NothingというUK、つまりイギリスのブランドがあります。最近では日本でもNothingPhoneシリーズを発売するなど、そこそこの知名度が出てきました。
Nothingは2020年創業という文句なしの新興企業なのですが、変な話、たった5年足らずでここまでの知名度を獲得したのはたいしたものです。
ではそれまで、イギリス発祥で有名なスマホメーカーがあったのか、というと、皆無だった。というかそもそもヨーロッパ企業自体がITのイメージがまったくない。比較的日本での知名度があると思われるノキアとかエリクソン(かつて「ソニーエリクソン」として共同で携帯電話やスマホを開発していた)はどちらも北欧の企業であり、じゃあEU諸国やイギリスは?と言われても大半の人は思い浮かばないはずです。
イタリアのオリベッティやイギリスのシンクレアなど、かつてのマイコン少年ならわかるかね、くらいのレベルで、しかもどちらも現存していない。他はドイツのシーメンスくらいか。シーメンスは現存してるけど、日本での知名度はほとんどないし。
つまりです。イギリスとEU諸国はかなり昔から「ITはアメリカ全頼り」だったんです。わずかに日本メーカーの製品も輸入されてましたし、日本メーカーからヨーロッパ仕様のマイコン(パソコン)も発売されていたけど数は少ない。
そんな中、イギリスに孤軍奮闘するメーカーがありました。
それが「Amstrad」。いやほとんど聞いたことないでしょ。つかアタシも、少なくとも12年前までは知らなかった。
ちなみにAmstradは「一応は現存する」ようですが、もうパソコンも作っていない。たぶん本国イギリスでさえ「忘れ去られつつあるメーカー」みたいな認識のはずです。
後でもう一度Amstradの話が出てきますが、何が言いたいのかというと、少なくともイギリスはIT先進国ではない。
聞いたところによると、2000年代末まで「超低機能なガラケー」しかなく、わずかに好事家のビジネスマンがBlackBerryを使ってるという状態に過ぎなかったのが、iPhoneの出現で一気にiPhoneへ流入した、そんな感じだったらしい。
アタシが初めてイギリスを訪れた2011年時点で言えば、半分は超低機能ガラケー、1/4がBlackBerry、1/4がiPhoneといった感じでした。
しかし翌2012年春に訪れた時には様相がガラッと変わっており、8割以上がiPhone、というふうに見えた。つまり猛烈なスピードで「置き換え」が起こっていたのです。
ちなみにこの旅でアタシは当時日本未発売だったiPad3のSIMロックフリーモデルを購入している。これは相当後々までFaceTime専用&風呂での動画視聴端末として活躍してくれました。
で、ですよ。2012年8月から2013年2月までの、アタシがロンドンに滞在していた頃のIT事情はどうだったかをね、ちょっと書いていきます。
そうは言っても何しろIT後進国なんですよ。面白いものなんて何もない。つか当時日本のコンビニすら当たり前のようにあったmicroUSBケーブルが売ってなくて、散々探し回ったことさえありました。
何しろまともなPCショップはおろか家電量販店すらなく、いったいこっちのナード(≒オタク)はどこで買い物してるのか、と訝しく思ったくらいです。
そんなタイミングで、アタシはヴィクトリア&アルバート子供博物館に行った。ちなみに現在は大幅に改修されて「Young V&A」という名称になっているようです。
その名の通りの、いわば「オモチャ博物館」で、大半が「電気(電池)を使わない系」のオモチャだけど、わずかながら「ある意味オモチャ的」「子供が使うことを想定して作られた」マイコンも展示してある。
その中のひとつが、先ほど触れたAmstradから発売されていた「Amstrad CPC 464」で、しかしまったく見たことも聞いたこともなかった。しかし何だか異世界のマイコンを見るようで、非常に興味深く、ケースに入ってるから触ることは出来ないんだけど、一回起動してみたいと思った。
ここに展示はなかったけど、シンクレアのZX81はね、日本でも発売されていたのですよ。だから知ってたけど、この「Amstrad CPC 464」はマジ知らなかったからね。
とにかくテープレコーダーが「あそこ」に付いてるってのがね。初期のMZシリーズっぽいというか、テープレコーダーではなくフロッピーだけど、ソニーのSMC777を彷彿とさせるプロダクトデザインはなかなかに惹かれます。
さてさて、では他、IT関係で、となると、マジでないのよ。
たしかに数は少ないとはいえPCショップも中古PCショップも発見することは出来たんだけど、そもそも絶対数が少なくて興味を惹かれたものがほとんどない。
それでもね、とある、いや場所は書いちゃっていいか。
ロンドンにシェパーズ・ブッシュという地域があって、そのほど近くにウェストフィールドという巨大なショッピングモールがあります。ここの中にあるAppleストアで徹夜で並んでiPhone5を手に入れた、という話は本編で書きました。
しかしもうひとつ、シェパーズ・ブッシュにはショッピングモールがあって、こっちはこじんまりしているのですが、そこに中古PCショップというか中古モバイルショップがあったんです。
そこでね、日本未発売の「XperiaX10mini」の中古が売ってて、衝動買いしてしまった。たしか70ポンドとかそれくらいだったんじゃなかったっけ。
当然のことなから、何しろ当時最新だったiPhone5を持ってたんで、コイツをスマホとして使おうとはまったく思ってなかったんだけど、何かオモチャになればいいな、と。
実際はオモチャとしてもほとんど活用出来なかったのですが、ひとつだけ印象的なことがあって、ヘッドフォン端子から出力される音がね、異様に良いんですよ。たぶん今まで使ったことがあるスマホの中でもナンバーワンだと思う。もちろんバイアスとか記憶のすり替えの可能性もゼロではないけど、とにかくあのコンパクトサイズで、なのに「やたら良い音」というのは激しく印象に残っています。
ま、ほぼこんなもんなんですが、もうひとつ、あまりにも面白いアイテムだと思って購入したのが↓です。
ま、イヤーマフなのですが、何とヘッドフォン機能付きのイヤーマフで、とにかくロンドンの冬は寒いんでね、これはかなり活用させてもらった。
素晴らしいのがケーブルが取り外し式になってるところでして、純粋なイヤーマフとしても使えるし、ケーブルをつなげればヘッドフォンになるという仕組みが素晴らしい。
今では日本でもイヤーマフ型のヘッドフォンがAmazonなんかでは売ってて、しかもBluetooth接続だからより簡単にはなってるみたいだけど、ぜんぜん売れてないみたいだし(レビューがひとつもないのが大半)、とにかく2012年ということを考えれば画期的だったと思う。
あ、当然のことながら音質は<お察し>ですよ。
こんなもんかなぁ。しかしイヤーマフ型ヘッドフォンはもっと売れてもいいのにね。あくまでメインは防寒で、その気になれば音楽も聴けるってメチャクチャ良くない?