複眼単眼のプロトタイプになればいいなと思って書く
FirstUPDATE2024.6.1
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もうエントリタイトル通りなんでいきなり始めますが、たとえばアタシが女性だったとします、という実に気持ち悪い仮定で話を進めたいと。

でね、レイプされそうになったとしますわな。当然、そんなことになれば抵抗の色を示す。何とか逃れる方法はないものか、と死に物狂いになるはずです。
しかしレイプを拒否られた被疑者が逆上して殺害されてしまった、としたらどうでしょうか。
って何が言いたいんだ?と思われるかもしれませんが、もし仮にレイプを受け入れていたら殺されずに済んだかもしれない。となったら抵抗を見せずに素直にレイプされた方が良かったってことになるのか?という話です。

「素直にレイプされときゃ殺されずに済んだのに」

そういうことを言いたがる人は一定数いる。でもね、もうこれこそ結果論以外の何物でもないんですよ。
そりゃあ、ニュースでこうした事件を知ったのであれば、すべてのことが終わった後であり、しかも俯瞰で見ることが出来るのでそんなことが言える。でも当事者はそんなことはわからないわけですよ。レイプされそうになった→レイプから逃れよう、と考えるのは自然なことであり、そこで「レイプを拒否したら殺されるかもしれない」なんて思考には絶対に至らない。ネットにいる自称太夫の才蔵は「それくらい想像出来るだろ」と言うかもしれないけど、そんなの絶対無理です。アタマが良い悪いの話じゃない。絶体絶命のピンチの時に「目の前にある危機」よりも「その後に起こり得る危機」を重要視するなんてあり得ません。

これはギャンブルの予想に似ている。
翌日の新聞を見ながら「何でこの馬券を買わなかったんだ。買わなかった奴全員馬鹿です」とか言ってるようなもので、結果がわかっていれば後で何とでも言えるのですよ。
いや結果どころか実際には「自分が置かれている状況を俯瞰で見る」ことすら難しい。当事者だって後になれば「あの時こうしておきゃ良かった」くらいはわかるんだけど、その時はなかなかわからない。当事者である限り冷静さにも限界がある。だから人間は「他人から見たら」つまらない失敗をするのです。

てな話は前フリ。ここから本題に入ります。
昨今、やたら恋愛ネタを毛嫌いする層がいますが、実は恋愛モノってフィクションを作る上で非常に優れた骨格なんです。
人間ドラマとひと口に言いますが、これをより具体的に言えば「人と人が信頼を築き上げる」こと、そして「強固と思われた信頼が崩れていく」、このふたつが主題になってることが多い。
しかし「相互信頼」というのを<絵>や<文章>で見せるのは本当に難しく、やりようはあるんだけどどれも基本的に回りくどいし、簡潔にやろうとしたらどうしても比喩的な表現になるのでわかりづらくなる。
これがね、恋愛フィクションであればメチャクチャ簡単で「お互いの想いが通じ合った」となったらキスシーンを挟みこみゃいい。

「相互信頼」を簡潔に、誰にでも理解出来る、というのは映画のように2時間ですべてを描かなきゃいけない、時間的制約の多いメディアでフィクションを語る時に威力を発揮します。
そしてキスシーン自体、そんな長々とやるものでもないので、エンディング間際にちょろっとでも構わない。2時間の映画だとするなら1時間59分55秒まで「はっきりしない」関係でも、たった5秒もあればすべてを説明出来る。
つまりキスシーンってのは、こんな便利なものはない。とくに「恋愛が主軸でない内容であればあるほど」便利なんです。

もうひとつが、ここから冒頭の話とつながるのですが「恋愛を俯瞰で見るのは非常に難しい」のです。
もしすべてを俯瞰で見ることが出来たら、たいていの恋愛感情は成就する。でもこれまた当事者である限り「想い」が先走る。というか想いが先走るのが、んで冷静さを失ってしまうのが恋愛感情とも言えるわけで、それはそれで本当に素晴らしいことです。
ただ、もしこの恋愛を俯瞰で眺めることが出来たなら、と考えるのも自然で、他人さんというかフィクションとは知りながらも「自分以外の恋愛」を俯瞰で見ることにたいして積極的になる。
んで、実際には何の役にも立たないんだけど、そうか、こういうことって恋愛の最中であれば誰でも思うことなんだ、となったらもし自分が同じ立場に置かれたらこうすりゃいいんだ、みたいなね、一種のTIPS的に見れないこともないんです。

たぶんそういうのがあるからこそ、恋愛フィクションには一定の需要がある。
映画だろうがテレビドラマだろうが小説だろうが漫画だろうが需要がなければ商売としては成立しない。それでオマンマを食って行こうと思うのであればニーズのあることを盛り込まなきゃいけない。
だから「本当に描きたいのはそこではない」と作者も自覚しながらも恋愛要素を盛り込みたがる。上手くやればそんなに邪魔になる要素でもないし、需要以外の面でもメリットが大きいのだから多少のデメリットには目を瞑っても恋愛要素を入れ込もうとするのは自然なのです。

他にも恋愛フィクションというのは実はいろいろ物語る上で非常に便利で、というようなことをね、いずれ「複眼単眼」として書きたいな、と思っているのです。
ただこれ、ちゃんと書こうと思えばたぶんメチャクチャ時間がかかる。実際今回はまったく実例を挙げていないけど、やっぱ実例があった方がわかりやすいし、かなり込み入った形にすればいくらでも書くことがあります。
だけれども、そんなことをしていたら、また書かなくなる。
つか「複眼単眼」は基本的に異様に時間がかかるので、つまり書きかけの文章が山のようにあるんです。まずはそっちの方から片付けていくのが筋だし、となったら昨日今日思いついた「恋愛フィクション」を複眼単眼化するなんて下手したら数年先になるかもしれない。

だからこうやって、先にプロトタイプとして書いておこうと。実際これがプロトタイプになるかわからないし、もしかしたら完成する前にサイトを辞めるとかアタシが死んでるなんて可能性は十分あるからね。







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