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ロンドンライフに花束を
FirstUPDATE2024.10.18
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 さあ、いよいよ、ロンドン生活がはじまって、というようなことを書いて行こうと思うのですが、まだひとつ、積み残しがある。コイツを片付けておかないとマズいんでね。

 アタシが日本を出発する日は8月末と決まって、いったいイギリスまで何を持っていくか散々思案していた頃です。
 とにかく「日本にいる間にやっておかなきゃいけないこと」が多すぎて、出発の一週間ほど前からアタマのナカは完全にパニック状態だった。
 言っても日本とイギリスは遠い。片道12時間はかかる。んなもん、忘れ物をしたからと言って気軽に取りには戻れない。だからもう、ナーバスになりすぎて、精神的にかなりヤバい状態だったんです。
 そういうメンタルの時は何か<やらかし>がちで、案の定、交通事故を起こしてしまった。出発のわずか5日前のことです。

 ただしこの事故、アタシが必ずしも加害者というわけではなく、非常に微妙だったんですが、何しろアタシはもうすぐ日本からいなくなる。んなもんさすがに、事故があったからってすべての予定をキャンセルは出来ない。
 とにかく、相手さんにも警察にも保険会社にもすべての事情を説明して、一旦はペンディングということになった。
 なったんだけど、相手さんが急に態度を変える可能性もあり、ぶっちゃけイギリスに到着して一週間ほどはマジでビクビクしていた。万が一「やっぱり裁判するから日本に帰って来い!」なんて話になったらすべてが終わってしまう。
 てな感じで、着いてすぐで「コレ」です。つか出発する日の時点からビクビクしていたわけで、もう出だしからしてサイアクだったと言ってもいい。

機内食。何しろ飛行機に乗ってる時でさえ常に緊張状態だったんで、まるで味がしなかったことは憶えている。というかこの茶色のは何だ。リゾットか?

 次にビクビクしたのが家です。
 最初は日本で言うところの下宿っつーかホームステイみたいな感じでね、っても食事は出ないし部屋を借りてるだけに近いんだけど、それでも一軒家のお宅の中に部屋はある。
 何しろアタシはこの時点ではまるで英語が喋れない。ま、今も似たようなもんだけど、いったいこの家の主人に、そして他のルームメイトに、どのように挨拶していいのかもまったく見当がつかない。一番最初なんかなかなか家に行く勇気がなくて、家の周りを小一時間ウロウロしてたくらいです。
 ま、最初の挨拶だけはメチャクチャ頑張った。

 でも以降は、とにかく家人にも、ルームメイトにも、可能な限り顔を合わせないように徹底した。
 つかさ、何で普通に生活するだけで、ここまでビクビクしなきゃいけないってどうなってんだよ。顔を洗いに行くのさえ、誰もいないことを見計らって、とか、これでメンタルがやられない方がどうかしてる。

あてがわれた部屋。こうやって見るとかなり良いんだけど、この部屋に入ったが最後、トイレに行くのさえビクビクしてるんだから、トータルとして「落ち着けた」ってことはまったくない。

 食事も、キッチンは自由に使って良かったんだけど、んなもんキッチンなんかに行ったら絶対誰かと顔を合わせることになるからね、だからアタシはスーパーでクソ安い電気ケトルを買ってきて、つまり「お湯だけで何とかなる食品と、たまの外食」ですべてをまかなおうとしたのです。
 せめて積極的に甘いものを口にしようと思って、朝はシリアルバーみたいなのを食って、昼飯はサンドイッチかなんか、んで夜はパンと電気ケトルで作れる粉末スープ。たまにスーパーのデリで買ったお惣菜。
 うーん、あらためてこうやって書くと悲惨レベルでヒモジいな。つかさ、絶望的すぎるわ。
しかもですよ、これが日本であればまだマシだったかもしれないけど、何しろイギリス、ロンドンです。サンドイッチもパンも、粉末スープさえも、日本のより(少なくとも日本人であるアタシには)数段劣る味で、遜色ないのは毎朝食ってたシリアルバーくらい。そのシリアルバーにしたところで、そもそもアタシは日本にいた頃、んで帰国してから、もちろん今もですがシリアルバーなんかそうそう食べないですよ。だって別に好きじゃないから。
 それでもこの時期においては「とりあえず一番美味いのがシリアルバー」というね、マジとんでもない状況になっていたのです。

この頃の夕食。なんだけど、これなんか相当豪華な部類なんですよ。何しろ缶のウォッカとか置いてるくらいだから。つかたぶん、久々に豪華な夕食だったから写真を撮ったんだろうね。

んで普段はこんなの。さすがにスープだけってことはないけど、あとはせいぜいパンがあるくらいのヒモジさ。
あ、クックドゥの香味は日本から持ってきたヤツです。つか「いるか?」と思いながら荷物に紛れ込ませておいて本当に良かった。

当然外食もしてる。でないとマジで死ぬから。
写真ではまずまず美味そうに見えるけど、とにかくロンドンって中華が絶望的にダメなんですよ。だから、ま、実際の味はお察しで。

プレタマンジェはロンドンによくあるサンドイッチ屋兼カフェで、一時期は日本にも進出してたらしい。
わりとすぐに撤退したようですが、実際に食ってみるとよくわかる。別に食えないほどマズくはないけど特徴がない。というかロンドンでプレタマンジェと言えば「サンドイッチが食いたい」から行く店ではなく「とりあえず小腹を満たしたいから」行く場所なんだよね。

出ましたワサビ!
ワサビはテイクアウェイ(テイクアウト)専門(イートインスペースがある店舗もある)の日本食系の店だけど、ロンドンの「お気軽日本食」の店の中では相当マシな部類なんですよ。
今もイギリスに住む姪っ子に言わせれば、ワサビはまァギリギリ、アリ。しかしワガ◯マだけは許せないくらいダメ、という判断なのですが、そりゃあ姪っ子はそれなりの頻度で日本に来てちゃんと美味い日本食食ってるもん。その味を知ってたらイギリスの日本食なんて、となるのも当然です。

 しかしこんな状況でも楽しみはありました。
というかこれは結構切実な話でして、早急に何とかしなきゃいけない&メチャクチャ楽しみの両方を兼ねたイベントがあった。
 それがiPhone5の発売です。
 当時、アタシが使っていたのは2011年1月に購入したiPhone4です。いつくらいまでだったか、iPhoneを扱っていたキャリアはソフトバンクしかなく、もちろんその時点でソフトバンクと契約した。ま、それまで使っていたウィルコムを止めたわけじゃないので「買い増し」になるのですが。
 ソフトバンクで購入した、ということは当然のことながらSIMロックがかかっている。つまりイギリスでSIM契約してiPhone4に挿しても使えないということを意味します。
 「旅行」であればローミングで十分なのですが(実際、それまでの3回のイギリス旅行の時はすべてローミング)、滞在、となるとローミングでは料金的にも厳しい。

 何か方法はないか、と、まずアタシはイギリスの電波が掴めるモバイルWiFiルータを買った。というかSIM契約をした。

 とりあえずコイツさえ持ち歩けばネットにはつながる。んだけどWiFiでつないでるだけなので電話は一切使えない。当時はまだLINEなどの普及前でしたし、イギリスではメジャーなWhatsAppも通話では誰も利用してなかった。(現在ではWhatsAppも通話が出来るけど、この時点で通話機能があったかは不明)
 他にもiPhoneとモバイルWiFiルータの両方のバッテリー管理をするのも面倒だし、これはもう、一日も早く何とかしたいと。
 ちょうど、そんなタイミングで待望のiPhone5が発表された。イギリスではすでにSIMフリーモデルが販売されており、とにかく、iPhone5を購入すればすべてが解決する!とね。

 もはや「iPhone発売に合わせてアップルストアに並ぶ」という光景もなくなりましたが、日本でさえこんなことがあったというか有名なネットミーム画像がありますからね。

 アタシも発売日前日の夜からアップルストアに並ぶことにした。
 ロンドンにはいくつかのリアル店舗がありますが、アタシが選んだのはシェパーズ・ブッシュの「ウェストフィールド」というショッピングモールの中にある店舗です。

 何でここの店舗にしたのか、それは「まだ9月だと言うのにロンドンが寒かった」ことに他ならない。
 イギリスに到着した8月末の時点で「こっちはずいぶん涼しいな」って感じだったのですが、9月の半ばくらいになると「寒い」という感じになって、とくに夜になるとだいぶ冷え込んだ。
 そんな寒空に夜中並ぶのは嫌だし、言っても海外ですからね、やっぱ外で一晩中というのは怖い。
 ショッピングモール内の店舗だからってどこで並ばされるのかはわからなかったけど、もしかしたらショッピングモールの中で並ぶことが出来るかもしれないわけで、可能性が少しでもあるのならば、とここの店舗に決めたのです。

 上手い具合に、ちゃんと施設内で並ぶことになった。
 寒くはないし、何よりひそかに大きかったのがトイレがあることで、もし他の店舗に並んだらトイレに行くことも出来なかったと思う。そういう意味でも大正解でした。
 で、朝の5時くらいだったかな、になると店舗に灯りが点いて、やがてストアの店員が飛び出してきて並んでる人の列を回りながらハイタッチしていく。こういう演出はまさに「欧米かよ!」という感じで、ああ、自分は海外にいるんだ、と強く思わされた。

 もうひとつ、どんどん列がはけていって、あと少しで自分の番、というか店舗内で入れるというところで、まったく、どこの国の人かわからない人が声をかけてきた。ま、アタシは英語がダメだし、英語がダメなアタシでもわかるくらいものすごい訛りようだったのですが、とにかく

「カネは出すから、もう一台iPhoneを買ってきてくれ」

 実際、その人の手には札束が握られていたんだけど、まったく見たこともない紙幣で、どこの国なのか、レートがどれくらいなのか、何もわからない。
 さすがに怖かったので「自分も2台買うつもりなので無理だ(たしかひとり2台までという制限があった)」てなことをGoogle翻訳に食わせて伝えた。
 その人、それにめげるでもなく、オッケーオッケーと言いながら次のターゲットを探し始めた。
 あの人、結局どうなったんだろ。
 ま、何にしろアタシは無事、iPhone5を、それもまだ日本未発売だったSIMフリーモデルをゲット出来たわけで。

実際に並べて見ると幅はおんなじで縦が長い。そりゃそうなんだけど、iPhone5単独で持ってみると、縦の長さは変わってなくて、幅が細くなったように感じるのです。しかもやたら画面が大きく見える。目の錯覚なんでしょうが、実に上手く作ってるといえるんじゃないでしょうか。
もう一つは薄さです。とにかく薄い。今までiPhone4はカードが収納できるタイプの、それでもこのタイプとしては比較的厚みのないケースを使っていたのですが、それでも今見ると、よくもまあこんなに分厚いのを持ち歩いていたなと感じるほどです。

中身はというと、やはり速い。一番体感で違うのがFacebookの純正アプリで、ネイティブアプリになってからiPhone4でもそれなりに速くなったのですが、それでも遅かった。
でもiPhone5では本当にサクサクです。気持ちいいくらい。まあアプリの出来そのものには不満があるんだけど。(2012年9月25日更新「iPhone5を買ってみたわけだが」



 さてさて、あらためて当時のTweetを振り返ると、イギリスに入国した2012年8月29日から同年9月17日までは、それなりの頻度でポストしているのですが、これ以降、パッタリとポストが減る。とくに10月9日から23日までの約2週間は一回もポストしてないのです。
 もちろん「何となく書く気がしなかった」とか飽きたとかではない。この期間、一切何も書いてないのは理由があります。

 話はロンドンに出発する前、2012年6月まで遡ります。
 「語学学校に行けば強制送還のリスクがない」とはわかったものの、では実際、どんな語学学校があるのか、どうやって探せばいいのか、よしんば上手く見つけられたとしてもどうやって契約すればいいのか、何もわからない状態でした。
 そこで代理店に頼ることにした。これであれば多少は割増にはなるとは言え、契約から全部代理店がやってくれる。つまり一番リスクが少ないと判断したからです。
 代理店から紹介された中から、アタシはもっとも安い語学学校を選んだ。ま、ぶっちゃけ、あくまで「強制送還されないため」の方便に近いのだからどこでも良かったし、どこでも良いのであれば安いに越したことはない。
 しかしただひとつ、代理店に確認したいことがあった。それは「ちゃんと卒業出来るほど、毎日学校に通わなきゃいけないのか」ということです。
 これはきわめて重要なことで、何しろアタシは「英語の勉強をするため」にわざわざイギリスくんだりに半年も滞在するわけではない。あくまで「約束された仕事の事前調査のため」であり、毎日、つつがなく学校に通っていたら調査も中途半端になってしまう。

「大丈夫ですよ。語学学校に行ってるという実績があれば、そういうことにはなりません」

 これは言わば、お墨付きです。もう大丈夫。学校なんて気が向いた時にたまに行くくらいでいい。
 それでも実際は、とくにイギリスに着いてすぐはわりとマメに行ってはいたんだけど、もう、すぐに嫌になった。
 しつこいですが念を押しておきます。アタシは英語がまったく喋れない。つか学生時代から英語の成績なんてサイアクだった。
 でもそれで特段、兎にも角にも日本で生活する限りは不便に思ったことはない。当たり前です。だから「英語が喋れない」ことにたいしてコンプレックスを覚えることもなかったわけで。
 いやね、イギリスに在住していたとしても「職場にも学校に通うこともない」のであれば、英語なんて喋れなくても何とかなる。
 すでにイギリスではスーパーもセルフレジが当たり前だったし、支払いもほぼカード。店に入っても注文程度であれば、ひたすら「ディス!ディス!」と言ってればなんとかなる。
 しかし語学学校に通うとなるとそうはいかない。
 クラスメイトとまともなコミュニケーションがとれない。さらにティーチャーの言ってることがさっぱりわからない。つかね、もう、当時は「これはおかしい」とずっと思ってて

「こちとら英語を習いたくて語学学校に行ってるのに、何で語学学校の授業が全部英語なんだ。もしこの授業内容が理解出来るなら、それはつまり「英語がわかる」ということだろ。となったら学校に通う必要なんかないんじゃねーのか」

 と。
 俗に言う「オミソ感」ってヤツですか。
 ティーチャーもね、いろいろジョーク混じりで授業を進めるんだけど、他の生徒は笑っているのにアタシには笑えないどころか何を言ってるのかさっぱりわからない。
 だんだん学校に行くことが辛くなってきた。
 そもそもアタシは英語を学ぶためにイギリスに来たわけじゃない、というのが心の中の「逃げ道」になっていった。
 別に行かなくてもいいんだよ。だって、ちゃんと代理店からお墨付きをもらってるんだから。
 そうしてアタシの登校頻度は目に見えて低くなっていったのです。

 続く。