何かね、もう最近つくづく「長生きなんてしたくねーな」と思うようになったというか、それこそ火の鳥の生き血を飲んだりしたら最悪だな、と。
もうね、この頃「それはテメエのワガママだろ」みたいな発言をしちゃいけない風潮には心底ウンザリしてる。いや昨今の、事件ではないニュースを見ても「それはテメエのワガママだろ」みたいなのが多すぎて腹も立たないんですよ。
腹が立たない＝賛同ではないし、腹が立たない＝気持ちの良いニュースというわけでもない。むしろ感情としては「呆れ」に近い。つか悪しき性格の暴走なんか誰も止められるわけがなく、アタシとしては「あーあ、楽しくない世の中になってきたな」と思うだけなんです。
いやね、別に「最近ワガママな人が増えた」とか言う気はないですよ。つかワガママな人なんて昔からいた。
でもね、立場的なことがあるから常にではないけど、ワガママな人にたいして「お前、本当ワガママすぎるぞ」くらいは言えた。
でも昨今はそんなことを言おうものなら「お前は他人の個性を認めないのか！それで苦しんでる人間の気持ちがわからないのか！」みたいな話になっちゃう。
つまりね、いつの間にか「ワガママ」が「個性」なんて聞こえの良い言葉に置き換えられてしまった、という。
個人の尊厳だったり、プライベートな時間は尊重されなければならない、なんて当たり前です。
ただ、それは＜無限＞ではない。つか＜有限＞です。最低限の社会の秩序の中での個人の尊厳やプライベートです。
もうそこを完全に履き違えているとしか思えない。社会の秩序を崩してでも個人の尊厳やプライベートを厳守すべきなんて、もはや狂人の思考です。
こんなことを目立った場所で発信すると必ず「それは社会の秩序の方が間違ってる」とか言い出す輩が出てくる。
じゃあソイツの理想郷が「誰しもにとっての理想郷か」と言えば、下手したら現今よりも生きづらい人たちが増える、きわめて得手勝手な理想郷です。つまりあくまで「ソイツにとっての理想郷」でしかない。
人間なんて100人いれば100人考えが違う。本当であればそれを全員が受け入れるのが理想なんです。でもそれは難しい。となったら最大公約数で秩序を決めるしかないんです。
例えばです。
とある殺人事件が起きたとしてね、その犯人が「気に食わないから殺した。でもそうした感情を法律や秩序なんて＜キレイゴト＞で抑え込もうとするのか！」と訴えたとします。
これに賛同する人はまずいない。ま、ひとりもいないってことはないけど、圧倒的に数は少ない。
こうした発言にたいして「ただの狂人」と片付けることは簡単なんですが、それよりも一番問題なのは矛盾です。もしこれを許容するとなったら今度は殺された側には個人の尊厳はなかったのか、となる。被害者の遺族は当然殺された感情を犯人にぶつける。しかも法律的にではなく私的制裁として。
こんなことを繰り返していったら世の中がメチャクチャになります。人が殺されても法で裁けないとなったら治安なんかデタラメになるし、やがて人類は滅びます。
「そんな大仰な話じゃない」と嗤うかもしれないけど、例として挙げたのが殺人だからこういう話になっただけで、今SNS界隈で行われているのは「ワガママの押し付け合い」なんです。
ま、百歩譲って、本当に世の中のことを第一に考えて、その上で「世の中を変えたい」というのならば構わない。しかし「オレは気に食わない。だから世の中を変えろ」とか、どう思考を巡らせても「それはテメエがワガママすぎるだけだろ」という以外の言葉しか浮かんでこないのです。
これね、別に政治だけの話じゃないし、世の中とか社会とかそこまでのスケールの話じゃなくても構わないのですよ。
たとえ狭いコミュニティであっても「何かを変える」となったら、どうあっても「変えたことで一番トクしたのは、一番いい思いをしたのは自分」ってことになっちゃマズいのです。
極端な話、もし変えることで「たしかにこうやった方が大多数の人には良いのかもしれない。しかし、もしかしたら変わった後、自分が損する、自分がやりづらくなるかもしれない」くらいでないと賛同を得られないような気がする。
誰だって自分がトクしたい。誰だって自分が誰よりもいい思いをしたい。先日も書いたように男性だったらいくつになってもモテたい。こんなのは当たり前です。
そのためには何だってする。それも間違ってはないんだけど、あくまで「秩序の中で」という縛りが付く。秩序内でどれだけ得手勝手なことをしてようが「ワガママだなぁ」と笑ってられるけど、秩序を超えて、しかも「個人の尊厳」とか「プライベート」とか立派な建前を並べての得手勝手は、もしかしたらワガママどころではないのかもしれない。
それでもね、周りから「お前、ワガママだぞ」と常に言われてたら多少はそうした自覚も出来るかもしれないけど、何しろ今の世の中、誰かに「ワガママ」とでも言おうものなら袋叩きに合うわけです。
ワガママと言われたことがないから、まさか自分がワガママだとは思わない。ましてや昨今「他人に同調するのは馬鹿」みたいな風潮すらあるわけで、どんどんワガママが肥大していく。
こんなことが続けば、そのうち本当に「度が過ぎた」ワガママな人が増えていくことになる、そんな未来しか見えないのです。
いやさ、どこの誰がどんな思想を持とうが勝手だし、そもそもアタシはそんなことはどうでもいいと思ってる全身ノンポリ人間です。
でもさ、せめて、ワガママな人に「ワガママだな」くらいは言わせてよ。ってそれもワガママってことになるのかねぇ・・・。
ワガママと言っちゃいけない時代
FirstUPDATE2024.2.14
