アップトゥデイトしてないと死ぬ病だったのに
FirstUPDATE2024.9.12
#Scribble #Scribble2024 #テレビ #1980年代 #バブル #テレビドラマ 明石家さんま タモリ 小堺一機 男女7人秋物語 フジテレビ TBS 笑っていいとも! いただきます 予定調和 打開策 安全策 トレンディドラマ リメイク そういうことじゃないよね 単ページ

こないだ某YouTubeに(グレー動画の場合のみ<某>付き)1987年放送の「笑っていいとも!」と「いただきます」の一部のみの動画がオススメに出てきたんで見たのですがね。

要するに明石家さんまが、当時絶賛放送中だった「男女7人秋物語」について喋ってるところだけをより抜いた動画なのですが、これを見てね、もうつくづく思った。
これこそまさしくフジテレビだ!
と。
言っておきますが、「笑っていいとも!」なり「いただきます」はフジテレビの番組です。んで「男女7人秋物語」はTBS。つまり放送局が違う。
当たり前だけどTBSが「男女7人秋物語」を放送している裏でフジテレビも何かしらの番組を放送していたわけで、あざとい言い方をすれば<敵>と言ってもいいわけです。

こんなこと、それまでのテレビの常識ではあり得なかった。もちろん自局のドラマなんかだと出演者が積極的にバラエティ番組に出演してドラマの宣伝をするというのはよくあるのですが、他局のドラマの裏話を面白おかしくする、なんて、下手したらスポンサーを怒らせることにもなりかねない。
だから「それまでのテレビの常識」と書いたけど、これは今でも同じです。もし他局のドラマの話を出演者がするとしても、絶妙にそのドラマの名前を出さないようにしながら上手く話を逸らしていく。それが常識なわけで。

そんなことを言えば、明石家さんまはもちろん、タモリも小堺一機も「男女7人秋物語」という名前は出してはいない。
しかし、ここまであからさまに、仮にドラマを見てなかったとしても「あのドラマの話だ」とわかるワードを入れ込んで、しかも結構長々と話をするなんて、やっぱちょっと考えられない。
たしかに明石家さんまは話を逸らそう逸らそうとはしてるんだけど、それはラブシーンの話を振られたからであり、つまり「ドラマの話をしたくないのではなく、テレる話だから」と言った感じで逸らしてるだけだからね。

たぶん「男女7人秋物語」がっつーか明石家さんまが嚆矢となったと思うけど、これ以降、しばらくはフジテレビにかんしてだけは「番組のタイトルそのものを出さなければ他局の番組の話をしてもいい」という感じになっていたと記憶しています。
こうしたね、掟破りというか、番組として面白くなるのであれば多少の逸脱が認められる、ある意味そこまで系列局を意識することがないラジオに近い感覚でやれるのがフジテレビだった。
こうした堅苦しくなさが予定調和を嫌う若者に突き刺さった理由であり、だからと言って他局は慣習にとらわれて、おいそれとは真似出来なかったのです。

既成概念を打ち破ることを「ま、面白いからいいんでね?」といった軽い感覚でね、それこそ「夜のヒットスタジオ」で歌手たちに<あえて>学芸会レベルのコントをやらせたりとか、そうした「良い意味でのデタラメさ」を局全体の方針として推進したからこそ、低迷期のテレビ朝日とドングリの背比べの民放3位だったフジテレビが1980年代に躍進した理由だと。

ところがどこをどうトチ狂ったのか、かつての勢いがあった頃のフジテレビを取り戻そうと、1980年代から1990年代のヒット番組やヒット企画のリメイクをやる、というトンデモに走ってるわけで。
トレンディドラマの潮流を作ったフジテレビが、まるで他局のトレンディドラマを嘲笑うかのように「トレンディドラマの主役に、あろうことか武田鉄矢を起用する」なんてことまでやったわけで、この頃までのフジテレビは常に「それやっちゃマズいんじゃない?」というギリギリのラインを攻めてた、要するに常にテレビの常識にたいしてアップトゥデイトを繰り返していたと。

つまりね、かつてのヒット番組のリメイクとか、ある意味この頃のフジテレビとは真逆なんですよ。
リメイクなんて安全策も安全策で、ムーブメントを起こすほどのヒットにはならないけど爆死もしない。そんなことをやってフジテレビが復活するわけがない。
たしかに昨今はコンプラコンプラ、SNSSNSの世の中なので難しいとは思うんだけど、それ、テレビでやって大丈夫なの?みたいな、それこそSNSでも賛否が真っ二つに分かれるようなことをやらなきゃフジテレビが復活するわけがない。

何か「踊る大捜査線」のスピンオフが映画になったり「ナースのお仕事」が復活するかもとかいろいろあるみたいだけど、うーん、何でってくらいズレてる。つかさ、誰か局内に「そういうことじゃないよね」と言う人間はいないのかと思う。
もし「時代が時代だからそこまで攻めたことは出来ない」と言うのであれば、それならせめてヒット番組のリメイクは止めようよ。そんなフジテレビらしくない安全策を視聴者はまったく求めてないんだから。

安易な打開策を出しても誰も「そういうことじゃないよね」と言えないって、それは相当ヤバいよ。企業としてね。







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