昨日のフワちゃんの話の続きじゃないけど、やっぱね、何をやるにしても「その年齢では無理がありすぎる」なんてことがあると思うのですよ。とくに<芸>にかんしては。
そういやあれは何年前だったか、M-1グランプリでね、アキナが「アラフォーのオッサンが恋愛ネタをやってて気持ち悪い」という批判を浴びたことがありました。
ま、漫才のネタなんて所詮はフィクションであり、それこそ中川家やいとこい先生なんか実の兄弟なのに「赤の他人」という設定のネタをやったりするわけで、別に50歳だろうが60歳だろうが恋愛ネタをやっちゃいけないわけではないけど、やっぱ「引かれ」ちゃあ、しょうがないよね。
何で引かれるのか、それはね、結局は絶妙に<ニン>と外れることをしたからなんですよ。
それこそ見た目もヨボヨボのお爺さんが「学生役であり二枚目役」とか無理がありすぎるわけですが、ここまで極端な場合はギャグになるのでまだ何とかなる。
しかしね、昔はこれで通用していたんだから今でもやれるだろ、みたいな感じの場合批判を食らいやすい。
それこそ昨日のフワちゃんもそうで、20代であれば失礼芸も通用したんだろうけどね。つかこういう場合って「年齢非公表」かどうかは関係ないですからね。
そう考えれば、所属事務所との契約を打ち切ったとニュースになってた平手友梨奈なんか、もう、まさしく「10代だから許された」って感じなんですよ。
あれってね、これ以上はないってくらい「青臭い芸」でしょ。それこそ普通の神経をしていたら、もし30歳を超えて10代の頃の映像を見せられたら、顔を真っ赤にして「止めて止めて!」と叫んでしまう類いの芸というか。
そうした青臭さって一部の人にはメチャクチャ刺さる。誰しも10代半ば頃ってね、背伸びして、大人なんて莫迦しかいない、と言いながらも大人の悪いところを真似したがるものです。
誰にも媚びるな!他人に合わせるな!自分らしく生きるんだ!とか、典型的な厨二病的な発想で、それがどれだけカッコ悪いことなのか年齢、というより経験を経る毎に理解出来るようになる。んでそうした青臭さに毒されていた頃の自分を見せられると強烈な羞恥心が襲ってくるという。
こういうのを「共感性羞恥心」とか言うけど、共感を寄せた上で「恥ずかしいから止めろ!」と思う層と「わかるよ!まさにそういう気持ちなんだ!」と突き刺さりすぎて羞恥心を覚えない層に分かれる。
鬱屈した日々をおくる者たちにとって、同じような思考や態度を取りながらもスポットライトを浴びて、世間からカリスマ扱いされている、それはもしかしたら「自分がなっていたかもしれない姿」であり、自分だって<何かのきっかけひとつで>世間からカリスマ扱いされるに違いないんだ!類いの思考の補強材料に思える、というか。
ただこれは全部「10代だから通用したこと」なんですよ。もしハタチを超えてこんなことやってたら、彼女に共感を寄せていた人たちからも「アイツ、いつまで厨二病やってんだ」と思われる。
だからどこかであのキャラに見切りをつけるべきだった、というのか簡単なのですが、どうもね、アタシが見るに彼女は被害者というふうに見えるんですよね。
先日公開された「佐久間宣行のNOBROCK TV」のアルコ&ピースがゲストの回ですが、一時期、アルコ&ピース両名とも「吉田戦車の影響で」完全に認知がバグっていた頃があったらしく、スベればスベるほど良し!という考えになってしまい、ダダスベりした後でハイタッチしていたらしい。
もう見事なまでの厨二病ですが、彼らの場合は「自発的」な厨二病なので、この変な認知から脱出することが出来た。
じゃあ平手友梨奈の場合はどうかというと、どうも、自発的には見えないというか、あそこまで徹底的な厨二病的思考、厨二病的行動って「周りにノセられた結果」に見えてしまうんですよ。
エントリタイトルでは「ドッキリ」としたけど、何だかね、別にどおってことない、アイドルとして平凡も平凡な子を徹底的にカリスマ扱いしたらどうなるか、そんなある種の社会実験のような感じさえする。
メディアには「平手友梨奈はカリスマ」と書き立てるように仕向け、もちろん当人にも「君は特別な存在なんだ」と囃し立てる。その結果、その子は本当のカリスマになれるのかどうなのか、みたいな。
もしこれが本当だとしてさ、アタシがこんなことされたら絶対勘違いしちゃいますよ。
んなもん実際にはカリスマの<カ>の字もなくても、何しろ一番多感な10代半ばにね「エラい大人たち」から天才だのカリスマだのと吹き込まれたら勘違いしない方がおかしい。
せめて、何かひとつだけでもカリスマを裏書きするような<芸>があれば良かった。それこそ異様に歌が上手い、ダンスが上手いとか。でも「ひそかに」そうした芸を身に着けさせるわけでもなく、ただひたすら、褒めそやすだけで、増長させるだけ増長した段階でグループから離れたら、つまりもう彼女をコントロールする人間がいなくなったら、あんなふうにもなるわ、と。
というかさぁ、この子、ぜんぜん<影>がないのよ。つかカリスマ的なバックボーンが何もない。
普通の平穏な家庭で育ったっぽいし、わりと普通の感じでアイドルを志してアイドルグループに入った。そういう子がね、後付けでカリスマなんて身につけられるわけがない。
カリスマ性のある芸能人って、よほど突出した<芸>の力があるか、もしくは相当特殊な家庭環境で育ったような人ばかりです。つかね、どれだけ明るく振る舞っても隠し切れない<影>を世間が感じ取って、いつしかカリスマとして扱われるようになる。
平手友梨奈は一部では「山口百恵の再来」とか言われてたみたいだけど、山口百恵だって普通にアイドルスマイルをしていたんですよ。でも、ふと見せる、何とも言えない物悲しい<影>に世間は熱狂し、やがて「時代と寝た女」とまで言われるようになったのです。
何かさ、平手友梨奈は「笑顔を見せないアイドル」という<売り>だったらしいけど、通常時からして仏頂面の芸能人から<影>を見い出しようがないのよ。もちろんカリスマ性なんて生まれようがないのよ。
つかさ、一切<影>のない子がずっと仏頂面って、そんなのただたんに「感じが悪い」だけですよ。何だか、やってることは「(自分では)斜に構えてる(つもり)」「(自分では)クールな一匹狼(のつもり)」なチ◯牛的な厨二病とまったく一緒じゃないですか。
これにかんしては彼女をカリスマに仕立てようとしたスタッフが悪い。せめて家庭環境が複雑な本当に<影>がある子を選ぶべきだったし、つかそもそもの話「仏頂面=カリスマ」なんて安直すぎるわ。
いやぁ、ま、実際のところはわからないけど、もし厨二病が人格レベルにまで浸透していたら、と考えたら、本当に怖いわ。たぶんこのまま行ってさ、30歳を過ぎて欅坂46時代の映像を見せられても、周りのメンバーへの不満やスタッフへの不満は出てきそうだけど「恥ずかしいから止めて!」とはならなさそうだもん。ねぇ。