これは和製SHERLOCKではないか!
FirstUPDATE2024.5.9
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先日「ふくしま事件ちゃんねる」のことを書いたのですが、まァ、それ絡みで知ったチャンネルのことを書きたいと思いまして。

これ、もう冗談抜きに、ここまでハマって見たのは久しぶりというか、それこそここんところよく書いてる「ゆっくりドラちゃんねる」も片っ端からアーカイブを見たのですが、「ゆっくりドラちゃんねる」の場合は一本の動画が長くてもせいぜい30分ほど、10分以内の短い動画も結構あるので「片っ端からアーカイブを見」ても、言うほどは時間はかかりません。
しかし今回紹介する「だてレビsideB」はその点が大きく異なる。ここはいわゆる通常動画がほとんどなく、メインコンテンツとなってるのは生配信のアーカイブなんです。で、生配信と言えば基本的に長い。それでも<ほぼ>一時間で切ってはいるんだけど、そうはいっても<ほぼ>一時間ですよ。
内容によっては数回に跨ぐことも多く、となると、例えば3回に分かれていて全部見るとなるとそれだけで3時間!3時間ってアータ、野球の試合じゃないんだから。

とはいえ「だてレビsideB」すべてのアーカイブを見ていってるわけではありません。
アタシが視聴しているのは「ミステリーアワー」と題された、いわば事件考察動画だけなのですが、もうね、これが滅多やたらに面白いんですよ。
「ふくしま事件ちゃんねる」の時も書いたように、事件考察系チャンネルって結局は「通り一遍」になってしまいがちなのですが、このチャンネルというかこのコンテンツではひとつの事件にたっぷり時間を使うことで、というか脱線を繰り返すことが却って「そういう見方もあるのか!」という気付きを与えてくれるんです。
何しろ元は生配信なんでね、つまり編集されてないものです。オッサン3人がただ喋ってるだけ、と言えばその通りなんだけど、3人ともキャラが立ちまくっており、綿密な調査をやった上で喋ってるので自然と深い内容になる。

出演者のキャラについては後で書くとして、このコンテンツで特筆すべきは「ホワイトボードを使ってる」ことでしょう。
やっぱね、YouTubeの配信なくらいだから、どうしてもデジタルなモノに頼りたくなるというか、アナログ的なことを排除したくなるというか、ま、排除したいというよりは時間的な制限で排除せざるを得ないだけだろうけど。
それをあえてホワイトボードに詳細を書いており、それを読みながら進行していく。これが実に新しい。アナログなのに新しい。
とはいえ一切デジタルを排除してるってわけでもなく、たとえば地図とかはグーグルマップとか国土地理院のデジタル地図を使うし、時にはわざわざ3Dデータを生成して説明を行なうことさえあります。

しかし、ここにあえてアナログなホワイトボードを使うことで、スタジオがより「捜査本部」っぽくなる。
当然のことながら出演者の方々は刑事でもなんでもないので、資料はすべて公開されているものです。ただその資料の集め方がハンパではなく、新聞はもちろん事件を扱った書籍、当時の雑誌記事、さらにテレビ番組など可能な限り集めて、それを整理精査したものをホワイトボードに書き記しているんです。
ま、雑誌とかテレビ番組なんて基本眉唾というか、盛った内容なことが多いんだけど、それもちゃんと換算して「ほとんどデタラメだけど、ここの箇所はたぶん本当」なんてことまで導き出している。
そうしたデータの精査、取捨選択は本当に舌を巻きます。

んで、何と言ってもこのコンテンツの魅力なのが出演者のキャラの立ち方でしょう。
出演者は完全に固定ではないのですが、すべての回に出演されていて、いわば番組の頭脳と言える「キーフレーム」さん、元は視聴者さんだったらしいけど今や欠かせない存在となってる「エリツィン」さんがレギュラーで、だいたい半分くらいの回で登場する「マーモニ」さんの3人で進行することが多いのですが、全員、見事に役割があるんですよ。

中でもキーフレームさんの冴えまくる考察が本当にすごい。
これは後で述べますが、未解決事件の場合、何たって警察でさえ「わかんねぇや」とサジを投げた事件なわけですよ。当然のことながら今後のことを考慮して、つまり被疑者が取り調べの時に発する「秘密の暴露」の可能性を残すために、すべての情報を公開しているわけではない。早い話が警察がお手上げだと言ってるレベルの証拠しかなく、しかもそれをすべて公開しているわけではない、というね。
さらに、事件によっては物的証拠になり得るものゼロ、目撃情報もなし、なんてのも珍しくなく、そうなったらもはや部外者に考察する余地なんて残されてないんです。
ところがキーフレームさんは、そんな事件でさえ、溢れ出るサブカル知識を駆使して「面白い」考察をする。というか情報がなさすぎるんだからハナッから「素晴らしい」もしくは「勘どころを突いた」考察なんて出来るわけがない。そこで「被害者家族を一切傷付けることなく」面白い考察を繰り広げるという<芸>はタダゴトではない。

そしてキーフレームさんの相棒と言えるエリツィンさんは、一見雰囲気とか喋り方はマジメっぽく見えるんだけど、ある意味一番フザけており、キーフレームさんへのツッコミが抜群なんですよ。素人のツッコミでここまで笑えるのはアタシも初めてで、このコンビ芸を見るだけでも価値がある。
もうひとりのマーモニさんは本業は役者らしいけど、たまに被疑者の心理を深すぎるほど理解していることがあって、どこか「実は重大事件の犯人なんじゃねーの?」と思わせるムードがある。もちろんそんなわけはないけどさ。

というかね、キーフレームさんとエリツィンさんを見てて「これ、和製SHERLOCKじゃん」と思ったのは事実です。あ、あくまで「シャーロック・ホームズ」じゃないよ。現代版のBBCが作った「SHERLOCK」ね。
もし「SHERLOCK」の日本版を作るのであれば、もうこの空気感しかない。どこか浮き世離れしていて異様なほどサブカルに明るい、それでいて実は人情派のシャーロックと、事件の概要をしっかり把握して、シャーロックにツッコみつつ、自らもボケるワトソンのコンビ。
この噛み合ってるんだから噛み合ってないんだかわからない、しかもどこか他人行儀な、摩訶不思議な感じはSHERLOCKぽくはあるんだけど、イギリス人には絶対に出せない、日本人がやることに意味のあるというふうに思える。

ちょっと話は変わるけど、ミステリっても基本的には全部探偵なんかが解いてるでしょ。あれはやっぱ面白くないというか、個人的には、たとえばテレビドラマ全13回やるのならば解ける回が半分、解けない回が半分くらいでいい。その方が「今週は解けるかな」というね、見てる側に緊張感が生まれる。
いやさ、絶対解けるとなったら探偵の能力ではなく、どうしてもある程度犯人をボンクラにしなきゃいけなくなるんですよ。だって証拠隠滅とかそういうことじゃなくて、本当に何の考察要素もなければ解けるわけがないんだから。
実際、未解決事件には被疑者に証拠隠滅をはかる気などさらさらなく、でも遺留品は一切残していない、という当たり前のことをしただけで未解決になってる事件が多いんですよ。
むしろそうした事件を取り扱って、それでも何とか謎を解明しようとしてって方がオハナシとして深みが出るんじゃないの?と。

何だか話が逸れすぎましたが、未解決事件マニアの方も、生配信の本質を掴みたい方も、あとたまにやる未解決事件とはぜんぜん関係ない、キーフレームさんのサブカル知識が炸裂する配信も含めて「だてレビsideB」はマジオススメです。ってここまで無条件でオススメするなんてアタシには珍しいんですけどね。







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