当て感だけで本当にいいのか
FirstUPDATE2024.3.25
@Scribble #Scribble2024 #プロ野球2024年 打撃論 当て感 平沢大河 江越大賀 秦真司 今成亮太 阿部慎之助 近藤健介 左打ちの捕手 野村克也 前川右京 長打力 単ページ

正直、当て感でいいのか、それとも「当て<勘>」のが正しいのかわからないのですが、最近の阪神を見てるとこの<当て感>という言葉を実によく耳にします。

いやもう、プロ野球選手として大成するためにはこの当て感は必須能力のようにも思えており、逆に言えば他の能力がどれだけ優れてようが、当て感がない選手はプロで大成出来ないというふうに思えるというか。
いきなりディスる方向になっちゃいますが、千葉ロッテマリーンズの平沢大河はアマチュア時代から、かの野村克也に「何も直すところがない。欠点がないのが欠点」とまで言われたスイングをしており、一部では「パーフェクトスイング」とまで言われたのですが、大きな期待を背負ってプロに入って早8年。残念ながらレギュラーすら掴めていない状況です。

それだけのスイングをしておきながら何故レギュラーになれないのか、いやレギュラーとして十分な打撃成績を残せてないのか、それって結局「当て感」がないからなんじゃないかと。
平沢大河だけでなくね、それこそ江越大賀も(また<タイガ>か)も、視力に問題がある云々(どうも距離を測るのが苦手な障害らしい)ということだけでなく、もう決定的に「当て感」がない。当て感がないから「ボール球を振り回す」のではなく「ストライクゾーンの球が当たらない」んじゃないかとね。

前にも書きましたが、選球眼とは言うけど、本当に<眼>が関係あるのかは怪しいところで、鳥谷敬なんか晩年、守備時においてあきらかに<眼>に問題があるんじゃないかというプレーを頻発していましたが、ではバッターボックスでボールの見極めが衰えたのかというと別にそんなことはなかった。打撃がダメになったのはボール球に手を出すようになったからではなく、甘い球をミスショットする確率が増えたからです。

鳥谷に限らず、晩年になると当て感が衰える傾向にあり、今までそのコース、絶対空振りしてなかったよね?というのが出だしたら危険な兆候です。
では、です。当て感がなさそうな選手が後天的に当て感を得たケースがあるのか、というと、少なくともアタシはひとりも知らない。
これって非常に紛らわしいんだけど、スイングをコンパクトにすることでコンタクト率が上がるというのは普通にある。もっとも顕著なのはサトテルでしょうが、サトテルってたしかに三振は多い(つか空振りが多い)んだけど、致命的に当て感のない選手には見えないんです。ああ見えて意外と変化球を拾うのが上手いからね。

さらに話を進めます。
じゃあ、当て感さえあればプロで大成出来るのかって話をしたい。
これマジでフシギなんだけど、「左打ちの捕手(<元>も含める)」って天性の当て感のある選手が多くて、野村克也に天才とまで言われたヤクルトにいた秦真司とか、阪神→中日→楽天の関川浩一とか、日本ハム→阪神の今成亮太とか、あと阿部慎之助もこのタイプですし、現役ではソフトバンクの近藤健介とか中日の宇佐見真吾も「天性の当て感」があるように見える。
ただしこの中で打者として大成したと言えるのは阿部慎之助と近藤健介だけで、他は「たしかにミート力は高いが他は並」というケースが多く、たいした数字を挙げられなかった。

どうもね、現状、前川右京も「当て感<だけ>はある」というふうに見えてしょうがないんですよ。
もちろん、そこから脱却するために工夫はしてるし、春季キャンプでは「打球を上げる」ことに重点を置いて練習しているように見えた。
しかし、オープン戦では結局、一本もホームランが打てなかったわけで、それがね、どうも心配なのです。
本人曰く「疲れてくると打球が上がらなくなるしスイングも鈍くなる」と自覚してますが、ま、疲れでスイングが鈍くなるのはある程度は当然として、疲れで「打球が上がらなくなる」というのはまだ無理して打球を上げようとしている証拠です。

阿部慎之助にしろ近藤健介にしろ、とにかくスイングに力感がある。しかし大成出来なかった「当て感<だけ>はある」タイプは「上手さ」は感じるけど力感がなかった。
ま、さすがに秦や今成に比べたら前川右京の方が力感はあるんだけど、この手のタイプは打撃で点数を稼ぐしかないので、どうしても「長打が打てないと価値が半減する」のです。
長打ったって、二塁打三塁打ではなくホームランですよね。つまり前川右京で言えばいくら低反発球、しかも甲子園が本拠地の左打者だったとしても、最低15本以上ホームランが「打てそう」な感じがないとダメなんじゃないか。
あくまで「打てそう」でいいんですよ。まだレギュラーを獲ってないんだから証明は出来ないわけで、「打てそう」と思わせることが肝心というか。

当て感の話から逸れるけど、金本知憲が髙山俊にたいして長打を求めたのは間違いではなかったと思う。
「打撃で食っていく」タイプって絶対長打力もセットで、マートンやパチョレックのように毎年確実に.320以上打てるならともかく、守備走塁での貢献がない選手ってやっぱり長打力が必要なんです。それはたとえ甲子園が本拠地だろうが左打者だろうが。

いや前川右京にかんしては、まず「シーズン完走」ですよね。ちゃんとシーズン完走出来て、仮にあまりホームランは打てなくても来年度のレギュラーを確約されるくらい活躍すれば「ホームランは来年度以降の課題」でいいと思うけどさ。







Copyright © 2003 yabunira. All rights reserved.