いやもう、ナメてもらっちゃ困りますよって話で、サンリオキャラのイベントですよ?しかも東京国立博物館での開催ですよ?ここまで条件が揃ってたら、そりゃあ、もう、ね。
てなわけで11月16日、まだ完全に風邪も治りきらないタイミングで、行ってきましたよ。上野くんだりまでね、ええ。
まずはハローキティの前に東京国立博物館ですよ。前にも行ったことがあるっちゃあるんだけど、やっぱここはモダニズム建築好きにはたまらない。もう重厚感が尋常じゃないレベルで、カッコいいにもほどがある。
つかね、上野近辺には何故か戦前期以前の建築っつーか普通に賃貸されてる物件が結構あるんですよ。いつか借りたいと思ってるけど、現実問題、難しいかねぇ。
それはともかく、やっぱハローキティの人気はたいしたもので、何たってサンリオキャラ多しと言えどワールドワイドに人気があるのはハローキティのみ。実際、アタシがよく知るイギリスでもハローキティグッズは普通に売ってるし、イギリス在住の中学生の姪っ子に聞いてもハローキティならばクラスメイトの大半が知ってるそうな。
当然のことながら母国での人気は言わずもがななのですが、実はハローキティが「サンリオ不動の四番打者」になったのはグッズ展開を開始してから何と10年後!つまり10年もの下積みがあったわけで。
上記の動画を作る時にあらためていろいろと調べてみたのですが、初期の人気キャラは他社版権モノのスヌーピーやオラーシオであり、自社開発のキャラでもパティ&ジミーやリトルツインスターズ(キキララ)のほうが圧倒的に人気面で上回っており、後にサンリオを支えることになるハローキティやマイメロディ(当時は「赤ずきんちゃん」)は二番手グループ以下だったわけで。
今回のイベントは以前やった「サンリオ展 ニッポンのカワイイ文化60年史」とは違い、完全にハローキティそのものを堪能してもらうという構成になっていました。
それでも若干ですが歴史的な補足もあって、ちゃんとね、タイニーチャムへの言及もあるのが素晴らしい。そうなんですよ。ハローキティが不動の四番打者に駆け上がることが出来たのはタイニーチャムあればこそなんです。
個人的にちょっと意外だったのは、重厚感きわまる東京国立博物館とハローキティの相性の良さで、行く前は「ミスマッチ感が面白い効果を出してるんだろうな」と思っていた。
でも実際に中に入ると思いの外ミスマッチ感がなく、東京国立博物館という歴史的建造物の中にハローキティが違和感なく溶け込んでいる。
むしろ「ここだけ浮いてるな」と思ったのがイラストレーターというか新進のアーティストとハローキティがコラボした作品を展示したコーナーで、本来であればアート的なモノの方が「映(バ)える」場所なのに、ちょっとね、うーん。
流行の<絵>なのはわかるんですよ。でも、どうも、個人的には今流行りの絵とはちょっと違う気がするし、何より発想の飛躍がなさすぎてファンアートの域を脱していない。
つまり施設がモノホンすぎるので、この「ハンパな、軽い感じ」が浮いていたと。
もしかしたら主催者側から「あまり突飛ではないものを」という注文があったかもしれないんで作者の人たちを責めるのは酷かもしれないけど、それにしても、その範囲内であってももっと「遊べた」と思うんですよね。
これね、逆の言い方をするなら「サンリオキャラとしてのハローキティ」は一切浮いてなかった、ということです。
とにかくサンリオキャラは「大人の男性」から莫迦にされやすい。何だあれは。ダサすぎる、と。
でもアタシはそのことにずっと異論を唱えてきた。これでも、端くれとは言えデザインをやってるわけで、また一時期はアートもやってたわけで、アタシなりの理論でそれは違うと言い続けてきたんです。
でも今回のイベントはアタシが言ってきたことの証明だった気がする。
もう一度言います。場所は東京国立博物館です。イベント会場となったのは表慶館。建立は何と1909年。もう100年以上前に建てられた重厚感モリモリの施設です。
そんな会場であってもハローキティそのものだったりハローキティグッズは浮いていない。どころかアタシはハローキティからある種の格式だったり箔のようなものを感じた。さすが毎年のように大型新人があらわれるサンリオでずっと四番打者を張ってるだけのことはあるな、と。
何だか「デ◯ズニーキャラは許せるしまだオシャレにも見えるけど、サンリオキャラはダサいだけ」みたいな風潮って、ホント、ただの風潮でしかないと思う。
ちゃんと「デザイン」を見てないでしょ?色遣いとか線のシンプルさとか、冷静に見ればダサい要素なんかほとんどないのよ。
もちろん<好み>の問題はあるからね、サンリオキャラが嫌いと思う心理は十分理解出来る。でもそんな簡単にダサいと切り捨てられるほど劣ったデザインじゃないですよ。マジで。
ま、これも<好み>の問題でしかないけど、それでも個人的に「サンリオなんかより百万倍ダサいのに「オシャレ」「カッコいい」と持て囃されている」と思うモノなんていくらでもあるからね。それがはっきりしただけでも今回のイベントに行って良かったと心から思う次第で。