対抗馬さんの存在があればこそ
FirstUPDATE2024.4.10
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一時期、謎の「サザエさんに出てくる対抗馬さんって」みたいなスレッドが立ってましたけど、まァ、それをエントリタイトルに採用しただけで、要するに「対抗馬さん=タイコおばさん」のことを書いてみます。

いや、アタシもしつこく、原作の「サザエさん」とアニメの「サザエさん」はあまりにも別物すぎると書いてきたけど、アニメはアニメでね、そりゃああれだけ長く続いてるんだから、それなりにバランスが取れてるんですよ。
んで実は、バランスメーカーとして非常に優秀なのがタイコおばさんではないかと。
アニメにおいて、いわゆる「引っ掻き回し役」はノリスケとカツオですが、ノリスケにたいしてタイコおばさんは当然のように「抑え役」になってる。これはわかりやすい。

問題はカツオの方です。
アニメでのカツオは「頭脳明晰なのはそのままなのに、大人からの信用がまったくない」という役回りを演じており、それ、そこまで叱られることでもないだろ、みたいなことでもガンガンに叱られる。
これ、見ようによっては家族総出でカツオのヨサを殺そうとしているようにも見えて、正直見てて気分が悪い回も多い。つか大人側が大人の理屈を通そうとしすぎで、何だかね、自分たちも「かつて子供だった」ってのを忘れてるんじゃないか。もっと言えばそのトシになるまで生きてきたっていう一種の人間性の欠如のようにも見えてしまうんです。

もちろんね、カツオは頭脳明晰なので数々の悪知恵を働かせて騒動が巻き起こるんだけど、誰もカツオをかばわないのはどういうことだろ、と。
必要以上に叱られる→誰もかばわない
こういう状況であるにもかかわらず、さらにカツオに悪知恵を働かせようとすれば、もうカツオを精神的超人にするしかなくなる。てことはカツオまで人間味がなくなってしまうと。
自分の子供時代を振り返っても、親から怒鳴りつけられるって大変なことですよ。そりゃ怒られたからって人間性まで変わってしまうことはなかったけど、それでも一週間くらいはおとなしくなる。もう嫌だ。しばらくは余計なことはしないでおこう、くらいにはなります。

というかね、波平が叱りつけるだけならともかく、家族の誰もカツオをかばおうとしないってのが一番の問題で、中には誰かがかばう回はあるけど、非常に少ない。よってたかってカツオを悪者にする。そりゃ気分も悪くなります。
ま、それでも、波平やサザエは大人なのでいいとしても、何だか「告げ口上等」のワカメの性格がメチャクチャ悪く見える。自分は優等生ヅラしてさ。原作でははるかにカツオに劣っていたクセに。

そこで登場するのがタイコおばさんなんです。
劇中、唯一カツオの頭脳明晰や年齢に比して非常にしっかりしていることを正当に評価しているのがタイコおばさんであり、カツオいたずら回でタイコおばさんが登場するとホッとする。
ま、本当は家族内にタイコおばさんに相当する「カツオの味方」がいればいいんだけど、それでもまったくいないと、ひとりでもいるとではぜんぜん違いますからね。

仮にそうであってもですよ、アタシは最初にアニメの「サザエさん」は<それなり>にバランスが取れてるって書いたけど、所詮は<それなり>程度です。
今さら「サザエさん」を原作に近いギャグアニメにするのは不可能だし、ホームアニメならホームアニメで構わない。しかし、それならそれで現代に即したリアリティが必要なんじゃないかなぁ。
サザエさん時空とかそういう話じゃなくてね、「あるある」なら視聴者が「あるある」と思えるようにしなきゃマズいんじゃないの?と。

つまりね、キャラクターの心理面があまりにも現実とはかけ離れすぎてるっていうか、さっき「現代」とは書いたけど、これ、原作の昭和中期だったとしてもリアリティないよ。昭和中期ってこんなステレオタイプじゃない。
要するに「古き良き時代」ってふうにもなってないんです。だからアタシのようなオッサンが見ても気分が悪くなる。

これは間違いなく脚本の<ズレ>だなぁ。いや脚本家のズレと言うべきか。たぶん美化されたりいろいろで昭和中期のリアリティさえ再現出来なくなってるんだろうとしか思えない。
ま、何でもいいけど、面白い面白くないじゃなくて、せめて「見てて気分が悪い」ってのは止めた方がいいんじゃないの?ねぇ。







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