喋る、という最大の娯楽
FirstUPDATE2024.5.21
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えと、どこに旅行に行ったわけでもないのにこのひと月で2回も羽田空港に行きましてね。っても友人を見送るだけに。

まァ、友人も、当たり前ですがアタシ同様オッサンです。つまりオッサンふたり連れ。気持ち悪い。しかもともに関西弁の阪神贔屓。要するに「存在してるだけで<害>」と呼べるふたりが空港くんだりで何をしてるか、なのですが、少なくとも傍目から見てたら「何もしてない」のですよ。
さすがに時間になればメシくらいは食うし、そりゃあトイレにも行くけど、何か特別なことをするために空港にいるわけじゃない。向こうは東京出張から帰宅するためだけ、こっちは見送るだけです。

しかもね、時間が異様に長い。さすがに先週は友人が早い便だったのでそこまででもなかったけど、先月末なんて午前中に羽田空港に着いて19時前まで、ずっと、ですからね。いやだから気持ち悪いのはわかってるって。
じゃあ長時間何をしてるか、これがもう、ただひたすら「喋ってるだけ」なんです。
オッサンふたりでずっと喋ってるって、そもそもそんなハナシが続かないだろ、つか話題なんて早々に尽きるだろ、と思われるかもしれませんが、これ、どう言えばいいのかわからないけど、無理矢理説明すれば「話し始める前の段階ですでに話題は尽きてるけど、テキトーなネタで延々喋ることが出来る」んですよ。

まァね、先述の通りふたりとも阪神贔屓なんで、とりあえず野球の話はしやすい。しかも野球ネタは絶対日々アップトゥデイトがあるので、とりあえず野球ネタをしておけば間は持ちます。
だからと言って、じゃあずっと野球の話をしてるのかというとそんなこともなく、比較的マジメな話から徹底的な馬鹿話まで、とくに境目もなくずーっと続いてく。んで気がついたら向こうが「あ、そろそろフライトの時間が」となってる、という感じなのです。

だったら電話っつーか通話でもいいだろ、と思われるかもしれませんが、会って喋るのとはぜんぜん違うんですよ。
これはビデオ通話でもたいして変わらない。ま、さすがに音声だけの通話よりは臨場感はあるけど、会って喋るのには到底敵わない。
そういや先日もこの友人とは別の、遠方より来られた方とお会いしたんだけど、当初の予定ではもっといろいろな場所に行く予定にしていたのです。それが大雨ということもあって、ほぼ同じところに留まっていた。んで何をしていたかというと、ほぼ、ただ喋るだけ。
しかしね、この方の時もそうだったし、友人もだけどね、とにかくアタシに限ってはこうして「ただ喋ってる」って時間が何より、一番楽しいのです。
ま、向こうは楽しかったかはわからんけど。

アタシはね、何となくですが<趣味>と<娯楽>は峻別してて、それこそクレージーキャッツやドリフターズは<趣味>です。
趣味はもちろん楽しい。しかもひとりでも成立する。「ひとりでも成立する」というのは「空いた時間に」少しでも進めるとか映画の1本でも見るとか、とにかく時間を有意義に使えます。
しかし娯楽ってやっぱ、ひとりでやるこっちゃないような気がするんですよ。

いや、もしかしたら境目はそこなのかもしれない。
当然、一人飲みが好きなね、それこそバーカウンターの隅っこでチビチビ水割りを飲んでる時間が至福、なんて人はいると思います。
でもこれは<娯楽>というよりは<趣味>なんですよ。じゃあ娯楽は「みんなで(じゃなくてもいい。ふたりでもいい)ワイワイ飲む」って感じなんじゃないか。
同じ「飲む」という行為でも<趣味>も<娯楽>もある。同じ「映画を観に行く」という行為も「ひとりで好きな、比較的マニアックな映画を観る」のと「家族連れ立って大衆的な映画を観る」のとではぜんぜん違うし。

アタシの中でもいろんな娯楽はあるけど、その中で至高だと思ってるのが「喋る」という娯楽です。
たしかにね、ただ喋ってるって、ハタから見てたら「何もしてない」ように見えるんですよ。それこそ「ただ喋ってるくらいならゲーセンでも行きゃいいのに」みたいな感じで。
これ、アタシから言わせればとんでもない話で、もちろんそれなりの目的があれば別だけど、とりあえずレベルでゲーセンに行く暇があったらただ喋ってた方が何百倍楽しいよ、と。

友人の話に戻しますが、せっかく東京に出張に来てるんだから、ふたりでどこかに遊びに行ってもいいわけですよ。でもそんなことはけしてしない。
それは「疲れるから」みたいな理由ではなく「早めに空港に行って、そこで喋ってる方が絶対的に楽しい」とふたりともわかってるから。
しかもこの娯楽、何歳になろうが楽しめる。会ってってのに比べたら落ちるのは落ちるけど、それでも通話ならお互い都合もつけやすいし、昔なら「通話料が」とかあったけど、今はもう実質タダでいくらでも喋れる時代なわけで。

で、喋るという娯楽の面白いところは別に自分が参加してなくても、ただ一方的に聞くだけでもそこそこ面白いことで、ラジオでのDJや芸人によるどうでもいいお喋りもだし、そういうYouTubeチャンネルを見る、というよりは聞くのも楽しい。
ただこれ、意外とわかってもらえないんだよなぁ。つか「ゲーセンでも行けば」とか言っちゃう人が<趣味>と<娯楽>をどう峻別してるか、それが知りたいわ。







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