じゃあ今誰が「傷だらけのローラ」が歌えるっていうの?
FirstUPDATE2024.8.2
#Scribble #Scribble2024 #音楽 #フィクション #アイドル #1970年代 グループサウンズ オックス 欅坂46 平手友梨奈 ゲルニカ 戸川純 演劇性 憑依 歌謡番組 西城秀樹 傷だらけのローラ 単ページ

別に昔、西城秀樹のことを書いてプチバズしたから「夢よもう一度」ってことじゃあ、ないんだけど、あらためて西城秀樹ってすげえなと思ったもので。

いやね、こないだ有線で「傷だらけのローラ」がかかってたんだけど、いやはや、この演劇性はハンパじゃないわ、と。
古くはグループサウンズのオックス、わりと最近では平手友梨奈がいた頃の欅坂46とか演劇性を全面的に押し出した人たちはいたし、どころか「演劇活動として音楽活動をやる」なんてコンセプトのゲルニカ(戸川純がいたところね)なんてのもあったくらいです。
ま、これらの人たちについては前に書いたのでもういいや。

しかし、こと「傷だらけのローラ」で言えば、これらの人たちが裸足で逃げ出すほどの強烈さで、マジで「演劇性歌謡曲、ここに極まれり」と思ってしまう。

いやね、もう動画を見てもらったらよくわかると思うんだけど、こんなの演劇のワンシーンにしか見えないですよ。

しかもこの頃の歌謡番組って司会者が簡単な紹介しただけで、センターマイクの位置まで歌手が走って行って、いきなり歌い出す。んで歌い終わったら一礼して何事もなかったかのようにハケる。
要するに、瞬間でテンションをマックスまで上げて、んでほんの数秒でクールダウンしなきゃいけないわけですよ。そうなるとここまで極端な楽曲はあまりにも気持ちの持って行き方が難しい。と思う。

それを西城秀樹は何の苦も無くヤッてのけている。
よく役者とか芸人で「憑依型」と言われるような人がいますが、いやもう、ここまで完璧に憑依して「ローラへの想いを歌にして叩きつける」なんてハンパじゃないですよ。
んで、先述の通り

<素>
→ロォラァ~!
→<素>

を短時間で、しかも一日に何回もこのルーティーンを繰り返すなんて狂気の沙汰です。
いや別に比較してダメだとか言う気はさらさらないし、どっちが優れてるとかはどうでもいいんだけど、令和の今、ここまで演劇性が強い楽曲を作る人なんていない。たしかに「クサい」と紙一重だし、特別ファンでない人から気持ち悪がられるかもしれない。でもそんなことは関係ないんだ!とにかく極限までの熱い歌詞と熱いアレンジを施す、とかそこまで開き直れるコンポーザーも作詞家もいる?と。

アタシは例の「ターンAターンから馳せる想い」にて、「ターンAターン」という楽曲にかんして『小林亜星の120%のサウンドを西城秀樹が120%の力で応えた』と書きました。
これが西城秀樹ですよ。何度ルーティーンとして繰り返さされても、常に120%の力で応える。「傷だらけのローラ」で言えばブッ倒れそうな勢いで精魂込めて、どのステージでも120%の力で歌い切る。
これがプロでなくて何なんだろう。

つかさ、何なら「傷だらけのローラ」のカバーでもいいよ。とにかくあれほど全エネルギーを出し切って歌うヴォーカリストが今いるかね。
テレちゃ絶対ダメだからね。いやあれを一切テレずに歌うってだけでもどれだけ大変なことか!