え?江坂?と言われても、たぶん大阪の人以外はまるでピンとこないと思う。もちろん大坂志郎も大坂なおみも江坂なんか知らないはすです。
いやね、腐っても大阪メトロの中核路線である御堂筋線の駅でもあるわけで、名前くらいなら、まァ聞くチャンスはある。でも、それこそ今なら梅田でも心斎橋でも阿倍野でも事足りるんだからわざわざ「江坂に行こう」とはならないと思うんです。
ま、こう書けば鋭い人ならピンと来ると思う。梅田にも心斎橋にも阿倍野にもあって、んで江坂にもあるもの、と言えば、まァ他にもあるとは言え、これらの場所に共通して存在しているのは、そう、東急ハンズです。
って今は東急グループを離脱して「ハンズ」になったのか。ぜんぜんピンとこないけどさ。
しかし、アタシが大学生の頃、具体的には1987年からの数年間、この時期には梅田にも心斎橋にも阿倍野にもまだ東急ハンズは存在しませんでした。つまり「東急ハンズに行きたければ江坂まで行かなくてはいけない」という意味です。
いやもっと正確に言えば「江坂に行く」と言えばイコール「東急ハンズに行く」と同じ意味であり、「日曜に江坂に行くつもりやけど」と言えば「あ、それやったら◯◯が売ってるかもしれんからついでに見てきて」と言われることになる、と。
この辺はね、もう、当時とはまったく今と変わってしまったことだと思う。
「今はわりとどこにでもあるけど、1980年代後半くらいは限られた場所にしかなかった」というのは東急ハンズの他にもいろいろあって、アタシはパッと「びっくりドンキー」を思い出す。
びっくりドンキーなんか、それこそ関東だろうが関西だろうが、少なくとも珍しい店ではない。しかし1980年代後半から1990年代はじめくらいまで、クルマを使ってもアタシの行動範囲的に行ける店舗は大阪は堺にしかなかったのです。
いや堺ったって当時住んでたところからしたら結構遠いよ。だいたい1時間半はかかるんだから。それでも「最寄りのびっくりドンキー」と言えばそこしかなく、つか「びっくりドンキー食いたいんでしょ?だったらそれくらいクルマを走らせて当然」って感じだったんですよ。
びっくりドンキーですらこれくらいの労力を必要としたわけで、当時、まだ数店舗しかなかった東急ハンズになると「<あの>東急ハンズが大阪にある」というだけで十分で、つまりは半分お上りさん気分で行くような場所だったのです。
そんなことを言えば当時セゾングループが経営していたLOFTなどは大阪の若者にとっては「憧れの存在」でしかなく、東京に、つか渋谷に遊びに行った友人がいたら「LOFT行った?どんな感じなん?」と質問攻めしてしまうほどの存在だったんです。
令和の今、LOFTとハンズのイメージはだいぶ違うけど1990年前後は似たような感じで、とにかくシャレた家具や雑貨や文房具を扱ってる、みたいなね、そういうのは確実にあった。これも今とはかなり違いますよね。
話が大幅に逸れてしまいましたが、東急ハンズにたいして「オシャレ」だとか「憧れ」みたいなニュアンスがある、それはつまり「東急ハンズがある=江坂=オシャレで憧れの街」みたいな感覚があった。
正直、当時の江坂は東急ハンズ以外はとりたてて何かあるわけではなく、本当に東急ハンズだけが異様な存在感を放っている、そんなイメージでした。
でもフシギなもので、オシャレで憧れの東急ハンズがあるってだけで、何の変哲もない普通のカフェも「江坂にある」というだけで妙にオシャレに思えた。そんなことを言えばマジどおってことない<道>もオシャレな<ストリート>に見える。
アタシはね、こう見えてシャレオツ大好きな人間なんです。だからMacっつーかApple製品に嫌悪感をもよおすどころか基本的には大好きだし、オシャレなカフェも好き。ま、服装はとてもじゃないけどオシャレとは言えないけどさ。
ま、それはともかく、表立って言うようなことじゃないけど、本当に、地味ィに、密かァに、江坂に憧れていた。つか「いつか江坂みたいな街に住みたいなぁ」とすら思っていたんです。
心密かに江坂に憧れてからほんの2、3年後、アタシは何のことか「東急ハンズもLOFTもある、何ならPARCOもマルイもイン・ザ・ルームもぜーんぶある」渋谷に居を構えることになった。
この話はまた別枠でやるつもりなので簡単に済ませますが、結果的にアタシの渋谷生活はたった半年で終了した。つまり渋谷に馴染む前に渋谷を離れたと。
しかしですよ、たった半年、されど半年。いわば「シャレオツ憧れの店が全部揃った」渋谷に住んでしまったからには、もはや「江坂?江坂なんて東急ハンズしかないじゃん」てな感じで、住みたい街ランキングの順位が大幅に落ちてしまった。つかもう「シャレオツ好きなのに大阪に住む?冗談キツいな」くらいまでなってしまった。
ま、それもたいがい極端だし、そもそもメチャクチャカッコ悪いスタンスなのですが、江坂でさえ住みたいとは思わない、というのは大阪に、つか関西に多くを求めなくなったということではあります。
大阪にしろ神戸にしろ、いや関西全般ですね、はもちろん良いところはいっぱいあるんですよ。でもストロングポイントでないようなことを求める方がどうかしてる、そこに焦点を絞るなら関東のが合致するんだから関東に住みゃいいだろ?とね。
その結果、アタシは神奈川県は辻堂に居を構えることになるのですが、これもまた別枠で。別枠ばっかこのエントリ。
まァね、そうは言っても、ほんの数年だけだったかもしれないけど、んで東急ハンズの<おかげ>が全部だったとはいえ、たしかに「江坂に憧れていた」時期はあった。
過去は変えられない。いや変えようとは思わないけど、何かね、今にして思えば「そういう施設があるからその近辺に住みたい」という心理もアリなんじゃないかね。
そういやね、2023年、東京に越してきた時に世話になった不動産屋さんの人に聞いたんだけど「デ◯ズニー大好きだから東京ディ◯ニーランドのそばに部屋を借りたい」という人はかなり多いらしく、つかわりと普通のことらしい。 いやいや、ま、アタシは<空気感>最重要視っていう特殊な人間だからともかく、他に優先するべきことがあるだろ、それこそ通勤時間とか治安とか家賃とか。でも実際にそういう人が一定数いる、というのは「憧れの近くに」というのはわりと普遍の心理なのかもね。 |
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