よく「出世なんかしたくない。給料は今くらいでいいからずっと平社員でいたい若者が増えている」なんてニュースが流れてきますが、この手のニュースの真偽はともかくとして、これがどれだけ不可能なことか。
上手くなりたければ、一軍で活躍したければ結局は自分が頑張るしかないんですよ。
そしてそれと同じように、儲からないしスポットライトも浴びないまま20年も二軍で現役を続けることも不可能なんです。
つかこれって「自分は永遠に若いまま」だと勘違いしてるんじゃないか。40代50代になって平社員なんて、組織にとってどれだけ邪魔な存在なのか想像出来ないのかね。

そもそも老害なんて言葉が蔓延るようになったのって「自分は永遠に若いまま」と考える人が増えたからなんじゃないか。
プロ野球にも、どこの球団であっても「永遠の若手」と呼ばれる選手がいる。でも「永遠の若手」になるのも大変なことで、何らかの光る箇所があるから球団も雇い続けてるんだと思う。逆に言えば光るものもない、一軍で戦力になりたいという欲もない、選手間のコミュニケーションよりもプライベートの方が大事、と思う選手とずっと契約し続けたいと思う?

暴力的指導がダメだとか、強制的な長時間拘束はダメだとか、その辺はね、わりとどうでもいいんですよ。
今は体育会系の典型であるプロ野球でもそうなってる。でも、だからといって「選手を甘やかす」チームは強くなれない。
結局ね、「三原マジック」という言葉で有名な名将三原脩の<やり方>が最適解な気がする。
三原脩は徹底的な放任主義で、選手を大人として扱った。だから二日酔いで球場に来ようが何も言わなかったらしい。
しかしそれで結果を残せない選手は容赦なく切った。つまり「自由と責任」を貫いたのです。

そこまでプライベートが大事なら、やるべきことをやらやきゃ。その「やるべきこと」というのは「上司に言われたこと」じゃなくて「どれだけ組織の一員として貢献出来るか」を考えること、そしてそれを可能な限り実行することです。しかもその貢献の度合いを自分で決めてはいけない。決めるのは周りです。
そこさえわかっていれば、別に好きなようにやればいいと思うし、実際、井川慶とか山本昌とか「ちゃんとやってた人」はプロ野球選手でありながら趣味の世界にも没頭出来たんだし。

ま、エラそうに言ってるけど、アタシは完全な組織人失格人間なんでね。でもだからこそ思う。プロ野球を見てて、それも試合を見て楽しむだけじゃなくてプロ野球球団という組織を見ていると、ああ、もう自分のやってきたこととか、てんでダメだったんだなって。
というかさ、これはスカウトとかもダメだと思うけど、プロ野球選手になる=自分が活躍することを夢見るのは当たり前として、同時に「野球でカネを稼がなきゃいけない立場になった」、「組織の一員になった」、「組織の一員として相応しくない言動があれば簡単に「プロ野球選手」という立場でなくなる」というのをもっと強烈に植え付けるべきだと思う。ましてや高校生であればなおさら。

そこをしっかりわかった上での「自由」ですよ。つかそれも窮屈と感じるなら、個人でやりなさいよ。野球は個人スポーツじゃないけど、個人スポーツに転向しなさいよ。社会人であれば起業しなさいよ。マジで。







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