いやね、板チョコってすごくないですか?もう、あれってただ「チョコレートを板状にして固めてるだけ」ですからね。あんな<純>という言葉が似合う菓子もない。純露よりもよほど<純>です。
で、ですよ。何か他のね、ビスケットなんかと組み合わせたようなものではない、とにかく<純>にチョコレートだけを食いたいんだ、となったら、やっぱ板チョコが一番いい。
んで、じゃあどの板チョコを選ぶか、となったら、わりと問答無用で↓だと思うんですよ。
板チョコと言えば明治。同じく大手菓子メーカーで明治の板チョコに負けないくらい歴史のある森永の板チョコでさえ所詮は二番手グループでしかない。
だから、もう、他の大手菓子メーカーは<純>な板チョコすらほぼない。例えば「ダース」のように粒に分かれていたり、さらに不二家のLOOKみたいに<アンコ>が入ってたり、グリコで言えばGABAのような、いわば機能性菓子に、といった具合で、正面衝突の勝負を避けてる感があるわけでして。
ではです。まったく無名の、聞いたことがないような中小メーカーの板チョコがあったとして、いったいどれほどの人が手に取るのかって話です。
明治の板チョコはコンビニで税込180円くらい。で、無名メーカーの板チョコが税込100円でもまず売れない。ま、さすがに50円ならそこそこは売れるかもしれないけど、いくらなんでも薄利多売すぎる。当然売値をそこまで下げてしまうと品質を下げざるを得ないから「安かろうマズかろう」になってしまうわけで、結局は商売として失敗すると。
まァ、何が言いたいのかと言えば「絶対的王者のいる板チョコで勝負するとか、何を考えてるんだ」ってことになるんですよ。
チョコレート業界でやっていくなら「板チョコ勝負」はあまりにも無謀すぎる。それよりも、ちょっとトリッキーかもしれないけど「変なモン出しやがって」みたいな商品で知名度を上げる方がまだだいぶマシです。
それこそ「チョコレートでコーティングされたイカゲソ」とかね。想像しただけで気持ち悪いけど、少なくともこれなら競合相手がいないので極端に値段を下げなくて済む=品質を落とさずに済みます。
イカゲソはダメだった。ならば次は酢ダコだ、とかね。んで散々、試行錯誤して「チョコレート+チョコレートに合わなさそうな変なモノ」の組み合わせでついに一発当てることが出来た。
そうなった時点で初めて<純>と言える板チョコで勝負をかけられる。「あの変なモノしか出してないメーカーが、ドストレートに板チョコだと!?」となって、やっとそれで手にとってもらえるようになると。
知名度だけの話じゃない。ノウハウも設備も万全の大手に中小が立ち向かおうとするなら、正攻法ではまず無理なのです。
もちろん、ハナから立ち向かうつもりがないのであれば別ですよ。少量生産で、高額かもしれないけど本当に美味しいモノを作って、なんて考えてるならそれはそれで素晴らしい。でも「勝てないまでも同じ土俵には上がりたい」となったら、ややトリッキーな商品であっても、絶対に大手がやってこない、つまり強力な競合相手がいない市場で勝負するしかないのです。
いったい何の話をしてるんだ、と思われるかもしれませんが、これはウチのYouTubeチャンネルの話です。
まずはここ10本の動画の再生回数ランキングを。ただし最新作で現時点では大コケしてる「貸間あり」はまだ公開から1週間経ってないこともあって除外しているので正確には9本になりますが。
【MovieImpression】植木等と学ぶ昭和史・戦後編「日本一の裏切り男」(1968年・東宝/渡辺プロダクション)vol.1
4282回視聴
2位 【MovieImpression】東宝+ユニオン映画=ピンク旋風「ピンクレディーの活動大写真」(1978年・東宝/T&Cミュージック)
4177回視聴
3位 【MovieImpression】その男、狂人につき「喜劇 昨日の敵は今日も敵」(1971年・東宝/渡辺プロダクション)
1820回視聴
4位 【MovieImpression】或る大阪の家族の肖像。上方芸人総出演「じゃりン子チエ 劇場版」(1981年・東宝/東京ムービー新社/キティミュージック)
1110回視聴
5位 【MovieImpression】ファンタジー時代劇の極北「水戸黄門」(1978年・東映/俳優座映画放送)
982回視聴
6位 【MovieImpression】ミスターは演技もイケる!「ミスタージャイアンツ 勝利の旗」(1964年・東宝/東京映画)
629回視聴
7位 【MovieImpression】ドリフ流・人間関係の笑い「ドリフターズですよ!特訓特訓また特訓」(1969年・東宝/渡辺プロダクション)
363回視聴
8位 【MovieImpression】スオミのはなしは信じるな「スオミの話をしよう」(2024年・東宝/フジテレビ)
255回視聴
9位 【MovieImpression】てかさ昭和って何?「ALWAYS三丁目の夕日」三部作(2005 - 2012年・東宝/「ALWAYS三丁目夕日」製作委員会)
220回視聴
こうして見れば一目瞭然だけど、比較的近年に作られた「スオミの話をしよう」と「ALWAYS三丁目の夕日」がワーストワンツーを独占しています。
2024年時点において、「スオミの話をしよう」と「ALWAYS三丁目の夕日」は「誰もが知ってる」と言い切るには心細いけど、それでもそれなりに知名度がある作品です。
一方、「喜劇昨日の敵は今日も敵」や「ミスタージャイアンツ勝利の旗」は「マニアくらいしか知らない」と言ってもよく、正直知名度は比べものにならない。
にもかかわらず、「スオミの話をしよう」や「ALWAYS三丁目の夕日」チームよりも「喜劇昨日の敵は今日も敵」や「ミスタージャイアンツ勝利の旗」チームの方が圧倒的に再生回数を稼いでいる。
さらに回っている「日本一の裏切り男」や「ピンクレディーの活動大写真」もけして知名度が高い映画とは言えない。下手したら「ALWAYS三丁目の夕日」の1/10以下かもしれない。
にもかかわらず再生回数は20倍以上を稼いでいるわけで。
先日友人に会った時に
「もっと有名な作品をやった方がいいんじゃないか。みんなが知ってる作品の方がパイが大きい」
みたいなことを言われたんだけど、申し訳ないけど否定させてもらった。それは違うと。
パイが大きいというのはそれだけ競合相手が多いということを意味します。しかも競合相手はウチのチャンネルなんかよりもはるかに知名度のあるチャンネルです。
有名チャンネルとの真っ向勝負をしたって勝てるわけがない。だからウチは隙間を狙う、と。もっとはっきり言えば、今後はさらにマイナーな作品を狙っていく、とね。
つまりね、ヒカキンとかはじめしゃちょーであれば「板チョコで勝負出来る」んですよ。
でも泡沫チャンネルでしかないウチのチャンネルが板チョコを作っても勝てるわけがない。だからイカゲソにチョコレートをコーティングするのだ、みたいな。
実はチャンネルを始める前まで「そんなことを言っても板チョコで勝負出来るんじゃね?」と思っていた。だからあらかじめ「三丁目の夕日」は候補に入れていたし、具体的な作品名は決めてなかったけど「最新作をやる」ことも決めていた。他にも「シン・ゴジラ」や「ゴジラ-1.0」も候補には入ってたんです。
でも<数字>がすべての答えを出してくれた。
おそらくアタシが「シン・ゴジラ」や「ゴジラ-1.0」の動画を出しても「三丁目の夕日」の二の舞いです。つまり絶対に(再生回数という面では)失敗する。
むしろ、今まで取り上げた映画よりもさらに知名度が低い新東宝や大映の作品を取り上げた方がまだ再生回数が回る可能性を秘めている。ま、「貸間あり」が現時点でダメな時点ではそうとも言い切れないけど。
もちろんね、ウチのチャンネルの登録者数が増えて「今なら板チョコで勝負出来る」となったら別ですよ。でも現状で言えば「板チョコは出しちゃダメ」くらいに考えておいた方が賢明です。
あとこれ、ものすごく誤解されそうなんで書いておくけど、アタシはネタ切れが心配だから「古めの邦画中心にやろう」と思っただけで、元ネタとなる映画なんて何でもいいんですよ。
だからもし「新しい作品の方が再生回数が稼げる」となったら古い映画なんかやんなくなってもぜんぜん構わない。この前も書いたように、何だったら洋画でもまったく構いません。
その辺のこだわりはマジでゼロです。ま、動画の作りやすさという観点で言えば新しい作品ほど掘り起こしづらいんだけど、それでもそっちのが圧倒的に再生回数が回るとなったら方針転換してもいい。
マジ、ネタなんて何でもいいんですよ。どのネタを選ぼうがどう料理するかは自由に出来るわけだからね。