えと、非常に恥ずかしいのですが、おそらく1988年に撮影したと思われるアタシの写真をご覧いただきたい。あ、顔は隠させてもらってます。
うん、何じゃこりゃ。ダサい。ダサすぎる。こりゃもう失笑モノどころじゃないね。
何しろ当時はスマホはおろかケータイすらない時代です。あっても平野ノラが持ってるような馬鹿デカいショルダーフォンしかないような時代。当然カメラ付きケータイなんてあるわけもない。
写真を撮るとなったらフィルムを使い切った上でいちいち現像に出さなきゃいけなかったのです。当たり前だけどタダじゃないわけで、そうした理由もあって、大学時代の＜ハレ＞と＜ケ＞のうち＜ケ＞に相当するような写真がね、ほとんど残ってないんですよ。
しかし、数少ない残されたどの写真を見ても、もう目も当てられない。こんなヤツがもし令和の時代にいたら完全に不審者扱いです。
そうは言ってもね、写真に写ってるのはアタシだけではないわけで、ぶっちゃけ、一緒に写ってる友人たちも似たりよったりというか五十歩百歩というか、男女問わず、全員軒並みダサい。つまりアタシだけが突出してダサかったわけじゃないのが救いだけど、にしても、と思う。
まずこの紙袋は何なんだと。一時期「オタクのカバンは紙袋」と言われた時代がありましたが、まさにそれです。ってもアタシはオタクでもなかったし、オタク＝紙袋になったのはもうちょっと後の時代だったので先んじてるのは先んじてたんだけど。何の自慢にもなりゃしないけどさ。
で、肝心の服装ですが、今になってみると一番フシギなのが「いったいこんな服、どこの店で買ってたんだ」と。
アタシが微粒子レベルでオシャレに目覚めて、ちっとはマシな、モテそうな格好をしなきゃな、と思い始めた頃はさすがにアメ村に服を買いに行ってる。あ、これ全部大阪の話ですからね、要するに大阪は心斎橋のほど近くにあるアメ村ってな多少はオシャレな若者が集う場所まで買いに行ってた。
でもこれは、どう考えてもアメ村で買ったものではない。スーパーの衣料品売り場？とも思ったけど、この時代の頃までスーパーの衣料品売り場を利用したことがなかった。
じゃあいったいどこで買ってたんだ、となって、ふと「マルトミ」という名前を思い出したんですよ。
マルトミはもうとっくに倒産していて検索してもほとんど画像が出てこない。唯一出てくるのは最後の方まで存在した新世界の店舗だけです。
しかし、もう完全に記憶で書くけど、新世界以外にも店舗があった。具体的にどこにあったのかの記憶は一切ないのですが、メチャクチャ珍しい店って感じでもなかったように思う。
マルトミの＜売り＞は絶対的な安さでした。つか安さしか売りがない。デザイン的には当時の流行ではなく、そもそも若者向けなのかオッサン向けなのかもわからない。オッサン向けっぽいけど当時のオッサンファッションとも違う。そういう服が並んでいたわけで。
たとえばね、しまむらやGUやユニクロ、あとライトオンやマックハウスともぜんぜん違うんですよ。
しまむらやGUやユニクロはある意味「徹底的にシンプルにしてどんな流行でも対応出来る」って感じだし、ライトオンやマックハウスは「数年前の流行の最大公約数」って感じで、どちらも流行を意識してるという意味で共通点はあります。
マルトミの場合、もう「安く仕入れることが出来たから店頭に並べました」ってのまるだしで、流行なんか意識もしてない。つか売ってる側も流行に沿ってるのか流行遅れなのか一切意識せずに売ってたと思う。
場所が大阪だからトンデモで派手なってわけでもない。中にはシックでちゃんとした縫製のもあったけど、これは偶然そういうのを仕入れただけの話でしょう。
だからイメージとしては果てしなくバッタ屋に近い。もはやバッタ屋なんてほとんど存在しないけど、店のコンセプトなんか何もない、ただ安く仕入れられたから売ってる、マルトミはその服屋版だったのです。「だったのです」って決めつけちゃマズいか。でも本当にそんなイメージだったわけで。
そういやね、新世界やアメ横なんかに行くとまだ平気でロレックスならぬローヤルブランドの時計が売ってたりします。
実は2、3ヶ月前、アメ横のとある店で靴を買ったんだけど、もう久々にマルトミ感を味わった。
わりと良い感じのデザインだったんだけど、とにかく安い。んで買ったはいいもののレシートすらくれない。
後でじっくり購入した靴を見ると、何とこの靴、メーカーすら一切書いてないのです。マジであるのはサイズが書いてあるタグだけ。靴底にすらなーんも書いてない。
あ、マルトミ感とは書いたけど、マルトミで売ってたのはタグくらいあったしレシートもくれましたよ、たしか。
まァね、あ、アメ横で買った靴の話ですが、これ履いて飛行機に乗る勇気はないよ。調べてはないけど、靴底から謎の粉が出てきても一切驚かん。
