一回ね、こういうことをやってみたかったのですよ。つまり「果てしなくくだらない、どーでもいいことを徹底的に深掘りする」みたいなのをね。
要するにこのエントリ、更新日である2024年8月18日からちょうど20年前の、2004年8月18日のエントリを弄り倒そうという趣旨です。
このエントリは2023年5月に古いエントリをリエントリしたタイミングでScribble化してあります。
上記リンクを読んでもらうのが一番早いんだけど、さすがに不親切すぎるので引用という形で転載しておきます。
アタシはといえば、冷たいものばかり飲んでいるせいか、ずっと腸の具合がよくなくてこまっています。あんまり酷いので、薬を貸してもらったんです。正露丸ですよ正露丸。だけれども・・・あれ?なんか違う・・・
販売元・キョクトウ株式会社???
発売元・日本薬剤株式会社?????
正露丸なんてラッパのマークしかないと信じていたのに、他にも何社かつくってたみたいなんです。けどパッケージはラッパのマークに酷似している。(現注・言うほど酷似はしてない。下画像参照)
ただマークはラッパのマークではないし、当然ラッパーのマーク・パンサーでもありません。あたりまえだけど。
たったこれだけの話です。
このネタ、ちょうど10年後になる2014年8月18日にもコスってる。つか上記リンクのエントリにもその内容を入れたんだけど、こちらも引用しておきます。
要は正露丸っていろんなメーカーから出てたんだなって話なんですが、まさか、ラッパのマークと、ラッパーのマーク・パンサーとは!
なんだこの天才的な駄洒落。この駄洒落の素晴らしいのは、容易に「お腹が痛くなったマーク・パンサー」の絵が浮かぶところです。
仮に駄洒落になってなかったとしても「ガイコクジン限定で、誰のお腹が痛くなってたら面白いか」でもマーク・パンサーってチョイスは完璧すぎる。
いやぁ、本当、正露丸のCMにマーク・パンサー使えばいいのに。一瞬で15秒CMの構成が浮かんだよ。今何やってるか全然知らないし興味もないけどさ。
もうこの時点で、これ以上コスりようがないくらいコスってるんだけど、この果てしなくどうしようもない駄洒落をね、さらに、極限までコスったらどうなるか、というのが本エントリの趣旨なわけでして。
ま、これ以上、となると「正露丸」と「マーク・パンサー」を個別にコスるしかない。このまったく無関係なふたつを結びつけるのは駄洒落しかないんだから。しかし正露丸とかマーク・パンサーのエントリって成立するのか?正露丸はともかく、引用にもあるようにアタシはマーク・パンサーには何の興味もないのに。
まァいいです。今回はとにかくこれで突っ走ります。
まずは正露丸ですが、Wikipediaにまあまあ詳しい記述があるのでまずはそれから。
1902年、中島佐一が「忠勇征露丸」の「売薬営業免許の証」を大阪府から取得し製造販売をした
(中略)
1946年、大幸薬品は、忠勇征露丸の製造・販売を中島佐一薬房から引き継いだ
1949年、国際信義上、ロシアを「征」するとの字を使うことは好ましくないとの行政指導があり、「征露丸」は「正露丸」と改められた。この際、「忠勇征露丸」は「中島正露丸」に名前を変えている。日本医薬品製造だけは、「征露丸」の名前のままとした
1954年、大幸薬品は「中島正露丸」を「正露丸」と名前を変えた
ま、ざっくりこれで良いんだけど、要するに「正露丸」の元の名前は「征露丸」で、早い話が日露戦争の勝利を記念して「露(ロシア)を征した」から来てたわけです。
それがいろいろと問題になったようで「正露丸」と改名したんだけど、何故か「征」は「正」に変えたのに「露」は「露」のままだった。ってこれじゃあ「露(ロシア)が正しい」って意味になりゃせんのかね。つかどうせなら「正しい路を行く」という意味で「正路丸」とかにした方が良くね?いや何なら「征」はそのままで「征路丸」(路を征する)でも良いかもしれない。
正露丸ってどうも、成り立ちが成り立ちなせいか、わりとずっとモメてるイメージがあって、その後も大幸薬品が「正露丸」を商標登録出願し、一旦は認められたものの結局「「正露丸」は普通名称である」と逆転取り消しになってるし、1999年には週刊金曜日から発がん性物質が含まれていると名指しで批判され(結局これは週刊金曜日側の事実誤認だと判明している)、大幸薬品で言ってもコロナ禍にクレベリンの効能について消費者庁から景品表示法違反に当たるとして措置命令を受けているしさ。
何だろうね、何か呪われてるのかね。
とまあ、今までのYabuniraならこれで終わらせるのですが、それでは到底モタないので、正露丸という名称が普通名称か否か争われた最高裁の判決文を読んで深掘りしてみます。
まず非常にややこしいのが「征露丸から正露丸への名称変更が行われた」という事実です。
少なくとも「征露丸(忠勇征露丸)」は商標として認可されている。つまりもし名前が変更されなければこうした問題は起こり得なかったわけです。
しかもこの名称変更にかんして<国>が一枚絡んでるのがさらに事態をややこしくしている。
もし仮に、本当に厚生省が強権を発動して、と言うと大仰すぎるけど、キチンとした形で行政指導が行われたとするのであれば「征露丸」という商標を失うことになったのは「国の責任」だと言えないこともないんです。
実際、数多の同業他社が「正露丸(せいろ丸など表記は多数)」という製品を発売し始めたのは「征露丸→正露丸」の名称変更がなされた1949年頃からであり「あれ?<征露丸>という名称の商品を出すのはマズいけど、<正露丸>ならアリじゃね?」となった可能性が非常に高いし、実際、この時点で正露丸という商標は認可されてないんだから、ま、法的にはアリっちゃアリです。
しかしこれは大幸薬品からしたらたまらない。
せっかく中島佐一薬房から正露丸の製造と販売を引き継いだのに、「オカミからの命令」で慣れ親しまれた名称の変更を余儀なくされ、しかもその結果、類似名称の製品があふれることになったんだから。
となると「オカミからの命令」がどれほど強制力があったかが問われることになる。
最高裁の判決文を読む限り、行政指導といっても「郵便はがきで通達した」に過ぎず、これを正式な行政指導と言えるかどうか、ということのようです。当たり前だけど重要な通達を封書ではなく郵便はがきで送るわけがないからね。
厚生省はこの「郵便はがき」を郵送した後で商標の問題に気づいたらしく、特許庁に「正露丸」の商標を認めるよう、また類似商品が出回らないように便宜を図ろうとしたらしい。
ま、その頃には「正露丸(せいろ丸)」と名の付く製品が出回りすぎて、もはや普通名称として認めないわけにはいかないところまで行ってしまったわけで、その結果、大幸薬品の商標は逆転取り消しになってしまった。
こうやって見ると、誰が悪いのかと言えば、もう厚生省しかあり得ないのですよ。商標をよく確認もせず、安易に「露を征す?そりゃイカん!今すぐ変えさせろ!!」と言い出して、はがきでとは言え名称変更を通達したんだから。
普通であれば通達を出す前に「国際情勢的に<征露丸>という名称を変えさせようと思うんだが、大幸薬品がつけた新しい名称については問答無用で商標と認めて欲しい」と特許庁に打診してからやるべきだった。厚生省がそうした手順をすっ飛ばしたせいで大幸薬品としてはエラい被害を被ったと。
いやね、それこそライオンが「LION」という商標以外にも「NO17」(逆さにすると「LION」になる由)も商標を取得しているのは有名ですが、さすがに時代が違うよね。そこまで、類似名称を含めて全部抑えておくとかやらない時代だし、この時代までは著作権というものが非常に曖昧で、多少の類似商品名や著作権違反製品は大目に見られていたのです。
そもそも大幸薬品が商標を譲り受けたのは征露丸が正露丸になるわずか3年前のことであり、そこまで素早く手が打てるわけがない。
それでも1952年から1961年にかけて、大幸薬品は大量の類似名称を商標出願しているし、実際かなりが認められている。が、さすがに時期として遅すぎた。
個人的には下手に商標を独占しようとせずにね、それこそ日清食品みたいに「正露丸協会」みたいなのを大幸薬品の音頭で作ってさ、そこに君臨すりゃ良かったと思うけど、ま、それはわかんないわな。
まァ、とにかくですよ、1949年あたりから、様々なメーカーから正露丸が発売されたのですが、ちょっといろいろ見ていきましょう。
とは言ってもアタシは別に正露丸コレクターでも何でもないので、現物を有しているわけではない。つまり<拾い>の画像しかないのですが、とりあえずそれを。
もちろんこれは<氷山の一角>であり、せっかくなんで判決文に記載のあった正露丸を紹介しておきます。
・セイロ丸(日本売薬株式会社)
・強化胃腸薬征露丸(日研製薬株式会社)
・キンシ征露丸(成光薬品工業株式会社)
・胃腸征露丸(宮崎県家庭薬株式会社)
・セイ口丸(?寿堂製薬株式会社)※1
・急救胃腸薬正露丸(中外製薬株式会社)※2
・征露丸(共立薬品工業株式会社)
・興和セイロ丸(興和薬品工業株式会社)
・大学堂セーロー丸(株式会社大学堂)
・中島正露丸(大幸薬品株式会社)
・ビワセイロ丸(ビワ製薬株式会社)
・大阪医薬セイロ丸(大阪薬品製造株式会社)
・セイ口丸(中村製薬株式会社)
・セイロ丸(日本医薬品製造株式会社)
・正露丸(高田製薬株式会社)
・強セイロ丸(殖産化学株式会社)
・正露丸(山村真裕堂)
・松本正露丸(松本隆盛堂)
・セイロ丸(岡山県製薬株式会社)
・征露丸(大和高取製薬株式会社)
・征露丸(三和製薬株式会社)
・強化胃腸薬正露丸(高田製薬株式会社)
・せいろ丸(香川製薬株式会社)
・正露丸(南九州製薬株式会社)
・白鳩正露丸(中島佐一薬局薬房)
・セーロ丸(第一薬品株式会社)
・長寿正露丸(長寿堂)
・日新正露丸(日新製薬株式会社)
・征露丸(大阪医薬品製造株式会社)
・平和記念丸(第一薬品工業株式社会)
・正露丸(松本隆生堂)
・日本正露丸(明治製薬株式会社)
・セイロ丸(栗薬品工業株式会社)
・三晄正露丸(三晄薬業株式会社)
・正露丸(三笠製薬株式会社)
・正露丸(正起製薬株式会社)
・ロート正露丸(中島春製薬所)※3
・十字正露丸(大阪医薬品工業株式会社)
・明治正露丸(明治薬品工業株式会社)
・正露丸(ワキ製薬株式会社)
・正露丸(中島製薬株式会社)
・正露丸(帝国製薬株式会社)
・イズミ強力正露丸(和泉薬品工業株式会社)
・岩国正露丸(岩国製薬株式会社)
・まつや正露丸(高市製薬株式会社)
・薬王正露丸(仁王寺薬王堂)
・戦友丸(合名会社室谷生春堂)
・亀井正露丸(合資会社亀井商店)
※1 社名読み取れず
※2 かつてグロンサンなどを製造・販売していた中外製薬(本社・東京都)とは別の奈良県の企業。1956年以降休眠会社状態
※3 製品名に「ロート」とあるが中島春製薬所とロート製薬は無関係
※これ以外にも「正露丸」(帝国製薬株式会社)、「タカダ正露丸」(高田製薬株式会社)、「正露丸」(共立薬品工業株式会社)、「第一正露丸」(第一薬品株式会社)、「相互正露丸」(相互製薬株式会社)、「キング正露丸」(森製薬株式会社)、「三協正露丸」(三協製薬社)、「正露丸」(健天堂製薬所)などが確認出来る
いやぁ、多いなぁ。でもたぶん、これでも全部じゃないと思うんですよね。なんせ「ちょっきり」50ってのはキリが良すぎる。(一部ダブりがあったので上記は48しかないけど)
さてさて、正露丸絡みでもうひとつ。
正露丸と言えば何と言ってもあのニオイです。つかあのニオイがあればこそ「効きそう」と思わせるプラシーボもあると思うくらいで、それくらい独特のニオイを放っている。
そしてこの独特にして強烈なニオイは嫌がらせにも使える、という話をしたいと思います。
あれはアタシがクラブで働いてる時、つまり1990年代後半のことです。あ、クラブったっていわゆるDJがいる踊るクラブね。
何しろ「踊るための店」なんだからダンスフロアが用意されてるんだけど、もちろん店内はかなり暗い。コンタクトレンズでも落とそうものなら探すのにひと苦労するくらいです。
となったら床に何が落ちてるなんかわかりっこない。ましてやウチの店は床が黒かったので黒っぽいものが落ちててもまず気づきません。
そこを悪用された。たぶんライバル店の店員か何かだと思うけど、床にね、大量の正露丸をバラ撒かれたのです。
ダンスってことはステップがある。つまりみんな正露丸を靴で踏みまくる。結果、店内をとんでもない異臭が立ち込める事態になってしまった。
この悪質なイタズラの何がタチが悪いと言っても、正露丸のニオイってそう簡単に取れないんですよ。
閉店後から翌開店前まで、もうどれだけやったかってほど掃除したけど、それでもニオイが取れない。たぶんニオイがちゃんと取れたのは一週間後くらいだったはずで、それまでは「やっぱ、まだニオうな」みたいな感じだったんです。
あれはもう、曰く付きの嫌な思い出です。こんなイタズラ、絶対に止めよう!!
さぁて、正露丸ともう一個の主題、そう、マーク・パンサーです。
しかし正露丸を長く書きすぎたのでごくごく簡単に行きます。
1986年、『MEN'S NON-NO』初代専属モデルとして活動(以下略)
1987年、『Checkmate』のモデルを始める
1995年8月9日、globeのラッパーとしてデビュー
2002年、結婚・長女誕生
2004年、代官山にベビーセレクトショップ「Crown Heart」をオープン(後に閉店)
2005年、スポーツブランド「ルコック(le coq sportif)のイメージキャラクターに就任
2016年、音楽プロデューサーのダイチ・ヨコタとファッションショーなどの音楽演出を手掛けるクラウディオの3人で、「EDO」(イー・ディー・オー)を結成する
2018年、47都道府県をDJとしてglobeの楽曲を演奏する「GLOBE-GENERATION~ともしびは消さない~」を敢行
2019年、大阪芸術大学芸術学部演奏学科の客員教授に就任
2020年、Mr SAKE スペシャルアンバサダー就任
2021年9月10日、大分県別府市のツーリズム別府大使に就任
2023年10月、健康生活研究家マークとして活動開始
何かWikipediaにも「嫁の逮捕」って書いてないんだけど、禁句なのかね。コムロとケイコのことは書けても嫁の話はダメなのか。ま、もう15年以上前の話だからどうでもいいけど。
で、ですよ。本来であればここでglobe再結成なるか、みたいなことを書くべきなんだろうけど、そういうのもどうでもいい。
つかそんなことYabuniraで書くわけないでしょうが。ここは正露丸の話を長々書くようなところだからね。
それよりもです。マーク・パンサーと言えばフランス出身、はまァいいとして、幼少期から関東で育ったのにもかかわらず熱狂的な阪神タイガースファンなんですよね。
正直マーク・パンサーがどこのチームのファンかはともかく、イメージ的に野球に興味がありそうなタイプに見えないんですよね。
何しろフランス人(と日本人)とのハーフですよ。ヨーロッパは野球が盛んじゃないし、キャラというか<ニン>も野球好きには到底見えない。つか先ほども書いたようにアタシはクラブで働いていたけど、そういう場所に出入りする人間で野球好きに会ったためしがない。
いや待てよ。フランス、そして野球と来たらムッシュじゃないか。ムッシュ吉田、つまり往年の阪神タイガースの名ショートにして日本一監督(唯一の、ではなくなったけど)の吉田義男じゃないか!
そうか。そこにつながるのか。ラッパ(ー)のマーク(・パンサー)よりはかなり弱いけど。
マーク・パンサーの話はどうなったんだってくらい、ほぼ正露丸の話で埋め尽くしてしまいましたが、いやぁ、正露丸の話はメチャクチャ掘れるわ。 本当はこれ以外にも「原告が中島佐一薬房(かつて忠勇征露丸を製造・販売していた会社)、被告が大幸薬品」という裁判が行われていたりしてるしね、マジでネタの宝庫で、これでも相当割愛したんですよ。それこそ本当に掘るなら画像をかき集めてもいいわけで、ホント、正露丸だけで本が一冊書けるくらいです。 だからだいぶセーブしたとはいえ、ま、それなりに変なっつーか、令和のYabuniraっぽいエントリになったんじゃないかね。どう? |
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